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選者&出演

俳人 夏井いつきさん

575でカガク!


俳句と科学?
あまりにもかけ離れたものだと思う人もいるに違いありません。

が、俳句における「見る」という行為は、
まさに科学における「観察」なのです。

俳句は五感で作ります。
目で見る、耳で聞く、鼻で嗅ぐ、手で触る、舌で味わう。

さらにもう一つ加えたい強い味方が、第六感!
私たちの想像力が、まさにそれです。

今回のテーマは二つ
「ニュートリノ」「チバニアン」

どちらかを選んで、
五感+第六感を駆使してみましょう!

俳句の目で科学を見つめてみると、
テレビの向こうの皆さんに、
匂いや感触がナマナマしく伝わるかもしれない。
それが、俳句の力です。

新しい挑戦を一緒に楽しみましょう!

俳人 夏井いつきさん

応募していただいた俳句紹介

<ご紹介したニュートリノの俳句はこちら>

冬の水湛えて星の終り知る   うしうし

水槽は小糠雨受け金魚無し   伊予吟会玉嵐

ヘルメットにnakahata汗のノーネクタイ   夏井いつき

陽炎のやうなものよねニュートリノ   くま鶉

春恋やニュートリノかなすり抜ける   鮎川渓太

貫通の粒子の無音星流る   かぬまっこ

ニュートリノ秋はすり抜けやすいかも   塩豆

花片の軽さニュートリノの重さ   一斤染乃

夏山に幽霊つかむ地下水槽   カンガガワ孝川

清水受くる四六時中や金盥   岩佐十零空
   ※金盥(きんだらい)

幽霊の蛍弾けて湖の底   薄荷光

素粒子にかくも巨大な囮籠   克巳
   ※囮籠(おとりかご)

捕虫網は五万屯なりニュートリノ   比々き
   ※屯(トン)

蝶の目の湖に天琅拾ひたり   田尻武雄
   ※天琅(シリウス)

亀鳴くや素粒子ほどの振動に   ときこ

タンク開け前の戌年の水澄む   サイコロピエロ七変化

しづけさに耳きゆんきゆんと鳴りさうな   夏井いつき

愛犬の名前にしたいニュートリノ   春雪

つかめない採用内定ニュートリノ   ぴぴん

ニュートリノなんでもすり抜けお化けみたい   SAE

星死ねばニュートリノと蟷螂生まる   ぐ
   ※蟷螂(とうろう)

青蜥蜴カミオカンデに尾を残し   ときこ
   ※蜥蜴(とかげ)

ニュートリノ原初高天原を出ず   斎乃雪

廃坑の水底蒼き朧かな   樫の木
   ※朧(おぼろ)

秋天の粒子我らを透きとほる   寺沢かの

開闢の無音のことば銀河より   純音
   ※開闢(かいびゃく)

見えないが在るたとえば百合の香のように   夏井いつき

<ニュートリノ 特選句紹介>

番組で紹介できなかった句の中にも、夏井いつきさんを唸らせる優れた句がありました。
そこで全ての応募作の中から特選として8本にコメントをいただきました。

冬の水湛えて星の終り知る   うしうし
ニュートリノを捕らえる巨大な水槽。湛えられた「冬の水」はじっと静まりかえって、「星の終り」を知らせる粒子の到来を待っています。装置が粒子を捕らえた瞬間発せられる、青い光。冷たい一瞬のひらめきが、冬の水の刺すような冷たさを深くするようです。

枯野へと無垢な暗黒物質来   ヒカリゴケ番組未発表
宇宙を構成する見えない物質と言われる「暗黒物質」。全く無垢な原初の存在。その粒子は寒々しい「枯野」へも降り注いでいます。目の前の茫漠たる枯野は、あらゆるものを通り抜ける無数の粒子を受け止める器のようにどこまでも広がります。

粒子にも恋にも質量あつて夏   よだか番組未発表
ニュートリノを題材にしてこんな軽やかな句が生まれてくる愉快。重さなど限りなく小さい「粒子」と、目に見えず触れることもできない「恋」。どちらにも「質量」があると言い切る作者の「夏」は幸せなものになるでしょうか。鮮やかに過ぎていきますように。

廃坑の水底蒼き朧かな       樫の木
スーパーカミオカンデは今は使われなくなった「廃坑」を利用して作られています。ひんやりとした廃坑の奥深く、ニュートリノを捉える巨大な水槽が設置されています。空間全体が巨大な水底であるかのような大空洞。水気を含んだ朧なる夜の底を、水は蒼く粒子の到来を今日も待ち続けています。

秋天の粒子我らを透きとほる   寺沢かの
抜けるような秋空。身を温める秋の日射しが気持ちの良い日です。晴れ晴れとした「秋天」の下に立つ私たちを無数のニュートリノがすり抜けていきます。その「粒子」の知識を得なければただ気持ちの良い日であるというだけの感覚。科学が物の見方を変えるという体験のなんと楽しいことでしょう。

開闢の無音のことば銀河より   純音
銀河が始まったその瞬間、天地開闢の時。宇宙には無数の粒子が放たれたのでしょう。一切の音のない世界で放たれた粒子は今も「無音のことば」となって宇宙を飛び交っています。夜空に見上げる乳色の「銀河」は深遠な美しさに瞬いています。

数式の羅列囀の其処此処      村上ヤチ代番組未発表
   ※※囀(さえずり) 其処此処(そこここ)
スーパーカミオカンデには世界中から何人もの研究者が集まり、日夜研究を続けています。「羅列」された難解な「数式」と格闘する研究所を一歩出れば、外は「囀」の降り注ぐ山中。固まった背中をうーんと伸ばすと柔らかな緑。其処此処から降る囀にリフレッシュし、再び研究へと戻ります。

水昏くいうれいの目方に歪む   中町とおと番組未発表
   ※昏く(くらく)
幽霊粒子とも呼ばれるニュートリノ。地下深くに満々と水を湛えて水槽は粒子の到来を待っています。「いうれい(幽霊)」ほどの微かな「目方」を捉え「歪む」水が蒼く昏く瞬きます。見えない物を捉えた瞬間の反応を科学の目は確と観測し、俳人の眼はぞっとする詩的真実として描き出します。

WEBでの俳句投稿

終了しました。投稿ありがとうございました。

はがきでの俳句投稿

終了しました。投稿ありがとうございました。