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番組紹介

あらすじ

物語の舞台は終戦から数年経った日本。
主人公は高名な初老の画家・小野益次(渡辺謙)。焼け跡から徐々に復興の姿を見せていく街で、広すぎる豪邸での隠居老人の一見平和な日常生活が描かれていく。ある日、長女・村上節子(広末涼子)が孫の一郎(寺田心)を連れて小野家にやって来る。

浮世の画家

そんな中、次女・紀子(前田亜季)の見合いのことで、節子の口から思いもしないことが告げられる。「昨年、三宅家との縁談が急に打ち切られたのは、小野の過去のせいではないかと…」さらに今回の新しい縁談に向けて、何らかの手を打った方がいいと助言までされる。

浮世の画家

「縁談が円滑に進まないのは、自らの過去に原因があるのではないか―」
戦争に加担した過去。同僚や師を裏切り、切り捨てた過去。語りたくない過去が確かにある。その事実を認識しながらも、強烈な自尊心が首をもたげる。自身の過去に何があったのか。

浮世の画家

過去の記憶をたよりに、小野は昔の知り合いたちを訪ねていく。そこで周囲の自分への視線の変化に気づき始める…。

浮世の画家

(原作者のことば)カズオ・イシグロさん
このドラマが視聴者にとって感動のドラマであることを願います。 心に訴えるようなドラマであって、ただの歴史ドラマとして受け止められないことを願います。そして普遍的なテーマを見出してほしい。ある情勢の中で定められた価値観に忠実に生きることに対する疑問、そして自分が一体何に貢献しているのかわからなくて苦悩するというテーマ。ただ1930年代1940年代のある国である世代に起こった出来事として見るのではなく、特に今の時勢だからこそなおさら、このテーマが現代の生活と深く関連するものとして見てもらいたいです。そしてこれが人間誰しもが持ち合わせる一部であるということ、とても複雑な社会に生き、良かれと思う方法で一生懸命貢献していることをわかってほしいです。(2/25 ロンドンでのインタビューより抜粋)

(音楽家のコメント)三宅純さん
『日の名残り』の静謐な筆致と抑制の効いた展開に魅せられ、『わたしを離さないで』の秘められたプロットの衝撃性に戦慄を覚えて以来、私は既にカズオ・イシグロ作品の大ファンだった。5歳で日本を離れ、英国人として育ったイシグロ氏の抱く、望郷の念と喪失感、記憶に含まれる危うさの深淵、異邦人としての緊張感、それらは僭越ながら私がライフワークとしている”Lost Memory Theatre”(失われた記憶が流入する劇場)の世界観と共通する部分がある気がしてならない。”An artist of floating world”という、原題の持つ浮遊感にも私は惹かれている。映像の奥に潜む深層心理に寄り添ってみたい。
三宅 純プロフィール 作曲家として ピナ・バウシュ、ヴィム・ヴェンダース、フィリップ・ドゥクフレ、ジャン・ポール・グード、大友克洋らの作品に楽曲提供。異種交配を多用した独自のサウンドで国際的賞賛を得る。ヴィム・ヴェンダース監督作品「pina」で12年米・英のアカデミー賞にノミネート

(脚本家のことば)藤本有紀
ちょうど一年前の三月、ロンドン滞在中に渡辺一貴Dからメールが届きました。「カズオ・イシグロ原作のドラマを制作するので相談したい、ついては明日でも明後日でも、指定の場所に参ります」。私はすぐに返信しました。「では明日ロンドンに来てください」。いま、嘘をつきました。「明日ロンドンに来てください」などとは書いていません。そうしたほうが自分を少しばかり洒脱な人間に見せてくれるような気がして、嘘をつきました。
自分が「過去の記憶」という細胞で構成されているとしたら、そのうちどれくらいが真実で、どれくらいが偽りでしょうか。すべてがありのままの真実だとすれば、「自分」はまともに機能しなくなるかもしれません。
過去の記憶と向き合い、虚実のはざまで悶え苦しむ主人公・小野を渡辺謙さんに演じていただくことは、当初から私たちスタッフの念願でした。底知れぬ違和感がじわじわと迫ってくるカズオ・イシグロの世界。そこに佇む謙さんの、尊大で、悲哀に満ちて、滑稽で、たまらなくいとおしい姿を、ご堪能いただけましたら幸甚です。

(演出家のことば)渡辺一貴
カズオ・イシグロさんが一貫して取り組んできたテーマの一つに「記憶」があります。この「浮世の画家」も「記憶」を巡る物語です。人は皆、思い出したくない失敗や秘密にしたい過去を持っている。そして自尊心を保つためには、それらを正当化しないと生きていけない。誰かに責任を押し付けたり、時には都合よく記憶を改ざんしたり、記憶そのものを忘れてしまったり…。渡辺謙さんが演じる主人公小野益次が、内面の苦悩を覆い隠し、自己正当化を繰り返して取り繕う姿は、傍から見ると悲しく、哀れで、滑稽でさえあります。しかしそれは現代に生きる私たち全てに当てはまる姿なのではないでしょうか。自己弁護や責任転嫁を繰り返しながら必死に生きる「人間の弱さ、そして愛しさ」がこの物語には凝縮されています。

(制作統括のことば)内藤愼介
「幼くして日本を離れ、自らの『記憶』の中の日本を永遠に残しておきたい」
「小説の舞台は日本になっていますが、私は現実の日本をほとんど知らない、あいまいな『記憶』と想像上の日本です」 ――カズオ・イシグロさんに、なぜ「浮世の画家」の舞台が日本だったのか、理由を聞いた時に話された言葉です。
人は、時代という大きな流れの中で、本当に逆らう事ができただろうか?逆らわなかったからといって、責める事ができるのだろうか? そんな中、人の「記憶」は、まさに浮き世で、時代に流されて生きているのではないだろうか。誰にでも当てはまる、この非常に難しいテーマを、主演の渡辺謙さんをはじめ広末涼子さんたち出演者の皆さんは、悩み苦しみながら見事に演じてくれました。
視聴していただく皆さんに、登場人物の心のひだや、主人公を通じて「記憶」のあいまいさを実感していただき、楽しんでいただければ幸いです。

登場人物

出演者

【小野益次【渡辺謙】
高名な初老の画家。隠居して平凡な日常を送っていたが、次女の縁談話をきっかけに己の過去に向き合うことになる。滑稽なほど過去の影におびえ、その記憶に戸惑っていく。

小野益次(渡辺謙)

村上節子【広末涼子】
小野の長女。妹の縁談を心配し、小野に「過去について」誤解をされぬように手だてをした方が良いと助言をする。

村上節子(広末涼子)

小野紀子【前田亜季】
小野の次女。小野と二人で暮らしている。小野の知人である斎藤博士の長男との縁談話が進む。

小野紀子(前田亜季)

村上一郎【寺田心】
小野の孫。節子の子供で、絵が大好きで益次になついている。

村上一郎(寺田心)

村上素一【和田正人】
節子の夫。義父である益次とはそりが合わない。

村上素一(和田正人)

黒田【萩原聖人】
小野が主宰していた洋画塾の弟子。一番気にかけていた弟子だったが…。

黒田(萩原聖人)

円地【渡辺大知】
小野のかつての弟子・黒田のもとで、弟子として絵画を習う。

円地(渡辺大知)

三宅二郎【武田航平】
紀子の最初の見合いの相手。

三宅二郎(武田航平)

信太郎【佐藤隆太】
小野が主宰していた洋画塾の弟子のひとり。小野を尊敬している。

信太郎(佐藤隆太)

マダム川上【秋山菜津子】
小野の行きつけのバーのママ。小野の華やかな時代を知っている。

マダム川上(秋山菜津子)

青年小野【中村蒼】
竹田工房で修業ののち、森山誠二に弟子入りし評価を高める。しかし松田知洲の影響で政治に目覚め、師と決別し、戦意高揚のためプロパガンダ絵画の制作に着手する。

青年小野(中村蒼)

青年松田【大東駿介】
小野が森山誠治の弟子だった時代、最初に小野の才能を認め近づく。

青年松田(大東駿介)

松田知州【奥田瑛二】
小野が名声をほしいままにし多くの弟子を抱え、政界での権威も得る過程を知る古くからの友人。

松田知州(奥田瑛二)

森山誠治・モリさん【小日向文世】
高名な画伯で青年小野の師匠。小野の才能を見抜き、弟子にする。

森山誠治・モリさん(小日向文世)

中原康成・カメさん【前田朋哉】
武田工房で一緒に働いていた画家。小野に誘われ、森山に一緒に弟子入りする。

中原康成・カメさん(前田朋哉)

斎藤博士【佐野史郎】
著名な美術評論家。小野の知人であり、次女・紀子の縁談相手の父。

斎藤博士【佐野史郎】

斎藤夫人【余貴美子】
斎藤博士の妻。

斎藤夫人(余貴美子)

斎藤太郎【石黒英雄】
斎藤家の長男。紀子の2度目の見合いの相手

斎藤太郎(石黒英雄)

斎藤満男【小日向星一】
斎藤家の次男。社交的な兄と違い不器用な性格。

斎藤満男(小日向星一)

小野の母【斎藤とも子】
益次の母。父に対して反抗的な益次を心配している。

小野の母(斎藤とも子)

小野の父【長谷川初範】
益次の父。厳格で、益次が絵を描くことを良しとしていない。

小野の父(長谷川初範)

【原 作】カズオ・イシグロ「浮世の画家」
【脚 本】藤本有紀
【音 楽】三宅 純
【出 演】渡辺 謙、広末涼子、前田亜季、寺田 心、中村 蒼、大東駿介、武田航平、和田正人、長谷川初範、萩原聖人、秋山菜津子、渡辺大知、前野朋哉、佐藤隆太、佐野史郎、余 貴美子、小日向文世、奥田瑛二ほか
【制作統括】内藤愼介(NHKエンタープライズ)、海辺 潔(NHK)
【演 出】渡辺一貴(NHKエンタープライズ)