東京大学名誉教授で建築家の難波和彦さんによる「住まいをよむ」(全13回)。戦後日本の住まいのあり方、住宅の変化から人々の心に与える影響までを幅広く読み解いていきます。
東京大学名誉教授・難波和彦さんは、2009年に「建築教育国際会議」を開催し、建築教育に国際的な多様性があることを認識します。大学教育で建築学科が工学部に属している国は、日本ぐらいなものでした。アジア、アメリカ、ヨーロッパのほとんどの国では建築学科はデザイン芸術学科系の学部に属し、そこには工学部門は存在しなかったといいます。日本の大学における建築学科の特異性について、歴史的な観点から解説します。
今回は住まいにまつわる祝祭や儀礼について考えます。東京大学名誉教授・難波和彦さんは、設計した住宅で工事を始める時に、自らが安全祈願の儀式「地鎮祭」や「上棟式」を行う場合が多いといいます。建築家の立場からみても、こうした儀式は連続する時間に区切りを入れて、境界をつくりあげる文化的行為になっていると語ります。難波さんの幼少期の体験なども振り返りながら、時間と空間に境界をつくることの意味を解説します。
こころをよむは、文学・美術・映画など、各分野の第一人者が、現代人が抱える、老い・家族・環境など、さまざまな問題をストレート・トークで分かりやすく読み解いていく番組です。