2015年放送内容(総合 毎週木曜 午後10時~10時50分)

5月1日(金)

 
スペシャル「航空機内の患者を救え!」

スペシャル版の今回の舞台は、太平洋上、高度1万メートルの航空機内。突然「息が苦しい」と訴える患者が。「お医者様はいらっしゃいますか!」客室乗務員の呼びかけに応え、見事に対応したのが、今回のドクターG・林寛之医師だ。医療器具も限られ、病院のような検査などできない。問診を頼りに病名を突き止めようとするが、容体はますます深刻に…。果たして研修医たちは患者の命を救えるのか?…そして、思いもよらない事態が!
【ドクターG】 福井大学医学部附属病院 医師・林 寛之
【ゲスト】 ジュディ・オング、辰巳 琢郎

症例1
~過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)~
身体は、呼吸により、肺で酸素を体内に取り込み、体内で作られた二酸化炭素を体外に排出しています。この肺内での空気の入れ替えを換気とよび、身体の中の酸素・二酸化炭素の量が最適になるように調整されています。過換気症候群は、不安などの精神的ストレスやパニック障害などが原因で、換気が多くなり、体内の二酸化炭素が最適な値から低下した結果、息苦しさ、動悸、頻脈、手足の突っ張り、四肢のしびれ、めまい、などさまざまな症状がおきます。重症の場合は、けいれんや失神、また、二酸化炭素が過度に少なくなって呼吸が止まることもあります。思春期の若年者に多くみられます。治療は、まず、落ち着かせて、体の中の二酸化炭素の量を増やすために、話をさせたりします。紙袋を鼻と口に当てて呼吸をさせ、一度吐き出した二酸化炭素を再度吸わせるペーパーバッグ法もありますが、これは袋の端を切るなりして、完全密閉で体内の酸素が少なくなり過ぎないように注意することが必要といわれています。

症例2
~緊張性気胸(きんちょうせいききょう)~
気胸は、何らかの原因で肺から空気がもれて肺がしぼんでしまった状態をいいます。もれて胸腔内にたまった空気が肺や心臓血管を圧迫している状態が緊張性気胸です。放置すると呼吸状態が悪化するだけでなく、血圧が低下してショック状態となり、命にかかわるので早い処置が必要です。緊張性気胸を起こしたら、急いで胸腔内の空気を外に出すことが重要です。通常は、胸に太い管を入れて空気を出します。一刻を争うような状況では、胸に注射針を刺し、針穴から空気を外に出して肺の圧力を下げます。

10月15日(木)


第1回 患者の訴え「しゃっくりで眠れない」

誰もが経験するやっかいな症状・しゃっくり。今回の患者は、2週間前からしつこいしゃっくりに悩む50歳の男性だ。仕事中も、食事中も、寝ているときにもおかまいなしにしゃっくりが出て、ひどい時には5時間も続く…。ドクターGはしゃっくりが出る仕組みをもとに論理を組み立て、鮮やかに病名を絞り込んでいく。ゲストの石坂浩二さんの「50年もしゃっくりが出ていない」という謎も解明され、最終的にわかった患者の病名とは?
【ドクターG】 大阪医科大学附属病院 医師・鈴木富雄
【ゲスト】 石坂浩二、かたせ梨乃

~延髄外側症候群(えんずいがいそくしょうこうぐん)~
脳の最下部に延髄という部分があります。延髄は大脳や小脳と脊髄をつなぐ中継地点で、あらゆる身体の命令伝達が通過する神経回路の幹であり、生命維持に重要なところです。
この病気は延髄に梗塞が起き、働きが失われる状態です。別名、ワレンベルグ症候群ともいいます。梗塞の原因で特に多いのは血管の壁の一部がはがれて、内側に張りついたりするもので、ほとんど前ぶれなく突然起きます。
梗塞の広がりや経過によって、症状の出方はまちまちです。梗塞によって障害を受けた部分によって、めまい、眼振、吐き気。さらに嚥下障害、嗄声、しゃっくり、味覚障害、顔面の温痛覚障害など、様々な症状が現れます。
番組で取り上げた患者さんの主訴は「しゃっくり」でした。この患者さんの場合、延髄外側に梗塞が起きて、そこを通る迷走神経から横隔膜に伝わり、横隔膜をけいれんさせて、しゃっくりが出ていたと考えられます。
治療は、梗塞の原因である動脈硬化を進行させないために抗凝固剤(アスピリンなど)を投与します。そして血圧コントロールや禁煙で、梗塞の再発を予防することも大切です。


10月22日(木)


第2回 患者の訴え「頭が痛い おなかも…」

頭痛、高熱、下痢に悩まされていたにもかかわらず、遊園地に行くという息子との約束を果たそうと無理をした40代の男性。しかし、とうとう倒れてしまう。症状を見ると普通の感染症ではない!患者は東南アジアへの渡航歴がある。潜伏期間から考えると、まさか日本での感染?研修医たちは大混乱。病名を突き止めたと思った途端、患者の病状が…。海外の流行の最新情報にも精通するドクターGが、鮮やかに解決する。
【ドクターG】 水戸協同病院 医師・矢野晴美
【ゲスト】 ダイヤモンド☆ユカイ、ハイヒール リンゴ

~レプトスピラ症(れぷとすぴらしょう)~
レプトスピラ菌によって引き起こされる感染症です。レプトスピラ菌はネズミなどのげっ歯類の腎臓に住みついていて、尿に交じって排出されます。人への感染は、この尿に汚染された水や土に触れ、傷口や粘膜などから菌が体内に入ることによって起きます。人から人への感染は、基本的にはありません。東南アジアや中南米だけでなく、日本でも散発的に患者が発生しています。近年は、特に沖縄県では他の地域より多く報告されています。
症状は、風邪のような軽症のものから、黄疸(おうだん)や腎不全を伴う重症のものまで様々です。髄膜炎を併発することもよくあります。重症のものをワイル病といいます。
通常、2週間以内の潜伏期の後、38度~40度Cの発熱、頭痛、筋肉痛、結膜充血などが現れた後、症状が良くなり、治癒します。しかし、一旦症状が治まった後に、再び発症し、さらに強い症状が現れる場合があります(二相性)。
治療には、レプトスピラ菌を殺す薬(ストレプトマイシン、ペニシリンなど)が投与されます。予防のためには、手洗い、ゴム手袋使用などの他、保菌動物のネズミなどの駆除や、衛生環境の改善を行って、レプトスピラ菌の感染経路を断つことが大切です。


10月29日(木)


第3回 患者の訴え「高熱で苦しい」

去年夏に代々木公園周辺で起こった、実際の症例をほぼ忠実に再現。ドクターGは、日本の感染症対策の最前線で活躍する総合診療医だ。患者の症状からはデング熱が疑われたが、全く別の病気の可能性もある。仮に別の感染症を見落としてしまったら、日本で爆発的な感染が広がることにもなりかねない!研修医たちならどうする?そしてドクターGがその時とった行動は?謎が謎を呼ぶミステリーのような展開に、ゲストたちも大興奮!
【ドクターG】 国立国際医療研究センター 医師・忽那賢志
【ゲスト】 紺野美沙子、江川達也

~腸チフス(ちょうちふす)~
チフス菌によって引き起こされる感染症です。高熱、頭痛、全身のだるさ、ピンク色の発疹、下痢や、便秘になるなどの症状がでます。熱が高い割に脈泊数が少ない(比較的除脈)のが特徴です。重症になると、腸から出血したり腸に穴が開いたりすることもあります。糞便や血液の中の菌を培養して、チフス菌があれば腸チフスと確定します。医師は、保健所に届け出なくてはなりません。
感染源はチフス菌に汚染された飲み水や食物など。潜伏期間は7~14日間ほどです。
衛生環境の悪い地域やアフリカ、東南アジア、中南米など世界各地で多く発生しています。日本での発症は海外で感染したケースがほとんどです。しかし、近年は、国内での感染例も増えていますが、その多くの感染ルートはわかっていません。
治療は、効果のある抗生物質を長期間(およそ2週間)服用します。
今回の症例は、腸チフスの患者3人が同じ時期、同じ病院に出現しました。その人たちが皆、同じ店の弁当を食べたことがわかり、共通の感染源(食物)が特定された珍しいケースです。


11月12日(木)


第4回 患者の訴え「右の手足が…」

梨農園を営む50代の男性が、右の手足が思うように動かなくなり倒れた。男性の父親は数年前に脳梗塞で亡くなっている。同じ病気なのか?しかしドクターGは、見事な問診と身体診察で、患者本人も気づかないような些細な症状を見つけ出し、見事に病名を探り当てた。まれにみる超難問に、研修医たちは悪戦苦闘。目から鱗の診断法や人体の神秘にまで話が及び、ゲストも大興奮!
【ドクターG】 総合病院 国保旭中央病院 医師・塩尻俊明
【ゲスト】 宮崎美子、ドリアン助川

~ 結節性多発動脈炎(けっせつせいたはつどうみゃくえん)~
動脈は血管の太さにより、大型、中型、小型、毛細血管などに分類されます。
結節性多発動脈炎は、そのうちの中型と小型の血管に、炎症が起きる病気です。炎症を起こした部分が節のように腫れ、それが数珠つなぎのようになることから「結節性」と呼ばれます。炎症を起こした部分で血流が悪くなり、その血管を通して酸素や栄養を運んでいる臓器や神経に、機能不全や麻痺などの症状が現れます。原因は不明とされ、厚生労働省の難病に指定されています。60歳~80歳に多い病気です。
治療は、長期的に患者の様態を管理しながら、ステロイド剤を用いるのが一般的です。
症例の患者さんは、かかりつけの病院で脳梗塞と診断され、その治療を受けましたが、症状が改善しませんでした。ドクターGのていねいな問診により、右の手足のマヒが同時に起きたものではないことや、炎症が起きているのが中型と小型の血管であることなどがわかり、この病気と診断されました。


11月19日(木)


第5回 患者の訴え「イライラする とにかく眠い」

今回のドクターGは、地域の医療機関の家庭医として、日常的に地域住民を支えている総合診療医。往診の途中、保育園の前で見かけた光景が気になり、声をかけた。良くドクターGの診療所に来る親子だ。普段は明るく気さくな母親が、お腹が痛いと言う女の子を、涙を流しながら叱っている。この時ドクターGが機転を利かせてとった行動が、ある病名にたどり着き、見事に患者が救われた!研修医たちは気付くことができるのか?
【ドクターG】 あさお診療所 医師・西村 真紀
【ゲスト】 湯山 玲子、杉浦 太陽

~月経前症候群(げっけいぜんしょうこうぐん)~
月経が始まる10日ほど前から、乳房痛、腹部膨満感、頭痛、手足のむくみなどの身体症状や、抑うつ、怒りの爆発、いらだち、不安、混乱、ひきこもりなどの精神症状などが続き、月経が来るとともに良くなる病気です。通常、月経が近くなるにつれて症状が強く現れます。月経前のこうした症状が3か月以上くり返し現れると、月経前症候群と診断されます。この病気は、PMS(ピー・エム・エス=Premenstrual Syndrome)と呼ばれることもあります。
原因は不明ですが、複数の女性ホルモンが誘因といわれています。治療法は、まず、患者自身がこの病気であることを認知(自覚)した上で、症状が現れる期間、仕事や家事の負担を軽減したり、タバコやコーヒーなどの刺激物の摂取を減らしたり、カウンセリングを受けたりすることです。安定剤や痛み止めのほか、ホルモン剤などの薬物療法を併用する場合もあります。漢方薬も有効とされています。
今回の症例の患者さんは、家庭医であるドクターGが普段から良く知っている女性でした。いつもと様子が違うと気付き、病気を疑ったドクターGが患者さんを診療所に呼び、丁寧な問診をしたところ、3か月以上、毎月、生理前の同じころに、眠気やイライラなどの症状が出ていることを確認し、確定診断しました。
当初、患者さんには、自分が病気であるという自覚がありませんでした。そのため初回診察時には、血液検査(甲状腺ホルモン低下などを疑う)など、患者さんが料金を負担しなければならないような検査は行いませんでした。


11月26日(木)


第6回 患者の訴え「赤ちゃんが高熱を出した」

生後20日の内田光くん(仮名)が、突然高熱を出して泣きだした。母乳もあまり飲まない。通常、新生児は、生まれてから数か月は熱を出さないはず。これは、一瞬の治療の遅れが文字通り命取りとなる緊急事態だ。一命をとり止めても重い後遺症が残るかもしれない。研修医たちは、自分で症状を説明できない光くんの病名を、いかに突き止め、命を救うのか?そして、後遺症のリスクを最小限に抑えるためにドクターGがとった選択とは?
【ドクターG】 新潟大学医歯学総合病院 医師・齋藤昭彦
【ゲスト】 岩井志麻子、平岳大

~ウイルス性髄膜炎(ウイルスせいずいまくえん)~
一般的には、小児がよくかかる病気です。ウイルス感染によって生じる髄膜の炎症です。原因となるウイルスで一番多いのはエンテロウイルスです。
乳児(新生児)が、エンテロウイルス(夏風邪の原因などに多い)に感染した場合、発熱、哺乳不良、呼吸器症状や心拍数の増加などの敗血症に似た症状を示したり、両側性のけいれんを起こす場合があります。特別な治療法はありませんが、多くの場合、水分補給の点滴などの対症療法を行ないます。通常、1~2週間で改善します。
今回の症例は、生後20日の赤ちゃんが、エンテロウイルスに感染し、高熱を出したケースで、風邪を引いていた4歳の姪から感染したと考えられます。
また、今回の症例とは違いますが、ヘルペスウイルス感染には特に注意が必要です。
ウイルス性髄膜炎の中で、重篤になるのは、ヘルペスに感染した場合です。大人の場合、体力や免疫力が低下すると、唇の周りなどに水膨れのようなできものができる口唇ヘルペスが最も一般的ですが、その状態で乳児(新生児)に触れると、乳児がヘルペスウイルスに感染する場合があります。高熱やぴくつきなどの症状をおこす重篤な脳髄膜炎になることも多く、治療しないと死に至り、重大な後遺症の危険もあります。正確な統計はありませんが、ヘルペスは多くの大人が持っています。できものができているときに、乳児に触れるのは避ける必要がありますが、できものが治った後は、感染の心配はありません。


12月3日(木)


第7回 患者の訴え「腹がひどく痛む」

この道40年のシラス漁師・船井吾郎さん(58歳)が、息子と2人で漁に出て、船の上で腹痛に襲われ、倒れた。救急車で病院に運び込まれた吾郎さんを診たドクターGは、鋭い観察眼と想像力で、わずか10分で正しい病名にたどり着いたというのだが…。病理学的な着眼と推理力がなければ、腹痛の原因にたどり着けない超難解な症例。研修医たちは吾郎さんを助けることはできるのか?
【ドクターG】 洛和会丸太町病院 医師・上田剛士
【ゲスト】 阿藤快、アンミカ


~膿胸(のうきょう)~
肺の表面をおおっている2枚の胸膜が炎症を起こし、胸腔(膜と膜の間)に膿状の液体がたまった状態を膿胸といいます。細菌性肺炎を起こした後や胸腔内手術をした後におこることが多いのが特色です。
原因となる細菌は、ブドウ球菌、肺炎球菌などです。
主な症状は、悪寒を伴う高熱、咳、胸痛、息苦しいなどです。重症の場合は、血圧低下や敗血症をひきおこし、ショック状態となります。
胸部レントゲン検査で胸水がたまっているかを確かめ、胸腔から採取した胸水が膿であれば膿胸と確定します。菌の種類の確定も必要です。菌に効く抗生物質を点滴投与して治療します。糖尿病や肝臓疾患、飲酒や喫煙があると、この病気になりやすいと考えられています。

12月10日(木)


第8回 患者の訴え「足がつる」
 
患者は就職活動中の21歳の女子大生。最終面接の日の朝、激痛で目が覚めた。右足がつって動けない。必死で面接会場に向かうが、今度は左足まで!結局面接を受けられず、失意の中ドクターGを訪ねてきた。丁寧に問診してみると、他にも特徴的な症状がいくつもある。全てを説明できるのは…誰もが知る、死に至ることもある病気だった。今回のドクターGは東洋医学と西洋医学の両方に精通。その知識と経験で、いかに彼女を救うのか! 
【ドクターG】 日本医科大学付属病院 医師・津田篤太郎
【ゲスト】 ブラザートム、おのののか
 
~摂食障害(せっしょくしょうがい)~
ほとんど食事をとらなくなったり、極端に食事の量が多くなったりするなど、食事のとり方に著しい異常をきたす病気です。嘔吐や下剤の使用を繰り返して体重を減らそうと することもあります。症状は、個人差がありますが、イライラ、抑うつ、眠れない、足がつる、まひ、呼吸不全など、さまざまです。重症化すると、意識障害、心不全などを合併し、命にかかわることがあります。
治療は、個々の患者に応じて違いますが、まずは患者に、病気と向き合い、治療しようと思ってもらうことが肝心だとされています。その上で、心療内科や精神科など専門の医療者によって、栄養療法や合併症対策などの身体面の治療を行うとともに、心理療法や 社会復帰の支援なども行います。
症例の患者は、足がつるようになり、唾液腺がはれる耳下腺症になったことで不安になり、ドクターGのもとにやってきました。過食と嘔吐を繰り返していましたが、摂食障害を治療しなければならないという自覚がなかったため、患者が病気を認め、治療に向き合う気持ちになるまで粘り強く接したという事例でした。


1月7日(木)


第9回 患者の訴え「転びやすい」

患者は、街で人気のケーキ店の店長を任されている28歳の若きパティシエの女性。最近体が思うように動かず、転びやすくなったという。ストレスのせいか良く眠れず、妊娠している訳でもないのに、生理も遅れている。ふと気付くと、手が震えていることもある。もしかしたら、何か悪い病気なのかも…。
【ドクターG】 地域医療機能推進機構本部 医師・徳田安春
【ゲスト】 山田五郎、大久保佳代子

~(薬剤・スルピリドの副作用による)薬剤性パーキンソン症候群(やくざいせいぱーきんそんしょうこうぐん)~
パーキンソン病と同じような症状を示すものをパーキンソン症候群と呼び、そのうち、医薬品の副作用としてパーキンソン症状が現れるものを薬剤性パーキン症候群といいます。
パーキンソン病は、体内でドーパミンという物質が十分に作ることができなくなることで不足し、脳から出される運動の命令が全身にうまく伝わらず、体の動きが不自由になる病気です。動作が遅くなった、表情が少なくなった、歩幅が狭くなった、手が震える、バランスが悪く転びやすい等の症状が現れます。
一部の胃腸薬や抗精神病薬などには、ドーパミンの作用を弱める作用があります。こうした薬を服用すると、まれに、副作用としてパーキンソン病と同じような症状を引き起こすことがあります。副作用がでるかどうかは、薬を服用する量や期間にも関係し、また個人差もあります。
症例の患者は、うつ症状や胃の調子を整えるために近所のクリニックで「スルピリド(成分名)」を処方されました。この薬には、ドーパミンの働きを抑える作用があります。この薬の副作用で、手が震えたり、転びやすくなったり、乳汁が出たりしました。薬の服用をやめたことで、すぐに症状が出なくなりました。

※スルピリド(成分名)には、抗精神作用があり、胃の調子を整える薬としても効果が高い薬ですが、まれに副作用が出ることがあります。注意書きをよく読み、医師の指示説明に従って使用することが大切です。

1月14日(木)


第10回 患者の訴え「突然 のどが詰まった」

患者は、飲食店を営んでいた糖尿病の男性(67歳)。人工透析も、インスリンの注射もしている。数日前から、何となく食べ物が飲みこみづらいと感じていたので、昼食は妻に頼んで、のどの通りが良い、にゅう麺にしてもらった。ところが、突然、のどに詰まらせて意識を失い、救急車で運ばれることに。幸い命に別条はなかったものの、飲みこみづらくなった原因がわからない。
【ドクターG】 沖縄県立中部病院 医師・金城光代
【ゲスト】 光浦靖子、ドン小西

~悪性外耳道炎(あくせいがいじどうえん)~
糖尿病の患者さんや、細菌感染に対する抵抗力が低下した高齢者に多い病気です。緑膿菌による外耳道感染症のひとつです。耳かきなどによる傷が原因で、外耳道から緑膿菌が入り、側頭骨、さらには、頭蓋底部まで炎症が進行することがあります。重度で治りにくい病気です。
症状は、重度の耳痛、悪臭のある膿性耳だれなど。治療法は、抗生剤を点滴で継続的に投与して、骨の中にいる菌までを完全に取り除くことです。
症例の患者は、糖尿病の合併症でした。外耳道炎が進行し、骨をとかし、のどの奥にまで腫瘤が達していました。そのせいで、そこを通る舌咽神経などに影響が出て、普段から飲み込みづらかったところ、今回、食べ物(にゅうめん)がつまり、気を失ったと考えられます。
患者は抗生剤の点滴治療を2か月ほどつづけ、腫瘤が小さくなり回復しました。

1月21日(木)


第11回 患者の訴え「腰が痛む」
 
今回のドクターGは、島根県の離島・隠岐の島で、18年間、島民の健康を支えてきた医師だ。患者は、70歳になる小さな旅館の主人。最近、東京の学校でいじめにあった孫娘を島に呼び寄せ、一緒に暮らし始めた。その孫娘が、小学校の学芸会でお姫様の役に抜擢されたという。「失敗したら友だちに嫌われる」と不安に思う彼女のために、練習の相手役を買って出たのだが、翌日、腰が痛くなってしまった。痛みは日に日に増していく…。
【ドクターG】 隠岐島前病院 医師・白石吉彦
【ゲスト】 東尾理子、肥後克広
 
~頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)~
頸椎(首の骨)は7個の椎骨で構成されています。椎骨の間は椎間板という軟骨が、クッションの役目をしています。頸椎の部分で椎間板のクッションが破れて飛び出した状態が頸椎椎間板ヘルニアです。飛び出した部分が、脊髄やそこから枝分かれした神経根を圧迫して、手足のしびれや痛み、運動麻痺など様々な神経症状を引き起こします。
今回の症例は、頸椎の7番目椎骨の下にある椎間板(C8と呼ばれる部分)が飛び出し、頸椎椎間板ヘルニアを起していました。それが原因で、背中の肩甲骨のあたりや腰の痛み(関連痛)などの症状が出ていたケースでした。
頸椎椎間板ヘルニアの治療は、頸椎牽引療法・頸部固定、頸部のマッサージなどの理学的療法などがあります。痛みの程度が強い場合は、筋弛緩剤や消炎鎮痛剤などを用います。症状の悪化・進行が見られる場合には、外科的治療などをすることもあります。

1月28日(木)


第12回 患者の訴え「風呂あがりに倒れた」
 
患者は、共働きの娘夫婦との二世帯住宅で、やんちゃ盛りの孫の世話に追われる女性。最近、孫と一緒に風呂に入ったあと、ふらっとして倒れ、気を失うことが2度もあった。その度に、心配した夫が救急車を呼ぶのだが、病院に着くころにはすっかり元に戻っている。長湯をしてのぼせただけなのか、それとも何か重大な病気が隠されているのか?ドクターGの問診で、思いもよらない失神の引き金が浮かび上がる!
【ドクターG】 東京城東病院 医師・志水太郎
【ゲスト】 岡江久美子、木下隆行
 
~ 鎖骨下動脈盗血症候群(さこつかどうみゃくとうけつしょうこうぐん)~
心臓から腕に向かう動脈(鎖骨下動脈)の入り口が動脈硬化や炎症などにより狭くなり、慢性的に腕に血液が流れにくくなる病気です。左の方が右の鎖骨下動脈より細いため、狭窄や閉塞が起こりやすい傾向があります。腕を激しく動かすなど、腕がより血液を必要とした際に、通常脳にいくはずの血液の一部が腕の方に流れてしまいます。まるで、腕が血液を盗んでしまったような状態になることから、“盗血”症候群と名前がつけられました。結果として、脳へ行く血液が足りなくなり、めまい、しびれ、ろれつが回らないなどの言語障害や、ひどい場合は失神を起こします。
治療は、生活改善で動脈硬化を治すことが大事です。ひどい場合は、血管を広げるなど外科手術を施します。
今回のケースは、高血圧・糖尿病・高脂血症の既往歴を持つ患者で、鎖骨下動脈に起きた動脈硬化のせいで、血管が狭くなったことが原因でした。

2月4日(木)


第13回 患者の訴え「熱が出てだるい」

患者は宅配の会社に勤める40代の男性。都内の営業所の所長をしている。仕事ぶりが評価され、栄転が決まりそうな大事な時期だというのに、最近、熱とだるさでふらふらする。さらに、足も痛くなってきて客に指定された配達の時間に間に合わないことも。そしてとうとう大変なミスをおかしてしまう。大切な荷物を落とし、壊してしまったのだ。このままでは昇進はおろか、満足な仕事もできない。男性の体になにが起きているのか。
【ドクターG】 順天堂大学医学部附属順天堂医院 医師・内藤俊夫
【ゲスト】 高田万由子、山崎樹範

~ 感染性大動脈瘤(かんせんせいだいどうみゃくりゅう)~
大動脈への細菌感染によって血管壁が弱り、膿が溜まるなどして大動脈に瘤ができた状態のことをいいます。血管壁が膨らむため、血管内が狭くなり、血流が流れにくくなります。身体症状としては発熱、背部や腹部の疼痛を伴うことがあります。大動脈瘤が破裂すると、大量出血して突然死することもありますが、それまではあまり痛みなどの症状が出ないことも多い危険な病気です。大動脈瘤壁やその周囲組織からの細菌の検出や、CT所見などから確定診断されます。
治療は、血圧のコントロールを行うとともに、血液培養で菌を特定し、その菌にきく抗生剤を投与します。さらに破裂の危険がある患者に対しては、大動脈瘤を切除する手術や、血管内ステント留置術などを行います。
症例の患者は、腹部大動脈にできた大きな瘤の影響で、熱やだるさ、腰や背中の痛みなどの他に、左足のつけねで動脈が狭くなり、その先に血液が充分に流れなくなって、左足のしびれや痛み(間欠性跛行)を訴えたというケースでした。

2月18日(木)


第14回 患者の訴え「食欲がない」

患者は、夫と娘の3人暮らしの40代の専業主婦。半年ほど前から食欲不振になり、ダイエットをしたわけでもないのに13キロも痩せてしまった。吐き気も…。趣味はフラダンスだが、診察室ではフラダンス教室にはとうてい通えないほど、ふらつきも見受けられる。患者は、「先日のフラダンス発表会で大活躍した」と饒舌に話す。この体調で可能だろうか?ドクターGの疑問が、病名鑑別につながる。
【ドクターG】 千葉大学医学部附属病院 医師・生坂政臣
【ゲスト】 濱田マリ、寺島進

~ 「薬剤性腸吸収不良症候群」(やくざいせいきゅうしゅうふりょうしょうこうぐん) ~
大小腸内の上皮細胞には、繊毛・微絨毛と呼ばれる小突起があり、栄養の吸収を行っています。
高血圧の薬剤・オルメサルタンを長期間(平均3年ほど)服用すると、ごくまれに副作用として小腸の上皮組織が炎症を起こし、絨毛などを傷つけた結果、小腸から脂質、たんぱく質、糖質、ビタミンB1などが吸収しづらくなることがあります。体重減少などを伴う、下痢、食欲不振などの症状が現れます。(2012年にアメリカで副作用の報告があり、現在は製薬会社の注意書きにも記載されています。)
小腸の吸収不良が起きることで、ビタミンB1欠乏(脚気)の状態がひどくなると、物忘れや、作話(作り話をする)をするようになる、ウエルニッケ・コルサコフ症候群に至るケースもあります。
薬を飲むことをやめれば、症状はなくなります。
症例の患者は、高血圧の薬(オルメサルタン)を長期間服用していました。その副作用で、小腸の絨毛が傷つき、ビタミンB1を吸収できにくくなり、ウエルニッケ・コルサコフ症候群(つくり話をする)を発症したケースでした。発見が早かったので、薬の服用をやめると、後遺症もなく、治りました。

2月25日(木)


第15回 患者の訴え「おなかがズーンと痛い」

患者は、児童養護施設で去年から働き始めた21歳の男性。子どもたちが兄のように慕ってくれるようになり、充実した日々を送っていた。施設の誕生会。さまざまな事情で親と一緒に暮らせない子どもたちに、「生まれてきて良かったね」と伝える大切なイベントだ。ところがその最中、下腹部が激しく痛みだした。しばらくがまんしていたが、痛みは治まらず、吐き気もする。男性は、夜間救急でドクターGの病院に駆け込んだ。
【ドクターG】 福井大学医学部附属病院 医師・林寛之
【ゲスト】 宮川大助、宮川花子

~「精巣捻転」(せいそうねんてん)~
精巣捻転とは、文字通り精巣が回転し、精巣と体をつなぐパイプの部分がねじれてしまうことです。精巣は、精嚢(せいのう)という袋の中に入っていて、袋の内側で固定されているため、捻じれません。しかし、まれに精巣が生まれつき精嚢に固定されていないことがあります。そのため精巣が回転してしまい、体から精巣に血液を送り込む血管などが入っている精索(せいさく)と呼ばれる管の部分がねじれてしまうのがこの病気です。
精巣がねじれると、血流が停止して、激しい痛みがでます。ほかに、精巣の腫脹、吐き気と嘔吐、腹痛などの症状がでることもあります。
治療は、まず手で捻転を解除します。ねじれがなおると急速に痛みは取れます。しかし捻転の解除ができず、痛みが持続する場合は、手術を行うことになります。精巣捻転は一刻も早い治療が必要です。発症から6時間以内に治療ができた場合は、90%以上の精巣が正常に戻ると報告されています。25歳以下の若年男性に発症することが多い病気です。
症例の患者は、下腹部の痛みだけを訴えていました。精巣は痛くないといったのですが、精巣の触診をすると、猛烈な痛みを訴えたことで病気が判明しました。

3月3日(木)


第16回 患者の訴え「風邪にしては…だるい」

患者は、老母と2人暮らしの50代の女性。5日前から喉が痛くなり、翌日には高熱が出た。パート先のクリーニング店の暖房が故障して寒い思いをしたあの時に、風邪を引いたのか?しかし、咳も鼻水も出ないし風邪薬も効かない。ドクターGはある病気と診断。2週間ほどで治るはずと、薬を処方して帰した。ところが10日後、以前よりもだるくなったと、再び患者がドクターGを訪ねてきた!
【ドクターG】 神戸市立医療センター中央市民病院 医師・金森真紀
【ゲスト】 篠原ともえ、鴻上尚史

~「遺伝性球状赤血球症」(いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう)~
遺伝子の異常で、膜が弱く壊れやすい赤血球を作ってしまう病気。症状は貧血や黄疸、脾腫など。溶血によるビリルビン産生が長時間持続するため胆石症(ビリルビンカルシウム結石)を合併しやすい病気です。患者のおよそ7割は遺伝性で、3割は遺伝子の突然変異によるものです。壊れてしまう赤血球の量を補うために、その分、骨髄でたくさんの赤血球を作り続けるようになると、貧血にはなりません。治療は重症の場合のみ、輸血や脾臓摘出をします。
症例の患者は、もともと遺伝性球状赤血球症でしたが、壊れる赤血球の量だけ多くの赤血球を作っていたため、普段は貧血症状が出ていませんでした。孫との接触で成人リンゴ病にかかったことで、極度の貧血状態になりました。リンゴ病の原因となるヒトパルボウイルスB19は、赤血球造血前細胞を攻撃するため、赤血球が作られなくなります。そのため、赤血球の数が減少し、ひどいだるさに襲われました。
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