旅日記

「南魚沼 雪国の物語」

リポーター:ジョナサン・シニア

これまで冬の新潟を見たことがなかった私は、あのように寒く厳しい気候を人々がどう生き抜いてきたのかぜひ知りたいと思っていました。旅で出会った年配の素敵な女性にそのことを問いかけてみると、彼女は即座にこう答えたのです。「天国ですから。」…これぞ、この魅力的な日本の地方都市を探索する理由です。

私の旅は、南魚沼市塩沢の牧之(ぼくし)通りから始まりました。江戸時代を復元させたこの通りには、一度は忘れ去られた文化や歴史、そして物語が漂っています。ここは、日本海と江戸を結ぶ交易路として使われた旧街道、三国街道と重なっています。

この通りは、江戸時代のベストセラー「北越雪譜」の著者で塩沢在住だった鈴木牧之にちなんで名づけられました。古い時代に書かれた本なのに、描写が現代の南魚沼にも通じていることに驚きを感じました。

南魚沼が位置するのは、雪をかぶった山々や、川、温泉、そしてどこまでも広がる田んぼに囲まれた、絵のように美しい盆地の中です。この街では冬が重要な役割を果たし、有名な越後上布がうまれる理由のひとつでもあります。布づくりは、各工程が丹念な手作業で行われます。この土地の人々は、布を雪の上に広げて太陽に当てると漂白されることを発見しました。化学反応が知られるずっと前のことです。その製造技術は特別で、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。

そして、浦佐の裸押し合い祭りです。1200年以上の歴史があるこの祭りは、北越雪譜で読んだとおりでした。圧倒的で、忘れられない体験でした。私は1時間以上も押し合いへし合いを繰り返し、ようやく男たちの間を抜けて、軍神であり財運の神でもある毘沙門天を拝むことができました。

人々は親切で、温かい笑顔で声をかけてくれます。彼らはこの地の歴史と美しさを守り、文化や伝統を次世代に伝えるため大きな努力をしています。私はこの素晴らしいコミュニティを、ぜひ再訪したいと思っています。

もしもあなたが冬の旅を計画しているなら、ぜひ裸押し合い祭りの時期をお勧めします。その価値はあります!この谷で作られた米は、日本で最高においしいとされています。地元の料理や酒も、ピカイチです!体験できることの多さに、きっと驚くことでしょう。南魚沼を、ぜひ旅先にお選びください!


「鹿児島・硫黄島 火山とともに」

リポーター:静香アンダーソン

硫黄島での滞在は、私がこれまで日本で過ごしたどの時間とも違うものでした。私は以前にも、地方の小さな町で、地元の人々の温かさや優しさを経験してきましたが、硫黄島にはそれ以上の何かがありました。かつて日本が持っていたのに、おそらく現代の技術や利便性の波にのまれて失われてしまった何かです。

本土から遠く離れているおかげで、この島は、全てがよりシンプルだった時代のタイムカプセルのようになっています。その日海でとれた魚がおかずだった時代、皆が地元のもので生きていた時代、そして町じゅうが互いを支え合う共同体だった時代です。

私が硫黄島で驚いたのは、人口の少なさや本土から離れて暮らす不便にも関わらず(店らしい店がひとつしかなく病院はない)、若い家族や子どもたちが今もたくさんいることでした。外で、自然に囲まれて自由に遊んだり跳ねまわったりしている子どもたちは、この小さな島に新たな命を吹き込んでいます。そして私を、そう遠くはない過去の1日に、そのまま戻ったような気分にさせてくれました。

地元の人々が、島独特の古くからの伝統を大切に守り続けるという揺るぎない信念を持つ一方で、アフリカのジャンベのような新しいものも受け入れていることが、とても素敵だと思いました。島の子どもや青年たちもその楽器が堪能で、音楽やダンスを楽しく日常の一部にしています。

これほど温かく活気ある小さなコミュニティでの生活を経験し、堂々たる硫黄岳の光景や優しい波音の中で再充電できたのは、大きな喜びでした。
私は、きっと時間を置かずに再び硫黄島を訪れることでしょう。島の静けさと、その魂を慕って。


「伊平屋島 冬の楽しみ」

リポーター:ブルース・テイラー

沖縄は、1879年に日本の県になるまでの450年間、琉球王国という独立国でした。以来150年近く、本土の言語や習慣の流入と同化がありましたが、それでも今日においても、沖縄の37の有人島は、大いに見るべき、体験すべき独自の文化を育んでいます。この旅における多くの経験は、僕を、紙の上でしか知らなかった世界へついに探索に出かけた本の虫のような気分にさせました。

あまり有名でない島のひとつである伊平屋島は、沖縄本島の北に位置します。伊平屋で僕がまず心打たれたのは、その美しい海の色でした。陳腐に聞こえるかもしれませんが、本当に美しかったのです。僕はまた、この島を囲むサンゴ礁とも恋に落ちました。引き潮の時にタコを捕るイザリ漁の夜には、岩礁近くの暮らしに対する見方が全く変わりました。案内役の女性たちが漁のスリルを楽しみ、収穫を分けあう相手を考える中で、生き物を見つけるたびに驚嘆していた僕は、さぞ場違いだったことでしょう。僕がいかに自然観察好きか、彼女たちに前もって話しておくべきでした。邪魔にならなかったことを願います。

ヴィレッジトレイルランも初めての体験で、参加の機会が持てて本当によかったです。観光客が島を走ったり歩いたりするのはとてもいいアイデアだと思います。普通のツアーと違い、運動の楽しみがあるのはもちろん、ルート上で立ち止まり、好きな景色や場所をのんびり楽しむことができます。僕は、東京の僕の家の近所から来たランナーや、遠くフランスから来た人にまで出会いました。

伊平屋で僕は、沖縄の三味線「三線」に合わせた歌い方や、豆腐の作り方、モリや手で獲るタコ漁のやり方を学びました。ここでは、島や海のもので生きる生活と近代化が見事に融合し、琉球独自の美や建築と日本文化が印象的に混ざりあっています。僕にとって、これ以上ない沖縄体験となりました。現地で交流した皆さんのご健勝をお祈りしています。

「冬・鳥取 カニづくし」

リポーター:ダニエル・ウルパート

人生の半分以上を日本で暮らしている私ですが、鳥取県という美しい場所にはもう20年近く訪れていませんでした。今回、この土地について、特に人気のカニをめぐる人々の営みについて、本当に楽しく学ぶことができました。カニは、季節になると地元の人々も観光客も心待ちにする、おいしい冬の味覚です。

私にとって、「ジャーニーズ・イン・ジャパン」を通していわゆる“日本体験”ができるのは本当に光栄なことであり、番組に参加できることを幸運に感じています。ありがとうNHK、そして関係者の皆さま!


「日南 あらたな息吹」

リポーター:カイル・カード

今回の旅で、私はかつて宮崎県の主要都市だった日南市の油津と飫肥(おび)を訪れました。温暖な気候でふだんは暖かい地域なのですが、訪れた季節が冬だったため、冷たい海風を味わいました。

かつて街が栄えていた頃の写真と比べると、通りも店も昔よりかなり人が少なく、今回の話の主人公である油津中心部の商店街も例外ではありませんでした。この地の繁栄の最大の源だったマグロ漁と林業に携わる人々で町がひしめいていた日々は、過ぎ去っていました。ひと気のない通りとシャッターの降りた空き店舗が目立ちましたが、実は今、寂れた地区に新たな活力を吹き込む動きが起きています。

若い世代が改革を推し進める中、この新しい動きをアシストするために各地から日南に戻ってきた、多くの熱意ある人たちに出会いました。彼らは、従来の商店街の概念に新しい解釈をもたらし、いかにして次の世代に最も良いかたちで受け継いでいくかを考えています。私は彼らの発想と意欲に大いに刺激を受け、その尽力の成果に感動しました。

最も感動的だったのは、古い商店街に若者たちが戻ってきたことでしょう。これまで日本中を旅してきた私は、若者たちが就職で都会へ出てしまったために若い人の姿がなく、手入れが行き届かなくなった商店街をたくさん見てきました。しかし油津では、若い人たちが商店街で収入のよい仕事を得られる機会が多く、地元で働き子どもたちを育てたい人たちが大都市から少しずつ戻ってきています。若さが引っぱっていく改革の先にある未来に、私は心からワクワクしています!


「高知・中芸 ユズに託して」

リポーター:デヴィット・ウェルス

正直なところ、ユズに注目し始めたら最後、高知へ行かないわけにはいきませんでした。そこには驚くべき発見がありました。予測していなかった発見でした。

人は冒険に出ると、全く意外なことに出会うもののようです。私の場合は、あるものを探しにいくと別のものを発見し、それによってさらに別のものへと導かれ、それによってまた別の何かを知ることになります。私が思うに、物事にはすべて3つの層があるようです。そしてもちろん、今回のお話も例外ではありません!

今回の旅の目的はユズの実だけではなく、その植栽を訪ねることでした。必然的に私は、人々に影響を与え、のちに県の経済をかたちづくることになる地元の歴史を知りました。その歴史の上に様々なことが積み重なり、ユズという柑橘類が高知に登場したのです。

経験を積んだ和食の料理人として言いますと、私は常々、ユズがこんなメッセージを携えているように感じていました。「私が冬の香りだ!」と。明るく美しいユズの実を目にすると、「冬が来た!」と実感します。

そうなると私はおのずと方針を変えて、メニューを冬モードにするです。鍋料理などの温かい料理を増やし、皿や食器類をぽってりとした陶器にします。その上にはもちろん、他ならぬユズが載るのです。

しかし、これはほんの初歩に過ぎません。さらにもう一歩進む人たちもいます。つまり、ユズで満たした風呂に入るのです。実を言いますと、私もユズ湯を体験し、そのかぐわしさにうっとりとしただけでなく、抽象的な話ですが「これは悟りの芳香かもしれない」と感じたのでした。


※過去6回放送分を掲載しています。
Page Top