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※過去1ヶ月分を掲載しています。

12月17日放送の「お題」

◇BGM選手権 :


12月10日放送の「お題」

◇BGM選手権 :
呼吸(いき)すれば、
胸の中にて鳴る音あり。
凩(こがらし)よりもさびしきその音!

眼閉づれど、
心にうかぶ何もなし。
さびしくも、また、眼をあけるかな。

途中にてふと気が変り、
つとめ先を休みて、今日も、
河岸をさまよへり。

咽喉がかわき、
まだ起きている果物屋を探しに行きぬ。
秋の夜ふけに。

遊びに出て子供帰らず、
取り出して、
走らせて見る玩具(おもちゃ)の機関車。

本を買いたし、本を買いたしと、
あてつけのつもりではなけれど、
妻に言ひてみる。

旅を思う夫の心!
叱り、泣く、妻子の心!
朝の食卓!

家を出て五町ばかりは、
用のある人のごとくに
歩いてみたれど――

痛む歯をおさへつつ、
日が赤々と、
冬の靄(もや)の中にのぼるを見たり。

いつまでも歩いていねばならぬごとき
思ひ湧き来(き)ぬ、
深夜の町々。

なつかしき冬の朝かな。
湯をのめば、
湯気がやわらかに、顔にかかれり。


石川 啄木 作 歌集「悲しき玩具」より

12月3日放送の「お題」

◇勝手に名付け親 :

ショスタコーヴィチ作曲「チェロ・ソナタ ニ短調 作品40から 第2楽章」
※曲を聴いて受けた印象をもとに、新たな曲名を考えて送ってください。

11月26日放送の「お題」

◇BGM選手権 :
夜遅く巴里の裏通を歩いていると、一種独特な臭気が、どこからともなく
鼻をついて来る。それが多くは、冬または冬に近い季節の夜である。
私は、いまだに、その臭気が何物の臭であるか、わからずにいるのだが、
それは多分煙草のヤニと、牛の血と、バタの腐ったのと、洗濯物と、
それらの混合した臭ではないかと思っている。
一口に云えば、それが巴里のかの有名な下水の臭かもわからない。
その臭も、日本に帰ってからかなり長く臭がないので、
自然忘れてしまったところ、近頃、ふとその臭を思い出したのである。
思い出したというよりも、その臭と同じ臭が、私の鼻をかすめたのだ。
なんの臭だろう。そう思って、あたりを見まわして見るが、その臭は、どこから
臭って来るのでもなく、実は自分の鼻の孔に籠っているらしいのである。
私は、鼻をくんくん云わせて、この不思議な「臭の幻覚」を追い払おうとしたが、全く無駄であった。
いろいろ研究の結果、それは私が多少とも風邪を引いている時に限るという奇妙な事実を発見したのである。
私は、今また風邪を引いている。そして、幾冬かの間嗅ぎ慣れたかの巴里の夜の
臭を、今、懐かしく嗅ぎ直している。


岸田 國士 作 「風邪一束」(※文中、一部割愛)

11月19日放送の「お題」

◇勝手に名付け親 :

ハイケンス作曲「セレナード 作品21」
※曲を聴いて受けた印象をもとに、新たな曲名を考えて送ってください。


11月12日放送の「お題」

◇BGM選手権 :
風は いっぺんに十人の女に恋することが出来る
男はとても風にはかなわない
夕方――
やわらかいショールに埋づめた彼女の頬を風がなでていた
そして 生垣の路を彼女はつつましく歩いていった
そして また 路を曲がると風が何か彼女にささやいた
ああ 俺はそこに彼女のにっこり微笑したのを見たのだ
風は 彼女の化粧するまを白粉をこぼしたり
耳に垂れたほつれ毛をくわえたりする
風は 彼女の手袋の織目から美しい手をのぞきこんだりする
そして 風は 私の書斎の窓をたたいて笑ったりするのです


尾形 亀之助 作 詩集「色ガラスの街」から 「風」


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