2018年度 こころの時代

2019年3月10日放送「歌詠みとして今を生きる」

2019年3月10日放送「歌詠みとして今を生きる」

歌人・馬場あき子さん、91歳。その原点は戦争体験。戦後の焼け野原の中ではじめて、自分が一個の“物”ではなく、一人の“人間”であることに気づいたという。その後、教師となり、歌を詠みながら、能や古典の研究にも打ち込んできた馬場さん。たとえ国が滅んでも、歌や芸能によって言葉が守られれば、人々の”いのち”は失われないと語る。常に心に一匹の“鬼”を飼ってきたという馬場さんの半生と数々の歌をたどり、話を聞く。

【出演】馬場あき子(歌人)
 


2019年3月3日放送「終わりなき“平和への巡礼”」

2019年3月3日放送「終わりなき“平和への巡礼”」

父が牧師という家庭に育った植松誠さんは、若い頃、「汝の敵を愛せ」という教えを“きれいごと”と感じ、反発した。しかし、アメリカ留学中の元日本軍捕虜米兵との劇的な出会いにより、一度は離れようとした聖職の道を目指す。人は憎しみや怒りを乗り越えられるのか。真の和解や赦しはあり得るのか。日本聖公会首座主教として、世界宗教者平和会議日本委員会理事長として、日々問い続ける植松さんに、自らがたどった人生と思想を伺う。

【出演】植松誠(牧師 日本聖公会首座主教)


2019年2月24日放送「命の輝きをうつす」

2019年2月24日放送「命の輝きをうつす」

奈良県在住の映像作家・保山耕一さん(55)。末期がんを抱えながら、毎日、奈良の自然や寺社仏閣を撮影している。その日に撮った映像はすぐさま編集してSNSで発表。「奈良の365日の季節のうつろいを写した作品」は「涙が出る」「神様の気配がする」と静かな反響を呼んでいる。自らの死と向き合いながら、奈良の風景を写し続ける保山さんにレンズの先に見つめる世界について伺う。

【出演】保山耕一(映像作家)


2019年2月10日放送「詩人 尹東柱を読み継ぐ人びと」

2019年2月10日放送「詩人 尹東柱を読み継ぐ人びと」

尹東柱(ユン ドンジュ)は、韓国人なら誰でも知っている詩人。日本の植民地支配下で、自らの母語、朝鮮語で詩を書き続けた。日本の大学で学んでいたとき、治安維持法違反容疑で逮捕され、1945年2月16日、福岡刑務所で獄死した。27歳だった。番組では、尹東柱の詩を読み継ぐ人たちを、日本各地に訪ね、詩人の足跡をたどる。それぞれに詩を読み解くことで、厳しい時代を、誠実に生きた詩人の深い心のうちに触れる。

【出演】井田泉(日本聖公会奈良基督教会 牧師・司祭)
水野直樹(京都大学 名誉教授)
楊原泰子(詩人 尹東柱を記念する立教の会 代表)
馬男木美喜子(福岡・尹東柱の詩を読む会 代表)


2019年2月3日放送「積極的感受」

2019年2月3日放送「積極的感受」

90年代後半、ロックバンド「叫ぶ詩人の会」のボーカルや、中高生向けの深夜ラジオのDJとして人気を博したドリアン助川。作家としての著作も多く、2013年に発表した小説「あん」はフランスやドイツなどで翻訳、映画化もされ、カンヌ国際映画祭で高い評価を受けた。生産性や効率が重視される現代、ドリアンは「積極的感受」という生き方を提案する。人は何のために生きるのか、新宿・ゴールデン街の酒場で対話を重ねた。

【出演】ドリアン助川(作家)


2019年1月27日放送「山の人生 山の文学」

2019年1月27日放送「山の人生 山の文学」

熊野古道に近い和歌山県田辺市中辺路町に暮らす作家の宇江敏勝さん(81)。炭焼きの家に生まれた宇江さんは、自ら炭焼きや山林労働者として働き、山人たちの暮らしをつづった数々のルポルタージュを発表してきた。そして2011年から、果無山脈や十津川などを舞台に、山の民の信仰や伝説を描いた民俗伝奇小説を書き継いできた。熊野に生き、そして書いた、宇江さんのはるかなる山の人生と文学について語っていただく。

【出演】宇江敏勝(作家)


2019年1月13日放送「“在る”をめぐって」

2019年1月13日放送「“在る”をめぐって」

辺見庸の最新作『月』は2016年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件をきっかけに書かれた。ノンフィクションではなく、小説でなければ、あの事件を書くことはできなかったと言う。『月』では、目も見えず言葉も発せず動けない登場人物が、「在る」とはどういうことかを、繰り返し問う。「在る」に価値や意味を強制する社会とはなにか。問い、考え続けることが事件への正当な反論になるのだと語る辺見の言葉に耳を傾ける。

【出演】辺見庸(作家)【朗読】ミッツ・マングローブ


2018年12月23日放送「あたたかな弁当に宿る心」

2018年12月23日放送「あたたかな弁当に宿る心」

シンガポールは世界で最も裕福な国の一つ。しかし、そこには人知れず苦しむ数多くの貧しい人々がいる。トニー・テイさんは、休む日もなく15年間、彼らに無料で弁当を届けて来た。その弁当配達は、今や大きなボランティア団体に成長し、数も6000食ほど。その原点には、修道院で育った彼自身の貧しく厳しい生い立ちがあった。早朝から始まるトニーさんの活動に密着し、彼が何を信念として来たか、その背景にある思いを聞く。

【出演】トニー・テイ(ボランティア団体代表)


2018年12月9日放送「にんげん宣言」

2018年12月9日放送「にんげん宣言」

国立ハンセン病療養所「多磨全生園」で暮らす山内きみ江さん(84)。差別や偏見から、多くを失い、諦めざるを得なかったきみ江さんにとって転機となったのが、67歳のとき、当時、高校を卒業したばかりの真由美さんを養女に迎えたことだった。さらに、社会復帰を目指し、園の外での生活も体験した。人権を踏みにじられながら生きてきたきみ江さんに、人間とは何か、母としての思い、そして、次代に伝えたいメッセージを伺う。

【出演】山内きみ江


2018年12月2日放送「最期のときの思いをつなぐ」

2018年12月2日放送「最期のときの思いをつなぐ」

村松静子さんは、まだ訪問看護制度がなかった昭和61年、勤めていた病院を辞め、日本で初めての在宅看護会社を設立。訪問看護師のパイオニアとして活動を続け、これまでに3千人以上の最期を看取ってきた。悔いの残らない幸せな死とはどのようなものなのか。そして看護師には何が出来るのか。医師と患者、家族の間の懸け橋となり、患者さんがその人らしく、最期まで生き抜く手助けをする看護師のこころについて、お話しいただく。

【出演】村松静子(看護師)


2018年11月25日放送「祈りの竪琴」

2018年11月25日放送「祈りの竪琴」

アメリカ人宣教師のキャロル・サックさんは、日本に暮らして35年余り。52歳の時、死に直面する人をハープや歌声を用いて看取る「音楽サナトロジスト」の資格を取得。以後、その学びを発展させ、ホスピスや病院、高齢者施設、刑務所などで広く、苦しみや困難の中にある人に音楽による祈りを届ける活動を続けてきた。一人一人の呼吸に合わせて奏でる音楽は、その人がかけがえのない存在であることを伝える祈りとなる。その力とは。

【出演】キャロル・サック(宣教師・音楽サナトロジスト)


2018年11月4日放送「反骨~中村敦夫の福島~」

2018年11月4日放送「反骨~中村敦夫の福島~」

俳優の中村敦夫さん(78)。人生の終盤をかけて取り組むのが原発事故の悲劇を描く朗読劇だ。戦時中に疎開し、小学校1年からの10年間を過ごした福島は第二の故郷。被災地をくまなく回って取材した人々の怒りや悲しみに寄り添い、3年がかりで台本を執筆した。元原発技師の主人公を通じて原発事故で何が起きたかを劇的に表現、被災地とは直接関わりのない人々の心を揺り動かしている。事故の風化にあらがう反骨の日々を見つめる。

【出演】中村敦夫(俳優)

2018年10月28日放送「“今ここ”に気づく」

2018年10月28日放送「“今ここ”に気づく」

タイで出家した日本人僧侶プラユキ・ナラテボーさん(56)。タイ・スカトー寺の副住職を務めながら、不安を抱える多くの日本人の悩みに答えてきた。彼らに心の安らぎを取り戻してもらうために実践しているのが「手動瞑想」。手を繰り返し動かし、今この瞬間に意識を向ける修行だ。過去や未来を思い煩うのではなく、今をしっかり見つめることで、自由な生き方ができると説くブッダの言葉を読み解く。

【出演】プラユキ・ナラテボー(タイ・スカトー寺 副住職)

2018年10月14日放送「“個”として生きる」

2018年10月14日放送「“個”として生きる」

今年1月、ガンとの闘病の末にこの世を去った、ラップ音楽界のレジェンド、ECD(石田義則・享年57)さん。生涯貫いたのは、人は「個」で生きるという信念。それを貫くためなら、築き上げた立場を捨て、「個」の表現を突き詰めるため、アルコール依存症になるまで自らを追い込む。その壮絶なまでのストイックな生き様(ざま)に、周りの人々の証言、人生をつづったエッセイ、そして生涯をかけて作り続けた魂の名曲の数々で迫る。

【出演】サイプレス上野(ラッパー)、石黒景太(デザイナー)、磯部涼(ライター)、植本一子(写真家)


2018年9月30日放送「外国人収容者と共にありて」

2018年9月30日放送「外国人収容者と共にありて」

難民の認定を求めて申請中の人や不法滞在に問われた人などの外国人が収容されている長崎県大村入国管理センター。ここに収容されている人たちは、日本からの強制退去を待つ身だが、送還されて帰国すると身の危険があるなどの事情を抱え、長期間の収容が常態化している。先の見えない日々の中で極限状況に達する人たち。牧師・柚之原寛史さんは2005年から13年間、のべ3800人と面会を続け、その悲痛な声に耳を傾けて来た。また、彼らからの希望で、全国の入管施設には例のない集団での礼拝も、1か月に1回、定期的に行っている。なぜ、柚之原さんはこのような活動を続けて来たのか。その背景には、彼自身が経験した人生の苦しみや目覚めがあった。

【出演】柚之原寛史(牧師)


2018年9月16日放送「シリーズ マンダラと生きる 第6回」

2018年9月16日放送「シリーズ マンダラと生きる 第6回 マンダラと日本人 わたしたちはどう生きるべきか」

平安時代に空海によってもたらされたマンダラは、その後、日本独自の変化を遂げていく。ほとけの姿よりも、寺社を取り巻く山々の姿が大きく描かれた「宮曼荼羅」、熊野や那智、伊勢などの霊地へ参る人々の姿を描いた「参詣曼荼羅」など。そこには、日本人の自然観や神仏習合の考え方が色濃く投影されている。日本人は何を考えてきたのか、これからどう生きていけばよいのか。最終回は、マンダラの現代的なメッセージを読み解く。

【出演】正木晃(宗教学者)【きき手】渡邊あゆみアナウンサー


2018年8月19日放送「シリーズ マンダラと生きる 第5回」

2018年8月19日放送「シリーズ マンダラと生きる 第5回 むすびつけるということ 両部マンダラの革新」

日本では、胎蔵マンダラと金剛界マンダラという2つのマンダラが、教えの根幹として伝承されてきた。胎蔵マンダラは、利他行と慈悲の心。金剛界マンダラは、悟りへの修行法を説く。大きく性格の異なる2つのマンダラを結びつけたのは、空海の師・恵果和尚。恵果は、マンダラを空海に託し、人々の幸福に役立てるよう説いたという。その後の空海の人生を大きく変えた2つのマンダラ。空海の行動をもとに、その智慧をひもとく。

【出演】正木晃(宗教学者)【きき手】渡邊あゆみアナウンサー


2018年7月15日放送「シリーズ マンダラと生きる 第4回 心をきわめる 金剛界マンダラの世界」

2018年7月15日放送「シリーズ マンダラと生きる 第4回 心をきわめる 金剛界マンダラの世界」

金剛界マンダラは、弘法大師・空海が唐から持ち帰った最も重要なマンダラのひとつ。この身このままで悟りに至る“即身成仏”のための道を説く。密教が考える悟りは、本尊である大日如来と自らが、本質的に同じであるという実感を持つこと。金剛界マンダラには、その実感を得るための瞑想法があらわされている。強い自己肯定感と他者への慈しみにもつながるという、その深遠な教えの世界を読み解く。

【出演】正木晃(宗教学者)【きき手】渡邊あゆみアナウンサー


2018年7月8日放送「詩の傍(そば)で」

2018年7月8日放送「詩の傍(そば)で」

今年、沖縄で開催された「涯テノ詩聲(はてのうたごえ)詩人 吉増剛造展」。吉増さんは1960年代から日本の現代詩の最先端を走り続けてきた。1970年に発表された『黄金詩編』、少年時代を過ごした多摩川や基地の町・福生の記憶を描く『草書で書かれた、川』や、南島、奄美・沖縄への旅、さらに東日本大震災後に発表された『怪物君』など、文明の涯て(はて)から時代を見つめる詩の世界と、人生の軌跡を語っていただく。

【出演】吉増剛造(詩人)


2018年6月24日放送「“豊かな終わり”を見つめて」

2018年6月24日放送「“豊かな終わり”を見つめて」

“豊かな終わり”を人々に迎えて欲しいと語るのは医師の徳永進さん。多くの命と向き合ってきた末に2001年に鳥取市でホスピスを備えた診療所を開いた。徳永さんは“死を目前にしたときの人の真剣さ”に感動しているという。死を“人生の一部をなす姿”ととらえ、逝く人、送る人たち、共に心を通わせながら“その時”を迎えるのが理想の姿という。誰しも避けたいが必ずおとずれる“死”を通して徳永さんが見つめる命とは?

【出演】徳永進(医師・野の花診療所院長)【きき手】住田功一アナウンサー


2018年6月17日放送「シリーズ マンダラと生きる 第3回 世界とつながる 胎蔵マンダラの叡智」

2018年6月17日放送「シリーズ マンダラと生きる 第3回 世界とつながる 胎蔵マンダラの叡智」

胎蔵マンダラは、空海が唐から持ち帰った最も重要なマンダラのひとつ。密教の本尊・大日如来の広大無辺の慈悲を説く。描かれているのは、ほとけばかりでなく、地獄に住む鬼や異教であるヒンドゥー教の神々の姿も。あらゆる存在を等しく尊いとみる革新的な世界観を提示している。さらに、胎蔵マンダラには星や星座などの天体も描かれている。自然と人間はどう関わってゆくべきか、そこに込められた現代的なメッセージも読み解く。

【出演】正木晃(宗教学者)【きき手】渡邊あゆみアナウンサー


2018年5月20日放送「シリーズ マンダラと生きる 第2回 密教のなりたち マンダラ誕生の背景」

2018年5月20日放送「シリーズ マンダラと生きる 第2回 密教のなりたち マンダラ誕生の背景」

仏教の伝来から250年あまりが経った9世紀初め、日本に新たなタイプの仏教、密教が伝わった。この密教こそがマンダラの生みの親。日本における密教の第一人者、弘法大師・空海は、当時の日本人にとって新しい儀礼「護摩」を取り入れた。所願の成就を願う護摩で修行者はいくつもの象徴(シンボル)を駆使して、仏と一体となることを目指す。そこでは何が行われているのか。密教とマンダラの関係の一つ、瞑想についても考える。

【出演】正木晃(宗教学者)【きき手】渡邊あゆみアナウンサー


2018年5月13日放送「破壊された心の復興」

2018年5月13日放送「破壊された心の復興」

上智大学アンコール遺跡国際調査団長の石澤良昭さんは、1970年代、共に励まし合って保存修復を進めていたカンボジア人の親友たちをポルポト政権下の虐殺で失う。彼らの遺志を継ぐため、石澤さんは自らの修復活動において、未来を担うカンボジア人の後継者を育てることを柱とした。様々な困難を乗り越えながら、遺跡の保存修復を通して、暗黒の時代に傷ついた人々の「心の復興」を続けて来た石澤さんに、その人生と信念を伺う。

【出演】石澤良昭(歴史学者・上智大学アジア人材養成研究センター所長)【きき手】道傳愛子(NHK解説委員)


2018年4月22日放送「古(いにしえ)の大和へ」

2018年4月22日放送「古(いにしえ)の大和へ」

奈良県立大学客員教授の岡本彰夫さんは、長らく春日大社に務めた神職でもある。奉職中は権宮司としてさまざまな祭りの復興に尽力するかたわら、奈良の美術工芸品「大和古物」を調べ上げるなど、奈良の伝統文化に光を当てる多彩な活動を続けてきた。長い時間の中で人々が受け継いできた技や知恵にこそ意味があると語る岡本さん。深い歴史をたたえる奈良で、岡本さんがたどり着いた境地を伺った。

【出演】岡本彰夫(奈良県立大学客員教授(元春日大社権宮司))【きき手】原大策アナウンサー


2018年4月15日放送「シリーズ マンダラと生きる 第1回 なぜマンダラか」

2018年4月15日放送「シリーズ マンダラと生きる 第1回 なぜマンダラか」

マンダラとは、密教が世界や心の構造に関する最高の真理を、言葉や文字ではなく、視覚を通して伝えるために開発した図像だ。その特徴は幾何学的な構成や強い対象性。日本では1200年ほど前に空海が留学先の唐から持ち帰って以来、独特の展開を遂げてきた。一方で、密教のマンダラとは縁がない地域にもマンダラに似た図像が存在する。これはマンダラ型の図像が人類に共通する深い精神性と無縁ではないことを示唆しているという。

【出演】正木晃(宗教学者)【きき手】渡邊あゆみアナウンサー


2018年4月8日放送「アメリカで生きる仏教」

2018年4月8日放送「アメリカで生きる仏教」

僧侶のケネス田中さんは、日本におけるアメリカ仏教研究の第一人者。家族と共に10歳で渡米し、13歳の時に北カリフォルニアの仏教会で浄土真宗に出会った。激動の60年代、アメリカで青春時代を過ごし、生涯を仏教に捧げることを決意。以後、アメリカ人と日本人を見つめながら、現代的な仏教のあり方を探求してきた。ケネスさんが説くのは、人生を肯定する、明るく楽しい前向きな仏教。その真骨頂をお話しいただく。

【出演】ケネス田中(武蔵野大学名誉教授・僧侶)

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