2018年11月11日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第8回 カナン定住」

エジプトから脱出したイスラエルの民は、モーセの後継者ヨシュアに率いられて、約束の地カナンに足を踏み入れた。カナンの地は、かつて神ヤハウェがイスラエルの民に与えると約束した地で、「嗣業(しぎょう)の地」と呼ばれた。嗣業の地には、所有者が勝手に売買してはならないという原則があり、土地は人間が生きるために必要な作物を実らせるが、その究極的な所有者は神である、という考え方があった。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年11月4日放送「マザー・テレサに導かれて」

片柳弘史さんは大学在学中に父を亡くし、人生に迷っていたとき、本で知ったマザー・テレサが存命だと聞いて驚き、インドにある彼女の施設「死を待つ人の家」でボランティア活動を始めた。ところがある日、マザーから「あなたは神父になりなさい」と言われ、当惑してしまう・・・。その後、司祭となった片柳さんの伝道活動を支えてきたマザー・テレサの言葉や、身近に接して学んだことなど、思い出とともに話を聞く。

【出演】片柳弘史(カトリック宇部教会 主任司祭)


2018年10月28日放送「生と死を見つめて より豊かに生きる」

金子真介さんは、宗教が人を弔う鐘ではなく、現代は宗教の終えんを弔う鐘が鳴り響いている、という宗教学者の言葉に発奮し、長崎県大村市に寺を建て、その落慶法要を「生と死を見つめるセミナー」と題して行った。以来30年以上、このセミナーを続けている金子さんは、人間の命はろうそくの灯のようなもの、刻一刻と命を削る脈拍と、死が避けられないことを自覚し、残されている命をどう使うかを考えるのが宗教だと説く。

【出演】金子真介(長崎・禅心寺 前住職)


2018年10月14日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第7回 出エジプト」

古代イスラエルの民がモーセに率いられ、奴隷だったエジプトから脱出する「出エジプト」の物語。モーセはシナイ山に登り、神から、民が守るべき律法を授かる。その内容は、宗教的戒律にとどまらず、供犠や献物に関わる祭儀法から社会生活、家族生活に関わる様々な社会法まで、多岐にわたった。その後、苦境におかれた信徒たちを励まし、そこからの解放を語る希望の物語として読み継がれていく「出エジプト」の物語を読み解く。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年10月7日放送「ハワイに仏教歌を探して」

明治時代後期から戦後にかけて、ハワイ島コナ地域では、浄土真宗本願寺派に属する日系人女性を中心に数多くの仏教歌が生み出された。貧困と過酷な労働、そして差別に苦しんだ女性たちが、信仰によって救われた喜びを歌ったもので、感動的な作品が少なくない。詩歌・物語など、声の文学の研究者ウェルズ恵子さんが、現地調査を元に彼女たちが残した歌を紹介し、その感受性と精神性の伝統について語る。

【出演】ウェルズ恵子(立命館大学教授)


2018年9月23日放送「神父の私が実践している仏教の瞑想法」

カトリックの修道会イエズス会には、イグナチウス・ロヨラが確立した「霊操」という瞑想法がある。イエズス会士として瞑想の指導をしている神父の柳田敏洋さんは、インドで本来は仏教の修行として行われていた「ヴィパッサナー瞑想」を体験。身体の姿勢を重視する、その瞑想法の有効性に気づいたと言う。番組では、「霊操」と東洋の瞑想法の統合を試みている柳田さんに、ヴィパッサナー瞑想がいかなる修練法なのか、話を聞く。

【出演】柳田敏洋(イエズス会霊性センター「せせらぎ」所長)


2018年9月9日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第6回 ヤコブとその子ら」

今回は、ヤコブの12人の息子たちの物語。ヤコブは、最愛の妻との子、ヨセフを溺愛する。兄たちは妬みと憎しみから、ヨセフを隊商に売り渡してしまう。その後、エジプトで名を上げたヨセフは、全国を支配する為政者となり、兄たちと再会する・・・。目に見える出来事の背後には、人間の悪しき企てさえも良い結果にいたる道筋にしてしまう、目に見えない神の摂理が働いているという信仰について、月本さんに語っていただく。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年9月2日放送「シリーズ 沖縄キリスト教の歩み 後編「米軍占領下の戦後と現在」」

沖縄のキリスト教を研究してきた一色哲さん。従来の日本「一国伝道史観」が見落として来た沖縄特有のキリスト教の歴史を現場調査で明らかにしてきた。近代の沖縄キリスト教史をたどった前編に続き、後編では、凄惨な地上戦となった第二次世界大戦を経て、日本本土から切り離され、米軍統治下に置かれた沖縄を見つめる。「信徒の教会」として復興し、発展を遂げた沖縄の戦後の信仰と、基地問題に揺れる現在との関わりについて語る。

【出演】一色哲(歴史学者・帝京科学大学教授)


2018年8月26日放送「共に生きる われとわれら」

脳性まひのある頼尊恒信さんは、小中学校といじめにあい、周りを見返そうと障害者スポーツに打ち込む。日本記録を出す一方で、自分はいつまで生きることができるのか、悩みは尽きなかった。その経験を経て、障害者に安穏な日々を与えられる宗教者になることを決意し、改めて親鸞の思想を学んでいくが・・・。自立生活センター「CILだんない」の活動を始めるまでの頼尊さんの半生をたどりながら、親鸞の思想を通して考えた共生の姿をお話していただく。

【出演】頼尊恒信(聞稱寺副住職・「CILだんない」事務局長)


2018年8月19日放送「ベールの下の素顔 イスラーム女性の日常」

イスラームの女性と言えば、ベールを目深にかぶり、長いドレスをまとって、人目を避けるように歩くイメージが強い。ところが、そのような女性の姿はイスラーム諸国に民主化のドミノ現象が起こった「アラブの春」以降に多くなったという。中東諸国で20年近く生活してきた塩尻和子さんが、自ら見つめてきたイスラーム女性の日常生活や服装、結婚と離婚など、ベールの下の意外な素顔を聖典クルアーンの教えと比較しながら語る。

【出演】塩尻和子(東京国際大学国際交流研究所所長)


2018年8月12日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第5回 アブラハム」

創世記12章からは、古代イスラエルの父祖たち、アブラハム・イサク・ヤコブの3世代にわたる物語が語られる。アブラハムの妻サラには長らく、子どもが授からなかったが、年老いて、念願の男児を授かり、イサクと名付けた。しかし、アブラハムは神から「イサクを犠牲に献(ささ)げよ」と命じられる。神が告げる不条理を、アブラハムはただ「おそれとおののき」をもって受け止めるほかになかった・・・。神信仰の本質に迫る。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年8月5日放送「平和の家を作る」

戦後間もない被爆地広島で、家を失った人々のために住宅を建て続けた人がいる。アメリカの森林学者フロイド・シュモーは、非暴力を旨とするクウェーカー教徒。第一次大戦中は良心的兵役拒否で重労働に従事、第二次大戦中は収容所に入れられた日系人の救済に尽力した。広島に原爆が落ちたとき、その苦しみは自身のもの、自身がその罪を背負う者だと感じ、仲間と共に広島への真心を行動で示そうと志す。平和を願う彼の思いをたどる。

【出演】西村宏子(シュモーに学ぶ会)


2018年7月29日放送「自分を裏切らない言葉を求めて」

人々が発する言葉が、真実や真理から遠くなっているように感じられる今、教育に求められているものを考える。教育者として若者の成長を見守ってきた安積力也さんは、青年たちの言葉が情報伝達のためのものに傾き、自らの内面を深く語る言葉が失われていると考えている。戦時の反省をもとに、戦後、真理を探究する人間を育てることを目標に制定された教育基本法。同調圧力が強いとされる日本社会で真理を探究する人間を育てるには。

【出演】安積力也(基督教独立学園 前校長)


2018年7月22日放送「土の器-父 阪田寛夫のキリスト教-」

童謡「サッちゃん」や「おなかのへるうた」の作詞者として知られ、熱心なキリスト者だった母の生涯を描いた小説「土の器」で芥川賞を受賞した阪田寛夫は、長女の内藤啓子さんによると、キリスト教徒であることが同級生に理解されなかった高校生時代には「隠れキリシタン」になり、多忙な社会人になると教会を離れ、自称「不良クリスチャン」になったという。しかし後年、妻から教会への復帰を促され、夫妻で教会通いを再開した。心の奥底に信仰の灯が絶えることのなかった父の生涯を内藤さんが回想する。

【出演】内藤啓子(エッセイスト)


2018年7月15日放送「シリーズ 沖縄キリスト教の歩み 前編「近代化の苦難から生まれた独自性」」

沖縄のキリスト教を研究してきた一色哲さんは、従来の日本「一国伝道史観」が見落として来た沖縄特有のキリスト教の歴史を数々の現場調査で明らかにしてきた。沖縄キリスト教の歩みを語る2回シリーズの前編は、その独自性の特徴と近代「琉球処分」以降から沖縄戦に至るまでの戦前の歴史に焦点を当てる。沖縄キリスト教の根底には、日本という国家の周縁の地とされ、その支配と抑圧を受けて来た人々が求める切実な救いがあった。

【出演】一色哲(歴史学者・帝京科学大学教授)


2018年7月8日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第4回 大洪水」

旧約聖書の原文は、古代イスラエルの人々が用いていたヘブライ語。今回のシリーズでは、ヘブライ語で伝わる旧約聖書に込められた思想と信仰を探っていくことで、宗教史にはかり知れない影響を与えた旧約聖書の秘密の一端を解き明かす。第4回は、神ヤハウェが人間と動物たちをぬぐい去ろうと起こした大洪水について。古代メソポタミアに伝わる洪水伝説や、箱船によって難を逃れたノアと家族の、その後の話と共に読み解いていく。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年7月1日放送「ゾロアスター教に魅せられて」

ゾロアスター教は、紀元前二千年紀に中央アジアで牧畜生活を送っていたアーリア人・ザラスシュトラによって生み出された宗教。やがてペルシャに伝わり最盛期を迎えるが、一神教的な発想や救世主思想、最後の審判といった独創的なコンセプトを持ち、後世のキリスト教や大乗仏教の思想に影響を与えたという。高校時代にペルシャ文化に出会い、ゾロアスター教に魅せられて研究を続ける宗教学者・青木健さん(45)がその魅力を語る。

【出演】青木健(静岡文化芸術大学教授)


2018年6月24日放送「心に枠はない」

三千院門跡門主の堀澤祖門さんは、京都大学の学生だった時に比叡山に上り、12年間山を下りない「十二年籠山行」を満行、今も止観と呼ばれる坐禅を欠かさない。仏教の「空」を体感する手がかりに「空観体験」を推奨、普段の私たちがものを認識する二元相対の世界から、自他の区別のない一元絶対の世界に至る道があると説く。あらゆるものへの執着を離れ対立を超える、区別なきひと続きの世界。その実相をお話いただく。

【出演】堀澤祖門(三千院門跡門主)


2018年6月17日放送「異なる信仰に思いをはせる」

人間はさまざまな宗教を信じてきた。宗教の違いが紛争の種になり、戦争にまでなることもある。今年3月、定年で東京大学を退いた鶴岡賀雄さんは、世俗を超えたものを希求する人間の心の普遍性を信じる一方で、さまざまな民族が共に暮らす現代社会では、自分とは異なる信仰を持つ人間を理解する努力が大切であり、宗教学はその道を探求する学問であると語る。

【出演】鶴岡賀雄(東京大学名誉教授)


2018年6月10日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第3回 カインの末裔(まつえい)」

旧約聖書の原文は、古代イスラエルの人々が日常的に用いていたヘブライ語で記されている。ヘブライ語で伝わる旧約聖書を読み解きながら、そこに込められた思想と信仰の特色を探るシリーズの第3回。「善と悪を知る木」から実を取って食べてしまったためにエデンの園から追放されたアダムとエバは、カインとアベルという2人の息子を授かる。しかし、この兄弟の間で事件が起こる。兄カインが弟アベルを殺害してしまったのだ・・・

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年6月3日放送「町からお寺が消えないために」

東京・港区のビジネス街にたたずむ光明寺。ここに人々が仕事の疲れを癒やしに訪れる「お寺カフェ」がある。始めたのは僧侶の松本紹圭さん(38)。松本さんは高校入学の頃、オウム真理教の事件から「宗教嫌い」になった。だが、東京大学で西洋哲学を学んだ後、僧侶になる道を選ぶ。そして、インドに留学し、MBAをとった後、全国で思い悩む寺の跡取りのために「未来の住職塾」を開いた。寺にどんな未来があるのか、話を伺った。

【出演】松本紹圭(光明寺僧侶)


2018年5月27日放送「心の書を求めて」

青森県弘前の名刹に生まれた赤平泰処さんは「寺を継がずに上京したいなら、大学に入って書を学べ」と父親に言われ、生涯の師となる書家・中村素堂の弟子となった。番組では、筆を執るとまず南無阿弥陀仏と書く「筆供養」で始まった中村先生の授業の思い出や、「求道」「無碍光」など仏語との出会いを大切にし、自分の心を打つ言葉を選んで作品にするという赤平さんの信条など、単なる造形に終わらない仏教書道の心について話を聞く。

【出演】赤平泰処(書家)


2018年5月20日放送「どっちに転んでも大丈夫な世界~禅と太極拳 その根底にあるもの~」

山口博永さんは昭和22年、大阪市の生まれ。終戦直後の辛い体験から「どっちに転んでも大丈夫な世界」を希求して19歳で出家、禅の道に入り、やがて太極拳と出会う。30年以上、毎年中国に渡り、すべての太極拳の源流とされる陳氏太極拳の第一人者から指導を受けるうちに、禅と太極拳はその根底において共通することを見いだしたという。禅と太極拳、二つの道を探求し続けて辿り着いた境地について伺う。

【出演】山口博永(僧侶・太極拳指導者)


2018年5月13日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第2回 エデンの園」

神は「大地の塵」で最初の人間をつくり、エデンの園に住まわせた。神の留守中、蛇が妻エバに語りかけ、「善と悪を知る木」の実を食べるよう誘惑する。妻は木の実に手を伸ばし、傍らにいた夫アダムにも与えた。禁を破った2人を神が追及すると、夫は妻のせいにする。妻が蛇に誘惑されているとき、傍らにいた夫は何をしていたのか―。ルネサンスの時代、その想像力を試されたのが、この場面を絵画にするのに挑んだ芸術家たちだった。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)


2018年4月15日放送「宗教と労働を考える」

元朝日新聞の記者で長年、宗教欄「こころのページ」の編集長として活躍された菅原伸郎さん。去年、在家仏教協会の理事長に就任した。在家仏教協会は1952年設立。家庭と職業を持ちながら、人生のよりどころと指針を求めて仏教を学ぶ人たちのための宗派を超えた集まりだ。菅原さんに信仰と職業の両立について、宗教と労働をテーマに話を伺った。

【出演】菅原伸郎(在家仏教協会理事長)


2018年4月8日放送「シリーズ 物語としての旧約聖書 第1回 天地創造」

旧約聖書の原文は、古代イスラエルの人々が用いていたヘブライ語で記されている。ヘブライ語で伝わる旧約聖書を読み解きながら、そこに込められた思想と信仰の特色を12回にわたって探っていく。第1回は「天地創造」。人間は自然の「支配者」なのか、それとも自然に仕える「僕(しもべ)」なのか。神を介して人間と自然が調和する世界を望み見た古代の人々の思いとは。

【出演】月本昭男(上智大学特任教授・古代オリエント博物館館長)

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