2018年度 こころの時代 名言集

2019年3月31日放送 日本対がん協会会長・垣添忠生さんの言葉

2019年3月31日放送 日本対がん協会会長・垣添忠生さんの言葉

「死後の世界は、遺された人の問題なんじゃないかと思う。天国で豊かに過ごしていると想像することは、遺された人の悲しみや心の重しを軽減する非常に大きな考え方だ」

国のガン対策のトップとして半世紀にわたりガンと闘い続けてきた、国立がん研究センター元総長の垣添忠生さん。自らもガンを経験し、克服した。そんな垣添さんが最愛の妻をガンで失った。酒浸りの日々を送る中、立ち直るための喪の作業。慰霊の旅として始めた四国遍路で、今も妻はともにあると感じた垣添さんのまなざしは、他者の救済に向かう。残された人生をガンを抱えて生きる人々に捧げる垣添さんの、喪失と再生をつづる言葉。

【出演】日本対がん協会会長…垣添忠生

2019年3月24日放送 画家・堀文子さんの言葉

2019年3月24日放送 画家・堀文子さんの言葉

「物事が崩れ始めるとね、ガラガラ崩れちゃいますよ。ですから、崩れる前に騒がないとダメですね。どんな軽蔑されてもいいから、人のいのちで戦ってはいけませんね」

いのちの不思議、いのちの崇高さを描き続けてきた日本画家・堀文子さんが、2月5日に百年の生涯を閉じた。生前最後のテレビ出演となった2015年10月に放送した番組をアンコール放送。堀さんの人生を貫いた孤高の生き方は乱世の体験から生まれた。幼い日の関東大震災、間近で目撃した2・26事件。戦争へと歯止めを失っていく時代を生きた堀さんは、人殺しの道具にならないために「美」の道を志す。あれから70年あまり、現在の日本のあり方を憂慮する堀さんが、遺言のように残した今への言葉。

【出演】画家…堀文子

2019年3月10日放送 歌人・馬場あき子さんの言葉

2019年3月10日放送 歌人・馬場あき子さんの言葉

「一匹の鬼を心に飼うことが大事。私は愛しているんですよ、鬼を」

歌人・馬場あき子さん、91歳。その原点は戦争体験。戦後の焼け野原の中ではじめて、自分が一個の“物”ではなく、一人の“人間”であることに気づいたという。その後、教師となり、歌を詠みながら、能や古典の研究にも打ち込んできた馬場さん。たとえ国が滅んでも、歌や芸能によって言葉が守られれば、人々の”いのち”は失われないと語る。常に心に一匹の“鬼”を飼ってきたという馬場さんの半生と数々の歌をたどり、話を聞く。

【出演】歌人…馬場あき子

2019年3月3日放送 日本聖公会首座主教・植松誠さん

2019年3月3日放送 日本聖公会首座主教・植松誠さんの言葉

「“赦し”とか“愛する”とかいう言葉を軽々しく口にするのは危ない。“謝罪”とは、そこから自分がどうやって生き始めるか問われ、生き方が変わっているはずのものです」

父が牧師という家庭に育った植松誠さんは、若い頃、「汝の敵を愛せ」という教えを“きれいごと”と感じ反発した。しかし、アメリカ留学中の元日本軍捕虜米兵との劇的な出会いにより、一度は離れようとした聖職の道を目指す。人は憎しみや怒りを乗り越えられるか。真の和解や赦しはあり得るのか。日本聖公会首座主教として、世界宗教者平和会議日本委員会理事長として、日々問い続ける植松さんに、自らがたどった人生と思想を伺う。

【出演】日本聖公会首座主教…植松誠

2019年2月24日放送 映像作家・保山耕一さん

2019年2月24日放送 映像作家・保山耕一さんの言葉

「繊細な月はゾクッとしますよ。真剣に探さなければ見つからないんですよ。でも、誰でも見ることができる。見つけた先には極上の美がそこにはある」

奈良県在住の映像作家・保山耕一さん(55)。末期がんを抱えながら、毎日、奈良の自然や寺社仏閣を撮影している。その日に撮った映像はすぐさま編集してSNSで発表。「奈良の365日の季節のうつろいを写した作品」は「涙が出る」「神様の気配がする」と静かな反響を呼んでいる。自らの死と向き合いながら、奈良の風景を写し続ける保山さんにレンズの先に見つめる世界について伺う。

【出演】映像作家…保山耕一、春日大社宮司…花山院弘匡、【司会】住田功一

2019年2月10日放送 詩人・尹東柱(ユン ドンジュ)

2019年2月10日放送 詩人・尹東柱(ユン ドンジュ)の詩から

「人生は生きがたいのに 詩がこうもたやすく書けるのは 恥ずかしいことだ」

尹東柱(ユン ドンジュ)は、韓国人なら誰でも知っている詩人。日本の植民地支配下で、自らの母語、朝鮮語で詩を書き続けた。日本の大学で学んでいたとき、治安維持法違反容疑で逮捕され、1945年2月16日、福岡刑務所で獄死した。27歳だった。番組では、尹東柱の詩を読み継ぐ人たちを、日本各地に訪ね、詩人の足跡をたどる。それぞれに詩を読み解くことで、厳しい時代を、誠実に生きた詩人の深い心のうちに触れる。

【出演】日本聖公会奈良基督教会 牧師・司祭…井田泉、京都大学 名誉教授…水野直樹、詩人 尹東柱を記念する立教の会 代表…楊原泰子、福岡・尹東柱の詩を読む会 代表…馬男木美喜子

2019年2月3日放送 作家・ドリアン助川さん

2019年2月3日放送 作家・ドリアン助川さんの言葉

「自然界とか、この世が与えてくれるものは何を見ても面白い。
私たちはそれを見るために生まれてきた」

90年代後半、ロックバンド「叫ぶ詩人の会」のボーカルや、中高生向けの深夜ラジオのDJとして人気を博したドリアン助川。作家としての著作も多く、2013年に発表した小説「あん」はフランスやドイツなどで翻訳、映画化もされ、カンヌ国際映画祭で高い評価を受けた。生産性や効率が重視される現代、ドリアンは「積極的感受」という生き方を提案する。人は何のために生きるのか、新宿・ゴールデン街の酒場で対話を重ねた。

【出演】作家…ドリアン助川

2019年1月27日放送 作家・宇江敏勝さん

2019年1月27日放送 作家・宇江敏勝さんの言葉

「山の現場で働く人が文章を書く、という例は他になかった。今まで誰も書かなかった世界に、自分は生きている」

熊野古道に近い和歌山県田辺市中辺路町に暮らす作家の宇江敏勝さん(81)。炭焼きの家に生まれた宇江さんは、自ら炭焼きや山林労働者として働き、山人たちの暮らしをつづった数々のルポルタージュを発表してきた。そして2011年から、果無山脈や十津川などを舞台に、山の民の信仰や伝説を描いた民俗伝奇小説を書き継いできた。熊野に生き、そして書いた、宇江さんのはるかなる山の人生と文学について語っていただく。

【出演】作家…宇江敏勝

2019年1月13日放送 作家・辺見庸さん

2019年1月13日放送 作家・辺見庸さんの言葉

「僕らが存在する限り、風景がある」

辺見庸の最新作『月』は2016年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件をきっかけに書かれた。ノンフィクションではなく、小説でなければ、あの事件を書くことはできなかったと言う。『月』では、目も見えず言葉も発せず動けない登場人物が、「在る」とはどういうことかを、繰り返し問う。「在る」に価値や意味を強制する社会とはなにか。問い、考え続けることが事件への正当な反論になるのだと語る辺見の言葉に耳を傾ける。

【出演】作家…辺見庸、【朗読】ミッツ・マングローブ

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