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2018年10月~12月の放送予定

「登山のススメ ~ 医師として、登山家として」

講師 :今井通子(医師・登山家)

「山の日」は2014年に国民の祝日(8月11日)として「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨として制定されました。日本人にとって山は身近な存在であり、古来から山岳信仰や自然観賞、山菜やキノコ採り、渓流釣り、スキーなど、敬意や愛着を持ちながら山を大切にしてきました。一方、危険な登山に挑み続ける人も後を絶ちません。リフレッシュ・冒険心・生活の一部など、山に入る気持ちは人それぞれですが、近年では人がなぜ本能的に山へ行きたくなるのか、その理由も生物学的な見地から解き明かされてきています。
今回は、山と人の向き合い方について、西欧諸国と日本を比較しながら考えていきます。登山の歴史をひもときながら、山が人間に与える効用について、科学的な分析も含めながら、登山の魅力を伝えていきます。


出演者プロフィール

今井 通子(いまい みちこ)

今井 通子(いまい みちこ)

1942年東京生まれ。東京女子医科大学卒業。東京農業大学客員教授。(公社)日本山岳ガイド協会副会長。兵庫県立森林大学校特任大使。13ヶ国30名の学者、科学者を率いる国際自然・森林医学界(INFOM)会長。
東京女子医科大学在学中に山岳部へ入部し、登山を始める。1967年世界初女性パーティー、マッターホルン北壁登攀に成功。1969年アイガー北壁、1971年グランドジョラス北壁と、女性で世界初の欧州三大北壁完登者となる。
1971年より始めた国内・海外トレッキングツアー講師を現在も務め、医学と登山活動などで得た知識や体験をもとに講演・執筆活動を行なっている。
著書に「山は私の学校だった」(山と渓谷社)、「マッターホルンの空中トイレ」(中公文庫)など。


各回内容

第1回 日本人と登山 1 ~ 神話の時代から江戸時代まで
第2回 日本人と登山 2 ~ 近代登山のあゆみ
第3回 ヨーロッパの登山史 1 ~ 近代登山への道のり
第4回 ヨーロッパの登山史 2 ~ 地上最高峰への挑戦
第5回 女性の登山界進出
第6回 私の登山歴 1 ~ 幼少期から女子医大時代
第7回 私の登山歴 2 ~ 欧州アルプス、ヒマラヤ山脈を巡って
第8回 私の登山歴 3 ~ ヒマラヤ8000m峰に挑む
第9回 科学から見た登山 1 ~ 脳はどう働くのか
第10回 科学から見た登山 2 ~ 有酸素運動、ストレスとの関係
第11回 登山が精神に与える影響
第12回 安全を確保するために
第13回 山の魅力


2018年7月~9月の放送予定

「近代日本人の精神史」

講師 :保阪正康(ノンフィクション作家・評論家)

2018年は、明治150年にあたります。日本が広く国際社会という大海に乗り出して以来、わずか150年しか経っていないとも言えます。この間に日本はいくつもの大きな体験をしています。戦争をはじめ、大地震などの天災、飢餓や飽食の時代・・・。人類史が体験したことは、すべてこの150年の中に詰まっていると言っても過言ではないでしょう。他国が200年、300年以上もかかって体験することをわずか150年で体験した日本人の近代というのは、世界史から見ても特異な形、と言えるかもしれません。
そして、明治維新から150年たった今、どんな時代になったのでしょうか。今後日本が、どんな道を歩むべきかを考えるために、近代日本人の性格、その精神について改めて検証する必要があると考えます。「今の私」、「今の時代の精神」を見つめるために、13の分野を取り上げ、「近代日本人の発想や精神」を探るため葛藤を続けた先達たちの生き方を学ぶことで、日本人自身の生き方を見つめ直していきます。


出演者プロフィール

保阪 正康(ほさか まさやす)

保阪 正康(ほさか まさやす)

昭和14年(1939年)北海道札幌市生まれ。同志社大学文学部卒。『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『あの戦争は何だったのか』『ナショナリズムの昭和』(和辻哲郎文化賞)、「昭和史の大河を往く」シリーズなど著書多数。2004年に菊池寛賞受賞。


各回内容

第1回 日本的財界人の原点をさぐる~渋沢栄一、深井英五、大原孫三郎
第2回 政治家の原像を求めて~犬養毅、尾崎行雄、斎藤隆夫
第3回 女性の獲得を目ざして~与謝野晶子、平塚雷鳥、市川房枝
第4回 社会福祉に生涯を捧げる~山室軍平、石井十次、留岡幸助
第5回 日本文化を世界につなぐ~新渡戸稲造、鈴木大拙、朝河貫一
第6回 日本人の「心理」を伝える~南方熊楠、宮崎滔天、中江丑吉
第7回 スポーツ精神の真髄(しんずい)を生かす~嘉納治五郎、安部磯雄、藤井実
第8回 科学者の良心を自らに課す~仁科芳雄、湯川秀樹、朝永振一郎
第9回 民権思想の先覚者たらんとす~板垣退助、中江兆民、吉野作造
第10回 国権派言論人の側にありて~三宅雪嶺、陸羯南、徳富蘇峰
第11回 日本人とは何かを問い続ける~田辺元、津田左右吉、和辻哲郎
第12回 作家が時代精神と向き合う~夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風
第13回 近現代四代天皇の歩みとその精神史~明治、大正、昭和、平成


2018年4月~6月の放送予定

「老前整理の極意~モノから解放される暮らしへ」

講師 :坂岡洋子(暮らしのコンサルタント)

老前整理とは老いる前に一度身の回りを見直し、これからの暮らしを考えてモノとともに頭の整理もしようとい う提案です。老いに備え、安全で快適な暮らしの準備をすることで生き方を考える「人生の整理」ともいえます。
2014年4月から6月にかけて放送した「こころをよむ 心と暮らしを軽くする <老前整理>入門」では、まだ聞きなれなかった「老前整理」についてわかりやすく紹介し、大きな反響を得ました。今回は3つの要素から老前整理について考えていきます。まず、人は頭でわかっていても不要なものを「なぜ」捨てられないのか、という点を行動経済学の考え方を応用して解き明かしていきます。そして遺品整理について、考えます。老前整理と遺品整理は違うのですが、老前整理をする前に親や配偶者など愛する人を見送った人は、まず遺品を整理しないと自分自身に向き合えないことがよくあります。そのためグリーフケア(身近な人と死別し悲嘆にくれる人を立ち直れるよう支援すること)も含めて捉えていきます。3つめは、ひとり暮らしをしている人の場合です。社会問題にもなっているゴミ屋敷や孤独死といった点も踏まえて考えていきます。
7年後の2025年には団塊世代が80歳以上の後期高齢者となります。社会保障の財源、介護の人手不足と課題は山積みですが、その対策として老前整理も役にたつはずです。「自分を大切にすること、慈しむこと」にもつながる老前整理を行うことで、年を重ねるほどにモノを減らして身軽になり、心も軽やかに過ごしていけるのではないでしょうか。


出演者プロフィール

坂岡 洋子(さかおか ようこ)

坂岡 洋子(さかおか ようこ)

昭和32年(1957年)生まれ。くらしかる代表。
インテリアコーディネーターとして住まいや生活家電のデザインなどに携わっていた時にバリアフリーの必要性を感じ、ケアマネージャー資格を取得する。そして在宅介護の現場にも関わるようになり、そこでモノが多すぎることを実感したことから、頭とモノを整理する「老前整理」を提唱。人生の節目を迎える人たち、特に中高年に向けた「暮らしを軽くする」サポートを目的として、活動している。
著書は『老いた親とは離れなさい』(朝日新聞出版)、『老前整理』(新潮文庫)、『老前整理のセオリー』(NHK出版新書)、『転ばぬ先の「老前整理」』(東京新聞出版局)など。


各回内容

第1回 片づけに必要な3つの力
第2回 誰のための整理なのか
第3回 なぜものが増えるのか~行動経済学から考える
第4回 不合理な行動の理由をさぐる
第5回 行動をうながすテクニック~「ナッジ」を利用する
第6回 愛着のあるもの、価値のあるものを手放す
第7回 安全な暮らしを確保する
第8回 老前整理の裏メニュー
第9回 トラブルにつながる原因をさぐる
第10回 遺品整理をどうするか
第11回 ひとり暮らしに備える
第12回 これからの暮らしのために


2018年1月~3月の放送予定

「見つめ合う英文学と日本 ――カーライル、ディケンズからイシグロまで」

講師 :斎藤兆史(東京大学大学院 教育学研究科 教授)

2017年10月、日系イギリス人作家のカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した際、日本では我が国 のことのような喜びの声があがった。それは多くの日本人がイシグロを同郷人と見なし、その作品のなかに日本 人の心や日系人としてのアイデンティティを感じていたからだろう。おそらく私たちは海外文学を読むときも日本人の目で作品を読み、その作品のなかに日本的なものを感じとるものなのだと思う。
こうした視点を踏まえ、今回は英文学作品をいわば鏡として日本人の心を見つめ直したい。シリーズの前半は 明治初期から日本人が愛読してきた作家と作品に、後半は愛情や批判を込めて日本を描いた作家と作品に焦点を当て、それぞれの作家や作品から日本人は何を学んだのか、あるいは学ぶべきなのかを考えたい。


出演者プロフィール

斎藤 兆史(さいとう よしふみ)

斎藤 兆史(さいとう よしふみ)

1958年栃木県生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。インディアナ大学英文科修士課程修了。ノッティンガム大学英文科博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科教授などを経て現職。専門は英語文体論。著書に「英文法の論理」(NHK出版)、訳書にラドヤード・キプリング「少年キム」(筑摩書房)など。


各回内容

第1回 1月7日  序 ―― 日本と英文学の出会い
第2回 1月14日  新渡戸稲造の愛読書 ―― トマス・カーライル『サーター・レサータス』
第3回 1月21日  英文学の名作と翻訳・翻案 ―― チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』と若松賤子「雛嫁」
第4回 1月28日  キプリングの東と西 ―― ラドヤード・キプリング「東と西のバラッド」『少年キム』
第5回 2月4日  ラッセルと受験英語 ―― バートランド・ラッセル『幸福論』
第6回 2月11日  モームはなぜあれほど日本で読まれたのか ―― サマセット・モーム『人間の絆』、『サミング・アップ』
第7回 2月18日  カズオ・イシグロはどこまで日本人なのか ―― カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』、『浮世の画家』、『日の名残り』
第8回 2月25日  日本を愛するためにやって来た作家 ―― ラフカディオ・ハーン『知られぬ日本の面影』、『怪談』
第9回 3月4日  明治初期の日本を歩いたイギリス人女性 ―― イザベラ・バード『日本奥地紀行』
第10回 3月11日  日本で英語・英文学を教えたイギリス詩人 ―― ジェイムズ・カーカップ『イギリス人気質』
第11回 3月18日  西洋文学のなかに禅を読んだイギリス人 ―― R・H・ブライス『禅と英文学』
第12回 3月25日  結 ―― これからの日本と英語文学


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