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「方丈記と鴨長明の人生」

鴨長明(1155~1216)は平安時代末期から鎌倉時代初めに生きた人物です。その頃京都は大きな災害に見舞われました。平安京の三分の一が焼け落ちた大火、都大路を吹きぬけた竜巻、4万人を超える餓死者が出た大飢饉、そしてマグニチュード7.4と推定される大地震など、いずれも京都内外に甚大な被害を与えました。鴨長明はこれらの災害に直面し、精細に記録しています。平清盛によって強行された福原(神戸)への遷都そして社会は平氏から源氏政権へと大転換を迎えます。鴨長明は後年出家して、京都近郊の日野山に小さな(方丈)庵を建て、草庵生活の楽しさを綴りました。これが長明の代表作『方丈記』です。『方丈記』の他、鴨長明には、仏教説話集『発心集』、歌論書『無名抄』、歌集『長明集』などがあります。これらを読むと歌人、音楽家として活躍した長明の姿をうかがうことができると共に人間の苦悩、執着なども赤裸々に描かれており、長明の生きざまを知ることができます。
番組では第一部では『方丈記』、第二部では『発心集』『無名抄』などに焦点を当て、作者長明の心奥に迫っていきたいと思います。近年、異常気象、激甚災害が頻発しています。『方丈記』が書かれた時代と酷似している状況下、鴨長明の諸作品を読むなかで、災害への心構え、知恵もあわせて学べればと考えます。

(解説) 浅見和彦(成蹊大学名誉教授)
(朗読) 加賀美幸子(元NHKアナウンサー)

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