メロウな徒然草

第333回 2019年3月25日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
今週もレギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお楽しみいただきました。

さて、先週の放送で誤情報を流してしまいました。まずはそのお知らせから。
クインシー・ジョーンズについて「今年をもって85歳、マーヴィン・ゲイの5つ年上」とお話ししましたが、ふたりの誕生日は以下の通りなのでした。
マーヴィンは1939年4月2日生まれ。
クインシーは1933年3月14日生まれ。
つまり「今年をもって86歳、マーヴィンの6つ年上」これが正しいです。
ふたりについて、特にクインシーについて、これまで数えきれぬほど語ってきた私としたことが。ごめんなさい。お詫びして訂正いたします。

以下、もはやシリーズ化しつつある〈なぜ言い間違いは生まれたか?〉。
今回の場合は、まず「マーヴィン傘寿」というトピックが念頭にありました。
さらに言うと、番組収録日は3月前半。その時点でクインシーが85歳だったのがマズかった。
それで「85-80=5」かと。まさに、ザ・どんぶり勘定! こうして書くと杜撰きわまりないなあ。

メロ夜が始まってまもなく10年目。この種のミスはいっこうに減りませんね……。
「この番組を教科書がわりにR&Bを学んでいます!」といったメッセージをよく頂戴します。ありがたいことだと恐縮しつつも、マイクに向かう私はいたって「寝酒のおともに」気分でおしゃべりしているのでございます。
何度か使ったことのある表現ですが、メロ夜は「ソウルバーで隣り合わせた、おしゃべり好きのおじさん」の番組として始まったという経緯があり、誤解を恐れずに言えば、基本的にデータよりも流れ重視で収録してきました。
早い話が、きちんとした収録台本、読み原稿というものが存在しません。
今回のように自分で気づいた場合は、その都度こうして訂正していますが、きっともっと言い間違えているんだろうなあ。年月日にかぎらず、正確な人名とか地名とか作品名とか。
そういう意味では「教科書」にはふさわしくありません、と自分で言っておきます。
もちろん、できるかぎり正しい情報を口にするように今後も気をつけてはいきますが、あくまで「夜の副読本」としてサブテキストくらいに捉えていただければ幸い。というかお願い。
いちばん伝えたいものはデータではなく音楽なので!(結論。本日も反省の色ナシ)

ところで、スノー・アレグラ、いいですね。気負いがなくて。でも色っぽくて。
カニエ・ウエストのメンターとしても知られる人気プロデューサー、ノー・I.D.(No I.D.)の秘蔵っ子。1987年9月13日、スウェーデン中部のウプサラ生まれ。両親はペルシア系だそうです。
以前にもお話ししたことがあるかと思うのですが、1990年代、ぼくはシカゴにあったノー・I.D.の自宅スタジオを訪ね、音作りの現場を見せてもらったことがあります。
正直なところ、ヒップホップの枠を越えた現在の活躍ぶりを当時は想像もできませんでした。
ひとも変わる、音も変わる。でも変わらないものがある。だからおもしろいですね、音楽は。

以上、さていよいよ次回から10年目に突入、でも大きくは変わらないかもね、松尾潔でした。


第332回 2019年3月18日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
今週もレギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお楽しみいただきました。
マーチンこと鈴木雅之さんに始まり、マーヴィン・ゲイの隠れた名曲、サラーム・レミ、T-グルーヴ……とつながっていった今回の放送は、特にオトナ度合いが高かったのではないでしょうか。

それにしても、ガラントをフィーチャーしたサラーム・レミ“Roll The Dice”のすばらしさ。
炎が消えてもにおいだけは残るように、曲を聴き終えてもずっとそこにある余韻。
この曲との出会いがあっただけで今年のR&Bシーンも豊作と言い切ってしまいたい……とは、いささか拙速に過ぎるでしょうか。
でも実際のところ、初めて聴いたあとの私はしばらく放心状態になったほどでした。
さすがは昨年度の「メロウ・オブ・2018」の覇者タミア(“Leave It Smokin’”)を送り出したサラーム・レミ!と快哉を叫びたくなります。フレンチホルンの響きがたまらない。
そして、ガラントの歌声の味わい。官能美。美しすぎてため息が出ます。
ここでのボーカルは、マーヴィン・ゲイやマックスウェルといった、ファルセット使いの先達に肉薄する表現の極みといえるでしょう。
彼のこれまでの作品もあらためてじっくりと聴き直したいという気持ちにもさせてくれました。

ロール・ザ・ダイス。
サイコロを振る。賭けに出る……もっとこなれた日本語でいうなら、一か八か。
かっこいいなあ。
残念ながら、人生で起こり得るすべてに対してこの気概で向き合えるひとはいない。そのことを、大人なら知っています。いや、知ったときに大人になるのかな(色恋にかぎらず、ですよ)。
だからこそ、大衆歌謡には「かなわぬ思い」をかなえる責務があるのかもしれません。

ナイトキャップは、モータウンの歌姫タミー・テレルの“All I Do Is Think About You”でした。
これは作者スティーヴィー・ワンダーが、1980年に発表した自身のアルバム『Hotter Than July』でとりあげ、広く知られることになった曲。
当時の邦題は「キャンドルにともした恋」。なんともおセンチで、いい感じ。
タミー版はそれよりずっと昔、1966年の制作ながら、長らくお蔵入りになっていました。
この曲が21世紀に入ってようやく流通しはじめたとき、私の周辺ではちょっとした騒ぎになったものです。
現在ではタミーのほかに、同時期に制作されたやはりモータウンのブレンダ・ハロウェイのバージョンも聴くことができるようになりました。
両者はよく似たアレンジですが、ジャジーなピアノソロをフィーチャーしたブレンダより、楚々としたグロッケンを配したタミーのバージョンのほうが、いまの私にはフィットしますね。
タミーは1945年生まれ。1970年3月16日に24歳の若さで亡くなっています。ブレンダは1946年生まれなのでほぼ同世代といえますが、いまなお健在です。
それにしても、1965年にこのメロディーを書き上げたスティーヴィーが、当時15歳だったという事実にはあらためて驚きます。早熟の才とはまさにこのことかと。

以上、サラーム・レミの新作アルバムに寄せる期待は高まるばかり、松尾潔でした。


第331回 2019年3月11日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。

先週は、1月7日にお届けした「メロウ・オブ・2018~松尾潔が選ぶ2018年メロウTOP20」をアンコール放送いたしました。
季節はずれの「あけましておめでとうございます」もまた一興でしたね。
今夜は一転、レギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお楽しみいただきました。

ところで、本日で東日本大震災から8年です。
2011年の今ごろ、私は平井堅さんの新作アルバムをプロデュースしていました。
今夜のオープニングでオンエアした「さよならマイ・ラブ」は、そのアルバム『JAPANESE SINGER』に収められていたナンバーです。
8年は、長いか、みじかいか。

番組の中でもお話したように、きたる6月25日はマイケル・ジャクソンの命日です。
彼が亡くなってから10年が経とうとしています。
もはや、マイケルの死が震災より先だったかどうか、記憶が曖昧な方もおられるのでは。
10年は、長いか、みじかいか。

マイケル・ジャクソンのクインシー・ジョーンズ3部作の原点『オフ・ザ・ウォール』。
このアルバムがリリースされたのは1979年のこと。
40年は……そりゃたしかに長いですよね。
たしかに長い。長いけど、昔じゃない。そんな感じでしょうか。

そして、この番組『松尾潔のメロウな夜』は、4月からいよいよ放送10年目に突入します。
それを記念して、4月は久しぶりにゲストをお迎えしたいと思います。
私とは長いつきあいの方です。
しかるべきタイミングでお名前を発表しますので、どうかお楽しみに!

以上、H.E.R.とトーン・スティスのデュエットにはR&Bの未来を感じますね、松尾潔でした。


※過去3回分を掲載しています。
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