メロウな徒然草

第317回 2018年11月12日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
今夜もレギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお届けしました。
晩秋の気配濃厚、まさにR&Bラバーズのための季節ですねえ。

さて先週のつづき。
R&Bの世界にも「アンチエイジング」や「健康長寿」という考え方がずいぶん浸透してきましたね、というお話をしたのでした。
これはフィジカル面においてだけではなく、メンタルについても言えることなんですよね。
例えば、ジョン・レジェンド。
誰が言ったか(私です)、「ヘルシーなダニー・ハサウェイ」。まあダニーという人はああいう亡くなり方をした人ですからね。

メジャーデビュー当時は、その声質とボーカルスタイル、そして鍵盤に向き合うイメージも加味されて、「ダニー・ハサウェイの再来」と言われることが多々ありました。
無論そう言われたのは彼が初めてではなく、例えばソックリさん度でいえばフランク・マッコムなんて人もいるわけですが、まあその件は置いておくとして。
ところが、今ではそんなフレーズでジョン・レジェンドを語る人は稀です。そんな色眼鏡で見る人はもう皆無と言っていい。

ジョンさんってば、タフなエンターテイメントの世界でよくがんばってるよね〜、という話でもあるのですが、それ以上に年齢の問題が大きいのではないかと私は思います。
ジョン・レジェンドは1978年12月28日に生まれました。もうすぐ40歳です。
そのおよそ半月後、1979年1月13日に亡くなったのがダニー・ハサウェイでした。
つまり、ふたりのソウルマンの人生はほんの半月だけ交錯した、そう言えなくもないでしょう(ジョンがダニーの再来、生まれ変わりと言われた根拠のひとつもそこにあります)。
でも私はあえてダニーの享年に注目したいのです。
なんと33歳。いかにも若い。若すぎました。
私たちがよく知っているダニーの歌声というのは、例外なく20代から30代前半にかけてのものなんですねえ。

賢明なるメロ夜リスナーのみなさんは、私の言いたいことがもうお分かりですね。
ジョンはダニーの見たことのない歳模様、めぐり合うことのなかった人生模様を生きて久しいのですよ。
そりゃあダニーの話を持ち出す人がめっきり減ったはずです。
そして、これは非常に大切なポイントなんですが、心身ともに健康なアーティストがスターになれるというのは、R&B /ソウルの世界においてけっして悪いことではありません!

以上、ジョンさんには百歳まで歌ってほしいです、松尾潔でした。


第316回 2018年11月5日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
今夜はレギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお届けしました。
風はすっかり秋色ですね。冬の色もまじり始めてきました。

先週のリクエスト特集では、期せずして50代リスナーをフィーチャーすることになりましたが、今週は50代の現役アーティストの顔ぶれが揃いました。

・久保田利伸(1962年7月24日生)
・ラファエル・サディーク(1966年5月14日生)
・ストークリー・ウィリアムズ(1967年7月15日生)
・キース・スウェット(1961年7月22日生)
・エル・デバージ(1961年6月4日生)
・スピーチ(1968年10月25日生)

こうして書き並べてみると、1960年代生まれと言い換えることもできますね。
もっとも、70年生まれとも69年生まれとも、あるいはもっと前の生まれともいわれるマライア・キャリーさんのお名前は、あえてここには並べていませんが。

それにしても、みなさんお若い。少なくとも歌声に関して、経年による大きな変化が乏しいですよね。彼らのコンディションの維持ぶりは、驚異的でさえあります。
もちろん異論もあるでしょう。ここに並んだ名前は、特に経年劣化の乏しい人たちを意図的に揃えただけであって、ほとんどの50代アーティストは往年の輝きを失っているものだ……そんなご意見の方もいらっしゃるかもしれません。
でも、これだけの数の名前が並ぶこと自体、もう70年代や80年代とは違うんだよなあ、なんて私は思うわけです。
だって、ここにはさらに59年生まれのベイビーフェイス、66年生まれのエリック・ベネイ、67年生まれのシャンテ・ムーア、ケニー・ラティモア、68年生まれのラルフ・トレスヴァント……いくらでも名前を加えることが可能なわけですから。

つまり、R&Bの世界も「アンチエイジング」、もっと言ってしまえば「健康長寿」という考え方が無縁ではなくなったということ。
かつてはダイアナ・ロスあたりの専売特許という印象でしたけどね。ブラック・ミュージック業界では。

1985年に『We Are The World』のMVが公開されたとき、レイ・チャールズが登場するのを観て、「レジェンド枠ってヤツだな」と17歳の私は納得したものです。
ですがいま調べてみると、当時の彼って54歳なんですよ。つまり、現在の久保田さんやキース・スウェットより若いんです。
この事実って、かなりインパクトありませんか?(この話、来週も続きます)

以上、年始のゲスト候補、3人まで絞ってからその先ずっと迷っています、松尾潔でした。


第315回 2018年10月29日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
今夜は7月30日以来のリクエスト特集をお届けしました。

お聴きの通り、リスナーのみなさんのリクエストにお応えするという形を守りながら、アレサ・フランクリンとベイビーフェイスというアフリカン・アメリカンの巨星ふたりの邂逅とそのコラボレーションをご紹介することができました。
これも、選曲者の私の痒いところに手の届くリクエストが多数寄せられているからこそ、のお話です。
私が音楽業界に足を踏み入れて30年、ラジオ番組のマイクに向かうようになってからも四半世紀以上が経っていますが、気がつけば、こんなR&Bプログラムが日本でも実現するようになったのだなあと。
そのことに大きな幸せと、驚きと、そしてささやかな満足を覚えます。この場を借りて御礼申し上げます。

さて、秋も深まり、NHK至近の代々木公園の木々もカラフルな装いになってきました。朝晩には冬の気配さえ感じるほどです。
この季節は乳製品や牛乳を使った料理が美味しく感じられるもの。プリンとか、グラタンとか、普段はほとんど口にすることのないキャラメルのようなお菓子がたまらなく恋しい瞬間もあります。
音楽もまた然りで、暑い時期にはちょっと敬遠してしまうような濃厚な大バラードも、この季節ならば意外と抵抗なくイケちゃいますね。
そろそろホリデーソング(クリスマスソング)をオンエアしたいと思っていますよ。
ジョン・レジェンドをはじめとして、今シーズンも新作ホリデーアルバムをリリース予定の大物アーティストがかなりいる模様。
現在鋭意チェック中ですので、どうか楽しみにしてくださいね。

ちなみに今年これからの放送予定日は以下の通り。
11月5日、12日、19日、26日、12月3日、17日、24日。
つまり12月は10日と31日の放送がございません。ご注意ください。

以上、年始にお呼びするゲストもそろそろ決めなきゃ、松尾潔でした。


※過去3回分を掲載しています。
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