メロウな徒然草

第340回 2019年5月20日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。

先週に続いて、今夜もマーヴィン・ゲイからスタートしました。
彼の歌声はほんとうに特別ですよね。たとえ真昼でも三秒で夜の帳が下りてきます。
ましてやそれが夜ならば。薄闇をじんわりと暗闇に変えてしまうほどのものです。

さて、来週5月27日はいよいよ山下達郎さんのゲスト出演が実現します。
最後のご出演となった2011年9月以来、この日を待ちわびていたメロ夜リスナーがたくさんいらっしゃることを、今回あらためて知りました。

2011年9月は、NHK-FMで達郎さんと私の共演が重なったひと月でした。
7日と14日のメロ夜(このころは月曜ではなく水曜に放送していました)に加え、3連休の最終日となった19日(月曜・敬老の日)には、午後0時15分~10時45分(途中、中断あり)の長時間番組『今日は一日“山下達郎”三昧』に私がゲスト出演、計3回ご一緒したのでした。
そのころはどんな時期だったかというと……東北地方太平洋沖地震や原発災害への対応が不十分であったことの責任をとって民主党代表と首相を辞した菅直人氏の後継として野田佳彦氏が決まったのが8月末、野田内閣が発足したのが9月2日でした。
海外では、9月17日にアメリカ経済界、政界に対する抗議運動として『ウォール街を占拠せよ』が始まります。10月にはスティーヴ・ジョブズが56歳の若さで亡くなりました。
こうやって書いてみると、ずいぶん遠い昔の出来事たちのような気がしますね。記憶が曖昧なところも正直少なくありません。
つまり、達郎さんの前回のご出演から今回までの間には、それほどの時間、それほどの日々が横たわっているのでした。
論より証拠、その間に結婚してひとの親となり、やがて離婚した知り合いもいるほどです。
来週の放送までに、ご自分のこの8年間の出来事を振り返ってみてはいかがでしょうか。
あ、くれぐれも穏やかにお願いしますよ。

では、来週の放送をどうぞお楽しみに。よき一週間をお過ごしください。

以上、2011年リリースの平井堅さん「いとしき日々よ」を聴きながら、松尾潔でした。


第339回 2019年5月13日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
先週はお休みだったので、今夜の放送が令和初めてのメロ夜でした。
いかがでしたか。

今夜はマーヴィン・ゲイが1972年にリリースを予定しながら、諸事情でお蔵入りになっていたアルバム『You’re The Man』をご紹介しました。
1971年、セルフ・プロデュースによる反戦メッセージの色濃いアルバム『What’s Going On』を大ヒットさせ、名実ともにUSブラックミュージックの頂点に立ったマーヴィン。
それに続くオリジナル・アルバムは、一転して性愛路線に舵を切った1973年の特大ヒットアルバム『Let’s Get It On』。
この大きな振れ幅こそが彼ならではの持ち味、と長らく言われてきたのですが。
じつは『What’s Going On』の翌年に発表すべく作り上げていた『You’re The Man』は、前作同様に政治的、そして前作以上に具体的なメッセージを織り込んだアルバムなのでした。
ところが、アルバムに先行する形でリリースした同名シングル“You’re The Man”は、ポップチャートで50位どまり。このさびしい反応を受けて、アルバムのリリースは立ち消えとなります。
マーヴィンはその年の暮れに映画『Trouble Man』の同名サントラを発表しますが、これは彼の作曲とプロデュースによる、ほぼインストゥルメンタルだけで構成された作品集。
彼の歌声を堪能するには翌年73年の『Let’s Get It On』を待たねばなりませんでした。

そんな事情があり、幻のアルバムと位置づけられてきた『You’re The Man』。
アルバムの存在を裏付けるように、収録予定曲のうちいくつかは、これまでにもいろんな形で世に出てはいました。
ですがアルバムの全貌が公開されたのは今回が初めてのこと。
生誕80年となる今年になってようやく、というわけです。
これは事件です。2019年のR&Bシーン最大の収穫のひとつと言っても大げさではありません。
サラーム・レミの水際立った仕事ぶりにも、心から拍手を送りたい私です。

さて、メロ夜10年目突入を記念した特別企画として、先月の平井堅さんに続き、今月27日に山下達郎さんがゲスト出演されることを番組内で発表しました。
これまで達郎さんがメロ夜に遊びに来てくださったのは、2010年5月12日、19日、そして2011年9月7日、14日の計4回。今回はおよそ8年ぶりのご登場となります。
いまご本人と番組内容についてやりとりしていますが……うーん、控えめに言っても、これまででいちばん盛り上がるテーマじゃないかなあ。
どうぞご期待ください。

以上、来週も風まかせですよ、松尾潔でした。


第338回 2019年4月29日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
先週に引き続き、ゲストに平井堅さんをお迎えしてスペシャル・プログラムをお届けしました。
「平井堅と松尾潔の20年・後編」。いかがでしたか。
正真正銘、平成最後の放送でした。

みなさんのご想像通り、番組収録ではおしゃべりが尽きないどころか、そこでふたりに火がついたようなふしもありました。
結局、日をあらためて「平成最後の痛飲」を静粛に執り行いました……すみません、「静粛に」というのは大嘘です。6時間くらい延々としゃべったのかな。
そりゃまあ話すことはいろいろありますよ。初対面から四半世紀、私が初めてプロデュースした『THE CHANGING SAME』からでさえ、もう19年も経っているんですものねえ。

そういえば、この春に初めてお仕事させていただいた家入レオさんは、生まれて初めて足を運んだライブが平井堅さんとのこと。お母様がたいへんお好きだそうで。
同じ仕事をずっと続けていますと、こういう話に思いがけずめぐり合う機会があります。
預けていたのを忘れていたお金に利息がついて戻ってくるようなものというか、じつに嬉しいことですね。
レオちゃんにも平井さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

ところで、今夜の番組の中で平井さんがご紹介したローラ・マヴーラ。
彼女がサントラに参加した映画『それでも夜は明ける』は、原題“12 Years A Slave”。2014年のアカデミー賞作品賞に輝いた作品です。
私は公開当時に銀座の封切館で川口大輔さんと観たのですが、細部については記憶が怪しかったので、今回の番組収録のあと、久しぶりに観直しました。
名作の評判に偽りなしでした!
まだご覧になっていない方には、是非一度ご鑑賞されることをおすすめします。平井さんが番組の中でこの映画について語る時、慎重に言葉を選んでいた理由がよくわかるはずです。
(サントラでローラが歌っているのは“Little Girl Blue”。番組内でのコメントに含まれる事実誤認についてはご海容を請います)

さて、メロ夜10年目突入を記念した特別企画はまだまだ続きます。
来月5月にもゲストをお迎えすることが決まりました。この人抜きに日本の音楽シーンは語れないという、あの方です。
詳細が決定次第、ここでお知らせしますので、どうぞお楽しみに。

以上、それでも音楽はつづく、松尾潔でした。


※過去3回分を掲載しています。
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