2019年度 短歌選者紹介

江戸 雪 (えど ゆき)

江戸 雪(えど ゆき)

1966年、大阪府生まれ。「塔」会員、現在は選者。2001年に大阪市の第19回咲くやこの花賞(文芸・その他)を受賞。歌集は『百合オイル』『椿夜』『Door』『駒鳥(ロビン)』『声を聞きたい』『昼の夢の終わり』。その他、入門書『今日から歌人!』など。

流れつづける時間のなかで
笑っているとき、食事しているとき、寝ているとき、泣いているとき。そこにはずっと時間が在ります。あるいは人間の存在にかかわらず時間は自由気ままに流れていて、私たちはこの世に生まれたときにその流れの中にそっと放たれる存在なのかもしれません。
短歌。思いや出来事や景色を言葉にすると、流れ続ける時間を留めることができるように感じます。そうして出来た歌が、読んだ誰かの中でまた違う時間を生んでいくこともあるでしょう。
あなたの時間を言葉にしてください。
あなたの身体から、心から、あふれでる言葉を待っています。

佐佐木 頼綱(ささき よりつな)

佐佐木 頼綱(ささき よりつな)

1979年、東京都生まれ。歌人、編集者。竹柏会「心の花」所属。2012年より「佐佐木信綱研究」編集長。2017年に第28回歌壇賞。2019年より「短歌往来」編集長。現在「心の花」編集委員。

生き生きとした抒情の歌を
物心ついた頃から多くの歌人の背中を見て、作品や文章に触れてきました。「歌は美の宗教である」「優れた歌をのこせば千年後の人にも必ずや吾等が声が届くであらう」という曽祖父信綱の言葉、「品が大事なのよ」という祖母由幾の言葉、「自分以上の物になる為に作品は作るんだぞ」という酔った父幸綱の窘めの言葉。色々な言葉を貰いその時々に指針にしてきました。
本年の題を選ぶにあたり幸綱が昔言っていた「短歌運動不足論」を軸にしました。「眺めて詠むだけではなく作中の我に運動をさせよう」という主張です。動きある歌を皆さんと作りたいと思います。

大辻 隆弘(おおつじ  たかひろ)

大辻 隆弘(おおつじ たかひろ)

1960年、三重県生まれ。「未来」選者。歌集に『デプス』(第8回寺山修司短歌賞)、『景徳鎮』(第29回齋藤茂吉短歌文学賞)など。論集に『アララギの脊梁』(第12回島木赤彦文学賞・第8回日本歌人クラブ評論賞)、『近代短歌の範型』(第3回佐藤佐太郎短歌賞)など。高校教諭。

一瞬の輝きを言葉に
短歌を作り始めてから三十五年が経ちました。飽きっぽい私が、なぜ短歌だけはやめずに続けることができたのか。そんなことをよく考えます。短歌を作ることによって人は一瞬の情景や心情を言葉にかえ永遠にすることができます。五七五七七のリズムに言葉を並べることによって、自分の心の底に眠っていた自分でも気づかなかった感情に出会うことができます。三十五年を振り返ってみると、そういう楽しさやスリルが歌を作る原動力だったような気がします。そんな楽しさやスリルを、この番組で味わってほしい。そして短歌を一生の伴侶にしてほしい。そう思っています。

※大辻 隆弘さんの「辻」の字は、正しくは1点しんにょうです。

佐伯 裕子(さえき ゆうこ)

佐伯 裕子(さえき ゆうこ)

短歌de胸キュン
1947年、東京都生まれ。学習院大学文学部国文科卒業。子どもが生まれてから短歌に出会う。「未来」選者。北國新聞の歌壇選者。歌集に『未完の手紙』(第2回河野愛子賞)、『流れ』(第41回日本歌人クラブ賞)『感傷生活』など。歌書に『齋藤史の歌』『影たちの棲む国』『生のうた死のうた』など。

さまざまな「人」を
人は人のなかで生きている。そのように、この頃つよく思われます。当たり前かもしれませんが、独白めいた歌を長く作っていると、自分の感情だけに関心が集まってしまいがちなのです。
自分以外の人との関わり、その人をめぐる空気や感慨など、他者に寄せる視線や想像力も重要なのではないでしょうか。短歌に限ったことではありませんが、人への視野の広がりが作品の輪郭を拓いてくれるように思われます。もう一度、「人」というものを考えてみたいのです。それを、どのように五七五七七に包み込んでいくか。ともに試行錯誤していきたいと願っています。

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