これまでの特選作品

NHK短歌 2019年1月20日の特選歌
選者: 松村由利子 題:「色」または自由​

ゆうやけの のこしたあおが よびおこす しんかいぎょだった ころのさみしさ
はるかなる ジュラきいろを おもひつつ アロサウルスの こっかくみあぐ
おりがみの すべてのいろが あつまって ちからをはっきする せんばづる
ゆさぶれば きいろいこえも たてさうな ほどにみのなる わかぎのみかん
しろくろの しゅうごうしゃしんの ぜんれつの きみのシャツは みずいろだったね
ひとごみに きみをさがせば ここだよと ジャンプしている あかいてぶくろ
こうはいに しごととられた かえりみち けいこうしょくの スニーカーかう
まどごしの よるのちへいに しょこうさし せかいがいろに みたされていく
あのいろも このいろももう にあわない ぼひょうのように たてるくちべに

NHK短歌 2019年1月13日の特選歌
選者: 真中朋久 題:「香」または自由​

はやべんを すればかおりが きょうしつに ひろがりまどを あけねばならぬ
かがわぐん かがわちょうなる じちたいが かがわけんから しずかにきえぬ
スパイスの かおりただよふ にかいには いずこのひとすむ けんえいじゅうたく
あつくって かおりがかげぬ コーヒーと さめてかおりが たたぬコーヒー
きゅうしょくの スープのかおり ただよいて むかしのままの いちょうのたいじゅ
まえのひとも ひだりのひとも ちがうしょさの おしょうこうなり つぎはあのばん
のむしんしゅ たべるしんまい あきふかし それぞれのこう しあわせはこぶ
パクチーを こくふくすること できぬまま きみとのこいに わかれをつげる
リフォームを してもかすかに かおるとう あぶらえのぐを つかいしへやは

NHK短歌 2019年1月6日の特選歌
選者: 東直子 題:「家」または自由​

すきなひと すきだったひと はこんでる きいろいでんしゃが いえからみえる
あのいえの あるじをみない げんかんの たにくしょくぶつ ばかりふとって
ゆうやみの まちがおおきな すいそうで メダカみたいな ふたりのいえじ
いぬごや こやだけのこし あのいえの ゆうひせいぶん すこしつよまる
いえにきて どうするつもり だったのか ふきこぼしふく てさえもとまる
おとなりが あきやになつた いきさつを いぬひくろうじょに みみうちさるる
いえじゅうを いちずにみがく ちんもくと ほこりがまって きみはせきをする
きみとなら きずけるという かくしんが ビニールぶくろの ようにとんでく
あたらしいかぜ あたらしいみずにあう なのはないろの てんにゅうとどけ

NHK短歌 2018年12月16日の特選歌
選者: 松村由利子 題:「痛」または自由​

ぽぽぽぽぽぽ まどわくにくる しずくたち おはようきょうは ずつうがひどい
セーターの ほころびへゆび いれたまま まちのいたみを ひろってあるく
おでこから いたい いたいが とんでって あんなところに ひるのつき ほら
よんじゅうの こいはどんつう きのちょうの みてゐるものを みてゐるこはる
こころにも つうてんがある ことをしる あめのよみちで きみにせめられ
どのような いたみかをとう ドクターに いくつもの ぎたいごをならべる
いたみから やっとかいほう されたんだ みんなかなしい かおをするなよ
こわれても いたみのセンサー かいろなく ただたちつくす さんぎょうロボット
かさぶたを はがしてしまふ あさやけに こねこがぼくを ただみつめてゐる

※過去1か月分を掲載しています。

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