これまでの特選作品

NHK短歌 2018年9月16日の特選歌
選者: 松村由利子 題:「嘘」または自由​

すべてうそ ならばいいのに ビーだまを のぞけばさかさの なつぞらがある
「どくだんで やつたことです。 うえからの めいれいなどとは めっそうもない」
きかれても いじめじゃないと こたえてた いのりとおなじような つよさで
すいせいに とじこめられた うそつきの こいびとたちが むかえるにちぼつ
ドライブと ははをつれだし びょういんへ かあさんゴメン これしかないんだ
かくすこと うそをつくこと ぜったいの きんきとされて しょきけんしゅうい
でんわきの コードをはずす たあいない うそやほこりを からませたまま
うそをつく ことではじめて にんげんと カウントされる じんこうちのう
きまじめな なかやまくんが コートでは たさいなフェイント おりまぜてくる

NHK短歌 2018年9月9日の特選歌
選者: 真中朋久 題:「冷」または自由​

すだつこに かけることばを みつけかね ねびえをするな などといひたり
たましいの れいきゃくファンが まわりだす あとふたえきで きみのすむまち
れいぼうを とめてじょそうを ながくとり おいしくるまは りっきょうのぼる
あついから そうめんで いいよといわれ たいりょうのゆを ぐらぐらわかす
ガラスばりの れいだんぼうの かんびした へやにしゃんしゃん いっさいとなる
れいぞうこの ドアポケットに けしょうすい さんぼんならび かきをせんきょす
ひやかしの つもりでのぞきし うえきいち おおきなはちを かついでかえる
えきまでの おくりはいいよ またくるよ スープのさめる きょりもいいかな
「ひやみずを あびせられる」の いみあいが たぶんかわって いるじゅうねんご

NHK短歌 2018年9月2日の特選歌
選者: 東直子 題:「金属」または自由​

さびついた てつぼうにぎる においかな ゆうとうせいすぎる、と あなたがわらう
きんぞくの ようなみずぎで きみはえみ みなものやこう めざしとびこむ
かなしみが やきいれされた きんぞくは もちこめません、 あいかぎだとか
こおりすくい ぎんのスプーン くわえれば くちにひろがる ゆうだちのあじ
ふるさとへ やこうれっしゃよ ひたはしれ さびいろのおと レールにのせて
かなあみを ぬければきっと うみへいく からだよじらせながら あきかん
くつおとが 「けんけんかん」と なりひびき もうすぐあえる ひじょうかいだん
ステンレス おまえはバコッて いったのに ゆきりのやきそば ぶちまけられて
かあさんが しずかにおこって いるように やいばひからす まひるのみかづき

NHK短歌 2018年8月19日の特選歌
選者: 松村由利子 題:「花」または自由​

はなとちる かくごいだきし しょうねんの せんごをいまだ たたかひやまず
はちがつの こんちゅうずかんよ いつみても はなかまきりの おくにあるやみ
ゆうかくの あとちのさびた じてんしゃに ゆめのつづきと ひるがおからむ
アマリリスは うそばかりつく くるこない シフォンケーキが つぶれてゆくわ
すきなひとが すきだった ひとになる せんこうはなびの おちるそくどで
かたばみと いうなもらいて かたばみは せいいっぱいかたばみ ふうにひらきぬ
またひとつ はなやのきえし このまちに ゆうぐれがくる かぜはもうあき
しちがつは あさがおいちの ためにある いちばんあおい はなをください
それまでで いちばんおおくの はなたちに かこまれかれは たびだちました

※過去1か月分を掲載しています。

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