これまでの特選作品

NHK短歌 2019年3月17日の特選歌
選者: 松村由利子 題:「耳」または自由​

はじめての ヘアドネーション せしきみの みみにやさしき せんしゅんのかぜ
みみという かわをわたって くるふねだ あなたのこえは いつもしずかで
ドッグイヤー あけてきのうの つづきよむ げんじものがたり あかしのまきを
としょしつで コクトオのしを よんだひから わたしのみみも かいがらのまま
<もういいよ> にがつのかぜが みみうちを したつぼみから さいてゆくうめ
おひさまに すけるちいさなみみ どうか ぐんかのおとを きかないように
ついおく、 そしてきれいな ことばほど とどかぬみみを もちつづけたい
ワンテンポ おくれてわらふ ほちょうきの クラスメイトに ふるひのひかり
じひょうには すうじのみなり なやのうし 「こはる」とよんで せりにだすあさ

NHK短歌 2019年3月10日の特選歌
選者: 真中朋久 題:「旨・滋・妙」または自由​

しもごとに うまさましゆく はくさいを とものかずだけ はたけにのこす
うまかった ごちそうさんと はまぐりの からにあわせる そふのりょうのて
さつまじるの なべにえたてば よかばんなあ しょうちゅううんめしと いとこどちいふ
うまそうな りょうりはみんな なんらかの じごくのようそう ていしております
かんてんの じうといふべき このあめは となりのむらで うしおしながしたと
「これうまい めっちうまい」と こがほめる わたしではなく ははのにものを
そらなんか みてこなかった ひとたちが みょうなくもだと さわぎたててる
きこくして しんぱいせずに のみほしぬ にほんのみずの うまさぜっぴん
しつれんに きくみょうやくが あるのなら ほんもののこいは できないだろう

NHK短歌 2019年3月3日の特選歌
選者: 東直子 題:「鳥」または自由​

なめらかな よきたましいの かたちして しろぶんちょうの うたうにちよう
はとのでる てのひらをもつ マジシャンに なれぬわたしの てのひらにゆき
そのとりを ハクセキレイと しりてより ハクセキレイが そちこちにいる
けんさごの きみとおにぎり たべながら かもめのつばさ じつとみてゐる
なにかしら カラスがはなしし かけてくる こののうりょくは けっこうすきだ
ああコップ どうかじめんに つくまえに すきとおるとりに なってとんで
きみはいつも ふたりであるくと めでおうから しりたいとおもう とりのなまえを
キセキレイの しっぽをゆらす リズムみて たよりなくなる うでのびょうしん
とぶことが きずつくことに なるはるの はくちょう あさやけをつらぬいて

NHK短歌 2019年2月17日の特選歌
選者: 松村由利子 題:「子ども」または自由​

まなうらの ほのおのなかの ランドセル しょうがくにねんの くうしゅうのよの
ひょうちゃくの もくぞうせんへ かけてゆく しょうねんたちの こけもものほほ
ふんすいが にわかにひかりを あつめだし すこしおくれて こらもあつまる
だいすきと だいきらいとが ごちゃまぜに でんぐりがえって しがみつくむね
しなないで こらよにげろよ ほんとうに だめながっこうも おやもあるから
スキップを してみた。できた。 つきのみち。 ゆかいになった。 こどもになった
じゅうがつの ひかりをつぎつぎ まきこんで こどもがくるくる てつぼうをまわる
なわとびを しながらこうていを はしるとき ふしぎないきものに なったきがした
おさなごの ないしょばなしは しゃぼんだま おかしうりばを ぷかりぷかりと

※過去1か月分を掲載しています。

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