テーマ

2017年12月の放送予定

和菓子文化が生んだ言葉

講師:藪 光生(全国和菓子協会専務理事)

和菓子は、穀物を栽培することが出来るようになった頃の日本に生まれ、長い歴史の中で日本人の生活や文化と、深く結びついてきた。藪 光生さんは、和菓子の歴史、種類、材料、個々の和菓子の呼称や由来について詳しく研究している。番組では、和菓子に関係する言葉の数々、例えば、和菓子の材料の呼称、作り方に関わる表現、個別の和菓子の名づけ等をたどりながら、和菓子の言葉と、その意味などを、和菓子研究の第一人者である、藪 光生さんに話していただく。

放送は5回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
1回    和菓子の歴史    ~古代から近代までの変遷~
         「果子」という字を使った時代から、唐の菓子や南蛮菓子が入り、西洋菓子の影響で日本の和菓子が出来上がるまでの歴史について
2回    和菓子の分類(その1、作り方による分類)
         餅もの、蒸し物、焼きもの、流しものなど10種類以上について
3回    和菓子の分類(その2、材料による分類)
         豆類、米類、イモ類。 いろいろな餡の種類について
4回    個別の和菓子名(道明寺・きんとん・素甘・ぎゅうひ・練り切り)などの由来とエピゾード
5回    和菓子が生んだ日本語の世界
         和菓子関連のことわざ、和菓子に始まる日本語表現も多様にみられる。
         それらを取り上げながら和菓子文化を考える。
         例 「棚から牡丹餅」、「饅頭には蟻がつく」、「飴をしゃぶらせる」


出演者プロフィール

藪 光生(やぶ・みつお)

北海道札幌市出身。長年、和菓子の普及指導、教育などに携わってきた。
1978年、全国和菓子協会専務理事に就任。業界内の経営指導、広報活動に尽力。
NHK出演は、Eテレ『美の壺』。FM『日曜喫茶室』。

<主な著書>『日本の菓子~和菓子づくりの心』、『四季の和菓子~銘品を生み出す原料』、 『和菓子の美術 』、『新和菓子噺~知るほどに深まる和菓子の愉しみ』など多数。


2017年11月の放送予定

中世の日記にみる日本語表現

講師:尾上 陽介(東京大学史料編纂所教授)

東京大学史料編纂所教授の尾上陽介さんがまとめた『中世の日記の世界』(山川出版社)の中には、日本の中世の人々が多種多様な日記表現を駆使して、社会の中を生き抜く知恵を発揮している様子が伺える。「日記の家」という家柄もあり、代々継続して日記を記し、その家の存続のための大切な手段として用いるケースもあるという。尾上陽介さんは、そうした史料としての日記の記録を調査し、それを研究成果としてまとめている。今回は、それら中世の日記から見えてくる当時の情報社会の様子を現在のSNS全盛の時代と比較しながらお話いただく。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
①日本で「日記」が登場する歴史的経緯   〜六国史以降の時代記録を補うものとして
②中世の日記の多様性(誰が、どのような形式で、目的は)など
   〜紙背文書との関係、日記の家、編集術
③記録された内容の数々(当時の情報処理) 〜個人の心情吐露、生々しい記録、うわさ
④中世の人々にとっての「日記を書くことの必然性」
   〜公卿官人の立場、家記、清書、かき分け
⑤日記利用の実態と意味 〜目録、別記、部類記、書写   など
 


出演者プロフィール

尾上 陽介(おのえ・ようすけ)

尾上 陽介(おのえ・ようすけ)

1963年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程退学。専攻、日本古代史、史料学。

<主な著書>『日本古代の法と社会』(共著 吉川弘文館1995)、 『日記に中世を読む』(共著 吉川弘文館1998)、 『明月記徳大寺家本』(編著 ゆまに書房2004-2006)、 『国宝熊野御幸記』(共著 八木書店2009)、 『日記で読む日本中世史』(共著 ミネルヴァ書房2011)、 『中世の日記の世界』(山川出版社2003) など


2017年10月の放送予定

日本の橋を読み解く
講師:五十畑 弘(日本大学生産工学部教授)

橋は私たちの日々の生活で、もっとも身近なインフラ施設である。一方橋は、時間の流れの中で、多くの物語を生んで来た。橋にまつわる物語から、橋を改めて見直すことで、日本の文化と歴史が見えてくる。五十畑弘さんは、日大生産工学部で土木工学を学び、日本鋼管などで、橋梁建設に従事した。現場感覚を持った技術者であり、同時にこの分野の代表的な学者、研究者でもある。2016年12月には『日本の橋~その物語・意匠・技術~』という著書を出版した。そこでは日本の橋の姿を、古代から現代まで歴史的に辿ると共に、日本古来の在来種の橋と、西洋の技術で架けられた外来種にわけ、「反り橋」や「石造アーチ」といった名称を科学的に説明。また『橋をめぐる伝説や物語』から、その橋の姿を想像する、といった<文化的アプローチ>も試みている。例えば、漱石作「三四郎」で主人公が乗った東海道線が、名古屋直前で渡る鉄橋は、どの橋か。などと細部にこだわっている。番組では、日本の『橋』を知り尽くした五十畑さんに橋についての歴史や特徴を解説してもらう。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
第1回  五十畑さんの『橋』への、かかわり。その経緯。現在の研究テーマと課題。
第2回  日本の『橋』の姿の、歴史的流れ(古代から現代へ)
          日本の古橋 江戸の橋
第3回『橋』造り(比較)
           ☆西欧人が見た日本の橋(在来種)
           ☆サムライが見た西欧の橋(外来種)             
第4回『橋』をめぐる伝説と物語
           ☆夏目漱石の小説と橋
           ☆伝説と迷信の橋


出演者プロフィール

五十畑 弘(いそはた・ひろし)

1947年東京生まれ。 現在、日本大学にて土木史、土木遺産の保全を研究。

<主な著書>『図解入門よくわかる最新・橋の基本と仕組み』(秀和システム)、『歴史的土木構造物の保全』(鹿島出版会)、『100年橋梁』(土木学会)、『橋の大解剖』(岩崎書店)など多数。


2017年9月の放送予定

敬語表現を点検する
講師:井上 史雄(東京外国語大学名誉教授)

東京外国語大学名誉教授で、これまでにNHK放送用語委員や国立国語研究所客員教授を歴任してきた井上史雄さんの最新の著書、『新・敬語論』が、2016年に出版された。この本は敬語に関するいわゆるマニュアル本とは違い、近年の敬語をとりまく状況を社会言語学的に分析したものである。そこでは、「この場面ではこう使う」というようなパターンとしての用法だけでなく、より柔軟な個々の状況に合わせた敬語的表現の工夫が指摘されている。今回は、井上さんの敬語に対するアプローチと蓄積されたデータを中心に、現代の敬語表現状況についてお話いただく。

放送は5回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
*一般に乱れていると言われる敬語表現の検討
  (1)尊敬語の用法 (2)謙譲語の用法 (3)丁寧語の用法
*敬語表現の使いこなしの変化
  (年齢差による違い、愛知県岡崎市におけるフィールド調査の結果から)
*時代に即した敬語表現の仕分け
*社会言語学的視点からみた敬語の未来


出演者プロフィール

井上 史雄(いのうえ・ふみお)

1942年生まれ。1965年東京大学文学部卒業後、1971年同大学院言語学博士課程満期退学。東京外国語大学教授の後、明海大学教授。NHK放送用語委員、国立国語研究所客員教授を歴任。

<主な著書>『方言学の新地平』(明治書院1994)、『日本語ウォッチング』(岩波新書1998)、『敬語はこわくない 最新用例と基礎知識』(講談社現代新書1999)、『日本語は生き残れるか 経済言語学の視点から』(PHP新書2001)、『その敬語では恥をかく!』(PHP研究所2007)、『新・敬語論 なぜ「乱れる」のか』(NHK出版新書2016) など


2017年7月の放送予定

日本美術をキーワードで読み解く
講師:日高 薫 (国立歴史民俗博物館教授)

日本人の多くが伝統的な日本美術になじめない大きな原因は、「屏風」や「掛軸」など日本美術をめぐる言葉にあるのではないか。漢字を羅列した作品の名前や、奇妙な耳慣れない専門用語が氾濫していて、なかなか身近に感じられない--―。日高 薫(かおり)さんは、東京大学大学院で、美術史学を専攻、日本の意匠や文様など日本美術の伝統的な要素を幅広いジャンルにわたって研究している。日高さんは日本美術をより深く理解するためには、いろいろと決め手となる要素があり、そのキーワードを読み解くことで、より身近なものとして接することができる、と考えた。そして、2016年には「日本美術のことば案内」を発行、「州浜(すはま)」「野毛・砂子」「見立て」など日本美術のモティーフ、技法、表現に関わるキーワードを取り上げ、わかりやすく解説している。番組では、スタジオで日高さんにわかりやすく解説してもらうことで、日本美術への理解を深めたい。

放送は5回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
第1回  日高さんの日本美術との出会いと、モティーフに関するキーワードを解説。
第2回  日本美術の技法に関するキーワードを解説。
第3回  日本美術の技法と表現に関するキーワードを解説。
第4回  日本美術の表現と鑑賞面からみたキーワードを解説。
第5回  日本美術の鑑賞面からみたキーワードと、難しい擁護を解説。


出演者プロフィール

日高 薫(ひだか・かおり)

日高 薫(ひだか・かおり)

鹿児島県生まれ。1990年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。『美術史学』を専攻。東京大学助手を経て、現在、国立歴史民俗博物館教授。

<主な編集書>『日本美術のことば案内』(小学館 2016年)、『日本の美術 海を渡った日本漆器』(至文堂出版 2001年)など多数。


2017年6月の放送予定

猫をめぐることばを探して
講師:小暮 正子 (辞書編集者)

小暮正子さんは四十年以上、三省堂で辞書・専門書の編集に従事してきたベテラン編集者である。彼女が編集した辞書は、「てにをは辞典」、「てにをは連想表現辞典」、「五七五辞典」、「雅語・歌語五七五辞典」、「川柳五七五辞典」、「俳句・短歌 ことばの花辞典」、「敬語のお辞典」、「連句・俳句季語辞典 十七季」など、いわゆる普通の国語辞典とは違ったスタンスの辞典を数多く世に送り出してきた。その小暮さんが、十年来続けてきた語句採集の作業の中から、猫に関する表現の数々に注目し、まとめてみようと試みたのが「俳句・短歌・川柳と共に味わう 猫の国語辞典」。番組では、ほぼ独力でまとめあげられたこの辞典に着目し、猫に関することばの辞典化に心血を注いだ小暮さんの心情、苦心、面白さなどについて、ことばへの執念とともに語っていただく。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
*小暮さんの編集者としての歴史(これまでの仕事内容など)
*猫に関する言葉を集めて辞書にしようと思ったきっかけ
*猫に関する言葉を採取するにあたって苦労したこと、採取の基準など
*古今の各作家(俳人・歌人など)の作品に見える猫への思いなど
*『猫の国語辞典』から五十音順にいくつか例を出して、猫に関する言葉を味わってみる


出演者プロフィール

小暮 正子(こぐれ・まさこ)

小暮 正子(こぐれ・まさこ)

1951年千葉県生まれ。1974年三省堂入社。以来、主に辞書・専門書の編集に携わる。

<主な編集書>『五七五辞典』(三省堂 2010)、『雅語・歌語五七五辞典』(三省堂 2012)、『俳句・短歌 ことばの花辞典』(三省堂 2015)、『てにをは辞典』(三省堂 2010)、『てにをは連想表現辞典』(三省堂 2015)、『俳句・短歌・川柳と共に味わう 猫の国語辞典』(三省堂 2016) など


2017年5月の放送予定

オランダ通詞の語学と仕事
講師:片桐 一男 (青山学院大学名誉教授)

片桐一男さんは、昨年、『江戸時代の通訳官』という著書を著わした歴史学者である。今年82歳の片桐さんが48年の歳月をかけ、調査・執筆・出版した本である。片桐さんは、日蘭関係研究の第一人者で、江戸時代のオランダ通詞が、どのようにして日蘭間の言語交流を続けてきたかということを、長い間、研究してきた。言葉の研修と、通詞としての業務は、複雑多岐にわたり、個人としての、通詞(通訳)たちの苦労は想像を絶する。その様子について、片桐さんに具体的に話してもらう。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
第1回 片桐さんの日蘭文化交渉史の研究経緯とその内容について
第2回 通詞の専門分野としてのオランダ語習得事情、先例抜きの語学研修について
         それまでのポルトガル語中心から一転、未知の言語との出会いや通詞養成試験など
第3回 通詞の実務内容(ことばを使う現場~話す、書く、調べる)
         長崎の通詞の仕事と語学、江戸詰めの通詞の仕事と語学について
第4回 天才通詞たちの活躍、個別多才な通詞たちの評判など


出演者プロフィール

片桐 一男(かたぎり・かずお)

片桐 一男(かたぎり・かずお)

1934年、新潟県生まれ。法政大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士課程単位取得。現在、青山学院大学名誉教授。公益財団法人東洋文庫研究員。文学博士。

<主な著書>『江戸時代の通訳官』(吉川弘文館 2016年)、 『知の開拓者・杉田玄白』(勉誠出版 2015年)、『伝播する蘭学~江戸、長崎から東北へ』(勉誠出版 2015年)など多数。


2017年4月の放送予定

古記録にみる日本の災害対策
講師:北原 糸子(立命館大学歴史都市防災研究所客員研究員)

日本列島は古来からさまざまな災害に見舞われてきた。その記録は、さまざまな文書などに残されている。歴史学者の北原糸子さんは、日本の災害史を専門に研究している。これまでに『地震の社会史』、『日本災害史』などを著し、地震、津波、火山の噴火、都市火災などの災害とその復興の有り様を様々な古記録をもとに調査、研究してきた。2016年9月には、その集大成として『日本震災史』(ちくま新書)を発表、時代を追って、災害に立ち向かうその当時の社会と人々を描き問題提起をしている。今回は、災害に関する様々な言葉を手がかりとして、その言葉が生まれた背景と意味について考えてみたい。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

<内容>
*北原さんの研究歴(災害史研究に至った経緯、きっかけなど)
*『日本震災史』より各時代の災害史についてキーワードを具体的に解説
     (キーワードとしては、「雪代」「永流」「うなえかえし」など)
   ・古代〜平安にかけて・・・貞観地震津波、富士山噴火の際の様子
   ・中世室町時代・・・明応地震
   ・近世・・・元禄地震、宝永地震と富士山噴火、天明浅間山噴火、安政津波と地震

出演者プロフィール

北原 糸子(きたはら・いとこ)

北原 糸子(きたはら・いとこ)

1939年山梨県生まれ。東京教育大学大学院日本史専攻修士課程修了。神奈川大学歴史民俗資料学研究科特任教授を経て、現在、立命館大学歴史都市防災研究所客員研究員(元国立歴史民俗博物館客員教授)。専門は日本災害史。

<主な著書>『地震の社会史』(講談社学術文庫 2000)、『日本災害史』(吉川弘文館 2006)、『関東大震災の社会史』(朝日選書 2011)、 『日本震災史: 復旧から復興への歩み』(ちくま新書 2016) など

Page Top