5月21日(土)
 
空き家の町内会費を払うの?(女と男)

空き家の町内会費を払うの?

2年前に父を亡くした中村さんは、お母さんと中村さんの家に一緒に住んでいます。両親が住んでいた実家は、電気やガスなども使えるようにしてあり、念に数回は実家に帰って使っていますが、普段は空き家です。その実家がある町内会から、たまっている町内会費2年分を払ってほしいと言われました。払わなくてはならないのでしょうか?

 

空き家の町内会費を払うの?

【弁護士の見解】 払わなければならない
町内会は、会員相互の親睦を図ったり、生活環境の維持・管理、それから会員相互の福祉・助け合いを行うこと等を目的として設立された団体で、判例も同じように考えている。ただし、町内会の加入というのは強制はされていない。 そこで、町内会費というのは、町内会の目的を実行するための合理的な金額であれば、町内会の会員になっている以上、町内会の規約に特別な定めがない限り、そこに定住していなくても、また町内会の催しに参加していなくても、やはり支払う義務があることになる。
町内会からの退会については、判例は退会を制限するような町内会の規定がなければ、いつでも一方的にやめることができると考えている。今回の場合、中村さんは、町内会から退会していない以上、町内会費は支払わなければならないと考える。

林弁護士の“ちょっと一言” 『町内会に加入するメリットも考えて』

最近、町内会への催しに、参加する人が減ってきているような現象がみられます。高齢者の見守りとか、防犯対策とか、あるいはゴミ集積所の管理等の担い手が減ってきていることにもつながってきているのではないかというふうに思います。近隣のつながりをどのように保っていくのか、町内会をどのように運営していくかについては、まさに今日的な課題と言えますね 。

おばあちゃんとぶつかった!(宮川大助・花子)

おばあちゃんとぶつかった!

花子さんは買い物の帰り道、前を歩くおばあちゃんを見て、注意してゆっくりと後ろを歩いていました。すると、おばあちゃんは歩道の段差でよろめき、転倒して手を骨折。転んだときに花子さんの荷物に当たりました。「荷物にあたって転倒したと言っている。治療費や将来の介護に必要な費用を払ってほしい」と後日、家族から言われました。目撃した人は、おばあちゃんが段差で転倒したと言ってくれています。花子さんは張飛や慰謝料などを払わなければならないのでしょうか?

 

おばあちゃんとぶつかった!

【弁護士の見解】 払わなくても良い可能性が高い
今回は、花子さんの行動がおばあさんの転倒を引き起こした加害行為といえるかどうかが問題となる。不法行為による損害賠償責任が発生するには、故意または過失によって他人の権利などを侵害し、その結果、他人に損害が発生したということが必要である。
もし、花子さんの荷物がおばあさんにあたって、それによっておばあさんが転倒して負傷したというのであれば、花子さんは人に荷物が当たらないように距離を保って歩く等の注意を怠った過失によって、おばあさんが被った治療費とか慰謝料とか、もしくは後遺障害が残った場合の介護費とか、そのような損害を賠償しなければならない可能性がでてくる。しかし、今回、花子さんも、また目撃した人も、おばあさんが段差によろけて倒れる際に花子さんの荷物にぶつかったと言うのであれば、花子さんには過失がなくて、荷物にあたらなくてもおばあさんは倒れていたかもしれないということで、荷物にあたったことと、おばあさんの転倒との間には法的な因果関係もないと考えられる。
花子さんの過失や因果関係については、おばあさんの方で証明しなければならないが、裁判例を見ても、このような事実の認定には微妙な部分があって断定はできないが、今回のケースでは損害賠償金を支払わなくてもよい可能性が高いのではないかというふうに考える。


<関連質問>
歩行者同士のぶつかり合いの場合、損害賠償責任は発生しないのが普通ではないのですか?

そうではない。当事者の年齢や、身体能力や、歩いていた速度。或いは、よそ見していたかどうかなど、様々な事情を考慮して一方に落ち度があって、その結果、誰かにぶつかって負傷させたというような場合には、損害賠償責任は発生する。

林弁護士の“ちょっと一言” 『歩行者同士の接触でも思わぬ責任が』
近年ですね、歩行者同士の接触事故から、損害賠償請求訴訟にまで発展している事案が出ています。特にスマホなどを見ながら歩くというのは、非常に危険なんですね。不注意な接触によって高齢の方が負傷した場合には、将来の介護費用も含めて、多額の損害賠償責任を負うこともありえます。くれぐれも注意しましょう 。
 

【ゲスト】中村美律子
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、山田花子、宮川大助・花子、女と男、林一弘(弁護士)


5月14日(土)
 
廊下のフラミンゴ(アメリカザリガニ)

廊下のフラミンゴ

春香さんは賃貸マンションの廊下に置物を置きました。しかし、清掃していた家主の奥さんが誤って倒して、壊してしまいました。翌日、家主に言うと「共用部分の廊下に置くのが悪い。弁償はしない」と言われました。弁償してもらえるのでしょうか?

廊下のフラミンゴ

【弁護士の見解】 弁償してもらえるが減額される
廊下を清掃していた人は、清掃中に春香さんが所有しているフラミンゴの置物をうっかりミス、つまり過失によって壊してしまったので、不法行為責任に基づいて、フラミンゴの置物の修理費用、もし修理できない場合は、壊してしまった時点での置物の時価額を賠償しなければならない。
ところで、フラミンゴの置物が飾られていたのは、マンションの廊下、つまり、共用部分である。共用部分とは、建物のうち自分が使っている、借りている居住部分のような、いわゆる専有部分に属さない施設を言って、例えば建物の玄関ホール、廊下や階段等が該当する。これらは住人全員が共通に使用する場所、空間なので個人が勝手に独占使用することはできない。
春香さんがフラミンゴの置物を置いたのは、まさにその廊下、つまり本来は置いてはいけない共用部分に置いていたわけなので、春香さんにも責められるべき点があったといえる。したがって春香さんはフラミンゴの置物を壊されたことによる損害賠償請求はできるが、過失相殺されて減額されると考える。

林弁護士の“ちょっと一言” 『共用部分の勝手な独占使用は許されません』

マンションの共用部分はその用途に応じて、居住者全員が使えるものです。ですから、他の居住者の迷惑にならないよう心がけたいものですね 。

新婚旅行で別れた2人(宮川大助・花子)

新婚旅行で別れた2人

鈴木さんと陽子さんは、2年間同棲して結婚式を挙げましたが、婚姻届は新婚旅行から帰ってから出す予定でした。同棲中の生活費は折半でしたが、陽子さんが家事をする代わりに、旅行費用は鈴木さんが1人で貯めて、余ったら新居の費用に充てるという約束でした。しかし、旅行先で2人は大ゲンカ。結局別れることになり、婚姻届は出しませんでした。陽子さんは「家事は自分がやっていたので、新居のためのお金の半分を財産分与してほしい」と言います。鈴木さんは、もともとは自分が稼いだお金だし、婚姻届も出していないので、財産分与する必要はないと思っていますが、財産分与するのでしょうか?
 

新婚旅行で別れた2人

【弁護士の見解】 財産分与をしなければならない
社会的に夫婦として生活している実態はあるが、婚姻届を出していない事実上の夫婦関係のことを内縁という。今回は、2人は婚姻届の提出はまだでも挙式も済ませて夫婦としての実体があるので内縁と評価してもいいのではないかと考える。内縁については可能な限り法律上の婚姻に準じて扱うというのが実務であり、したがって、内縁の解消においても離婚と同様に財産分与の請求が認められる。財産分与とは、原則として婚姻してから離婚までの間に夫婦が共同して作り上げた財産というのは、どちらの名義になっても夫婦の共有だと推定されるので、離婚の際にその清算を求める制度である。内縁の場合も同様に内縁開始から内縁解消までの間に作り上げられた財産というのが財産分与の対象となる。
鈴木さんが生活費とは別に、自分の収入を節約して貯めていた資金というのは、陽子さんとの共有財産でないようにも思われるが、その目的は2人の新婚旅行の資金で、そして余れば2人の新居の費用に充てる予定だった。2人の間で、陽子さんは家事を担当しましょう、そして鈴木さんの方は夫婦生活のためにこの貯めたお金を2人で使用しましょうということが、予め合意されていたと考えれば、実質的には、これは2人の共有財産と評価して差し支えないと考える。したがって、今回の場合、2人の共有財産の清算として財産分与しなければならないという結論になる。

林弁護士の“ちょっと一言” 『内縁も基本的には夫婦と同じ』

相続のような婚姻届出を前提とする民法の適用は受けないんですけれども、夫婦間の協力義務とか、貞操義務とか、あるいは内縁関係の不当に破棄された場合の損害賠償請求、あるいは今回のように、財産分与の請求というのは認められていますので知っておいて下さい 。
 

【ゲスト】キダ・タロー
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、桂吉弥、山田花子、宮川大助・花子、アメリカザリガニ、林一弘(弁護士)


5月7日(土)
 
ひっくり返ったすし桶(学天即)

ひっくり返ったすし桶

米田さんは、村井さんから注文されたウニのおすしの配達に行きました。「おいしそう!お財布を取ってくるから玄関に置いておいて」。しかし、その時、玄関から野良猫が! あっという間にすし桶をひっくり返して逃げていきました。「すぐに作り直して。まだお勘定の前だし、そちらの責任でしょ」と村井さんは言いますが、米田さんは作り直して2回分の代金をもらうことができるでしょうか?

ひっくり返ったすし桶

【弁護士の見解】 2回分の代金をもらえる
今回は勝手に入ってきたネコが悪いということにはなるが、法律上はネコに責任追及することもできず、どこのネコかも分からないので、飼い主に責任を取ってもらうということもできない。本件ではトラブルが起きた時点で、おすし屋さんの義務が完了していたかどうかというのがポイントになるかと考える。まず、出前の注文を受けた時点で売買契約が成立する。これに基づいて、おすし屋さんはお寿司をつくって引き渡し、村井さんはこれに代金を支払う義務を負う。村井さんは、米田さんが持ってきたすし桶の中身をちゃんと確認した上で、玄関に置くように指定をしている。この時点で、おすしは村井さんの管理下に入ったと言え、おすしの引き渡しも完了したと捉えるのが自然ではないかと考える。その後、ネコがすし桶をひっくり返すという、予想外の事態によっておすしが無駄になってしまったが、おすし屋さんとしては、債務を履行した後なので代金を請求することができる。つまり、おすし屋さんは代わりのおすしを提供する義務もないので、もし村井さんが新たに注文するのであれば追加の代金を請求できると考える。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『損失負担は公平を原則に』

今回のようにどちらの立場でも、損失を負担することに納得しづらい場合、最後は何が公平かという観点から決定せざるを得ません。今回も、モノを支配下に収めたら、そのリスクも負担するのが公平と考えられます 。

1か月だけ貸して!(中田カウス・ボタン)

1か月だけ貸して!

三宅さんの姉の幸子さんは物忘れがひどく、2年前から介護施設に入居しています。その際、幸子さんの息子の一郎さんが家庭裁判所に申し出て、母親の成年後見人になりました。最近、一郎さんは急な取り引きでお金が必要になり、「母の貯金から300万円借りたい。1か月後には返済できるから」と三宅さんに相談してきました。「母さんの承諾も取れている」と言いますが、成年後見人が財産に手をつけるのはまずいと思います。一郎さんは1か月だけ財産を借りることができるのでしょうか?

1か月だけ貸して!

【弁護士の見解】 借りることはできない
「成年後見人」というのは、本人の判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所から選任される人のことである。本人の財産を適切に管理し、契約の代理をしたりして、本人を保護し、サポートする役割を担う。幸子さんのために成年後見人が選ばれているということは、幸子さんが財産を管理する能力が十分でないと判断されたはずなので、幸子さんに「貸してくれる?」と聞いて、「ええよ」と言ってもらっても、それが法的に有効なものとはいえない。他方で、成年後見人である一郎さんは、法律上の代理権も持っているため、幸子さんを代理して、自分に対してお金を貸し付けることができるようにも思われる。しかし、成年後見人と本人の利益が相反する場合には,公正な代理権の行使は期待できない。つまり成年後見人と本人との間の貸し借りは原則として認められないということになる。成年後見人は、あくまで本人の財産を適切に管理し、本人の利益を保護する義務を負っているという点に注意が必要である。本件のような場合、親子の関係にあるからといっても一時的にでも借りることはできないと考える。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント『親族だからこそ区別して!』

成年後見人には幅広い権限が認められますが、あくまで財産管理を任されているに過ぎません。親族であっても、自分の財産ときっちり区別するよう心がける必要があります 。
 

【ゲスト】島谷ひとみ
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、三倉茉奈、中田カウス・ボタン、学天即、小島幸保(弁護士)


4月30日(土)

離婚はしたいけど…(ミヤ蝶美・蝶子)

離婚はしたいけど・・・

あけみさん夫婦は喧嘩が絶えず、3年前から家庭内別居状態が続いています。お互いに離婚の意思はあるものの、話が進まないので、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てようと思っています。知人から「あなたが離婚のきっかけを作ったことになる。慰謝料を取られるよ」と言われましたが、自分から申し立てたら本当に慰謝料を払わなければいけないのでしょうか?

離婚はしたいけど・・・

【弁護士の見解】 必ずしも慰謝料を払う必要はない。
離婚に限らず、調停というのは、当事者の意見が対立して話し合いができないときなどに、裁判所に間に入ってもらって解決をめざす制度である。離婚に際しては、そもそも離婚するかどうかということから始まって、子どもの親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料など、話し合うテーマはいろいろある。これらについて、男女2名の調停委員が夫婦それぞれの言い分を聞きながら、双方が合意できる内容を探っていくということになる。もちろん、慰謝料について話し合われることもあるが、慰謝料は、本来、離婚の原因を作った人が支払うものである。つまり、あけみさんに明らかな離婚原因があれば別だが、そうでなければ先に調停の申し立てをしたからといって、それ自体が慰謝料の支払いに結びつくわけではない。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『調停はあくまで話し合いの場』

裁判は、証拠によって証明できるかどうかで勝訴、敗訴が決定します。これに対して調停は、調停委員を介して双方が意見を述べ、合意できる条件を探っていくものです。このような違いも知っておいてください 。

生前の寄付の約束(中田カウス・ボタン)

生前の寄付の約束

田中さん兄弟の父親が亡くなりました。父親と同居していた長男が、父親名義の家を売って、弟と分けることにしました。半年後、長男のところに、将棋クラブの会長が訪ねてきました。「あなたのお父さんが、私が死んだら将棋盤と駒一式を寄付すると言ってくれました。その将棋盤で追悼大会を開きます」と言います。価値があるなら売って兄弟で分けたいと思っていますが、父親は将棋大会で寄付のことを発表し、参加者全員が聞いていたと言います。一式寄付しなければならないのでしょうか?

生前の寄付の約束

【弁護士の見解】 寄付する必要はない
本件では、「死因贈与」の効力が問題となる。死因贈与というのは、贈与をする人が生前に贈与契約を締結し、その効力の発生時期を自分の死亡の時とするものをいう。「死因贈与」も贈与契約の一種であり、あげる人ともらう人の合意があれば口約束でも成立する。もっとも、口約束の場合は、贈与契約があったことを証明するのが難しいということはある。
ただ、本件では、父が「将棋盤と駒一式を譲る」と将棋大会の場で発言し、会長さんだけではなくて、複数のメンバーが聞いていた。そのため、契約書がなくても、複数の証人がいることになり、証明できる可能性が比較的高いのではないかと思われる。したがって、クラブ側は死因贈与契約を主張することができると考えられる。

しかし、本件は口約束であり書面によっていない。書面によらない贈与は、履行が終わっていない部分を撤回することができるという規定がある。これには、口約束で軽率に贈与契約を締結したあとに後悔するということも考えられるため、それを防止する意味あいがある。つまり、お父さんは贈与を撤回できたと言うことになり、本件の場合「あげる」と意思表示をしたお父さんの地位を相続人が引き継ぐことになる。相続人がこういったことを撤回できるか争われた裁判もあるが、撤回できると判断をされている。つまり、死因贈与であっても、書面によらない贈与を撤回できるという規定は適用され、相続人は、父による死因贈与を撤回することによって、寄付する義務を免れることができる。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『贈与は書面で確実に』

いくら当事者間で合意をしていたとしても、書面にしていなければ法律の規定によって撤回できる余地が残されます。トラブルを避けるためには書面での契約が必要ということですね 。
 

【ゲスト】松村邦洋
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、三倉茉奈、中田カウス・ボタン、ミヤ蝶美・蝶子、小島幸保(弁護士)


4月23日(土)

古いバスの時刻表(和牛)

古いバスの時刻表

バス停の前にある喫茶店に入った桜さんと葵さんは、店に貼っていた時刻表で温泉行きのバスの時間を確認しました。時間になってもバスは来ず、店主に確認すると古い時刻表であったことが発覚しました。店主に温泉までのタクシー代を払ってもらえるでしょうか?

古いバスの時刻表

【弁護士の見解】 払ってもらえない
桜さんたちが店の時刻表を見たときには、最終バスの時刻を過ぎていたというのであれば「古いバスの時刻表」と「乗り遅れた」こと、この二つの間に因果関係がない以上お店のせいにすることは難しい。本当に古い時刻表のせいで乗り遅れた、因果関係があった場合を考えてみると、そんな場合でもお店が責任を負うというのは、時刻表を店としての「ウリ」とか「セールスポイント」。そんなふうにしていた場合に限られると考える。例えば、私の地元にあった駅前の喫茶店では、店内にモニターがあり、次に来る電車の発車時刻と行き先が映し出されるので電車が来るぎりぎりまでコーヒーを飲むことができた。そういう店なら、モニターというのは店としてのセールスポイントとなり、お客の方も映し出される時刻というのは当然正確だというふうに期待しているはずなので、もし、その時刻が間違っていて乗り遅れたのであれば法的な責任問題になり得ると思われる。しかし、今回の喫茶店の場合は、たまたま時刻表を貼っていただけで、何もその時刻表をウリにしていたわけではない。従って、仮に時刻表のせいで乗り遅れたとしても、やっぱり店に対しての責任追及は無理だと考える。

伊藤弁護士の“納得の一言” 『過度の期待は禁物』

相手の言動をあてにして、一方的に期待していたのが外れただけでは、相手の責任追及は難しいです。責任追及できるのは、その期待が合理的な期待といえるほど高まっている場合に限られます 。

離婚後の退職金(オール阪神・巨人)

離婚後の退職金
宮川さん夫婦は一人娘が20歳になる3か月後に離婚することになりました。一軒家は奥さんと娘が譲り受け、預貯金は半分ずつ分けることで話がすすんでいます。先日、知り合いから「ご主人、早期退職するんだってね」と言われましたが、そんな話は初耳です。「早期退職するなら退職金も分けてね」と言うと、「退職するのは半年後だ。もう他人なのに分ける必要はない」と言います。離婚後にもらう予定の退職金も財産として分けてもらえるのでしょうか?
離婚後の退職金

【弁護士の見解】 分けてもらえる
婚姻期間中に築いた財産は、夫婦の共有となる。財産分与というのは、夫婦関係の解消とともに財産面でも清算するため、この共有財産を分けようという制度である。退職金は、在職中の給料の後払い的なものと言われているので、夫婦双方の協力があってこそ、その退職金の金額になったはずである。したがって、退職金は決して夫だけのものではなく、共有財産として財産分与すべきものとなる。よって、今回の場合でも、退職金の支給時期が離婚後であっても、財産分与するのが離婚後になるだけであって、早期退職の退職金は財産分与の対象にすべきということになる。もっと言えば、法律的には早期退職ではなくて、定年退職の時の退職金も財産分与の対象になるものであり、裁判例では、将来の退職金であっても、定年がそれほど先ではなくて、近い将来受給できる可能性が高い場合は、その退職金は財産分与の対象にしてもよいとしている。従って、今回のように5年先程度であれば、十分、この定年時の退職金というのは、財産分与の対象になりうるものである。したがって、本当は奥さんとすれば、早期退職の話がなくても、財産分与の話として退職金も含めるべきであったと思われる。

伊藤弁護士の“納得の一言” 『退職金も夫婦二人で築いた財産』

夫の退職金は給料の後払いとして、妻の協力があってこそもらえるものですので、夫婦の共有財産です。ですので、離婚するときも、財産分与の対象にすることを忘れないでください 。
 

【ゲスト】押切もえ
【出演者】笑福亭仁鶴、辻本茂雄、山田花子、オール阪神・巨人、和牛、伊藤芳晃(弁護士)


4月9日(土)

玄関に貼った督促状(酒井くにお・とおる)

玄関に貼った督促状
賃貸マンションの家主の駒田さんは、2か月分の家賃を滞納している山本さんにあらゆる手段で催促をしましたが、連絡が取れません。「家賃を払ってもらえない場合は契約を解除して鍵を取り替えます」と書いた督促状を山本さんの玄関に貼りつけようと思っています。家主なら貼ることができるのでしょうか?
玄関に貼った督促状

【弁護士の見解】 貼ることができない
家主の駒田さんは、玄関ドアも自分の所有物だから貼り紙してもいいと考えたのかも知れませんが、今回の貼り紙の内容というのは、家賃の滞納に関することなので、これを見た他の住民に「山本さんは家賃の取立てを受けるぐらい経済的に苦しいんだ」という印象を与えるものになります。そういう情報を貼り紙して不特定多数の人が見られる状態にするというのは、プライバシー侵害、名誉侵害ということで違法と言わざるを得ないと考えられる。
裁判例でも、家主ではないが保証会社が同じようなことをした事案で、裁判所は慰謝料の支払いを命じたものがある。滞納している家賃をいったんは保証会社が立て替えて、その後、保証会社が賃借人に督促する一環で、今回と同じような貼り紙をした場合に、それは違法であり、やりすぎということで慰謝料の支払いを命じられている。したがって、家主であっても、今回のような督促状を貼りつけることはできないと考える。

伊藤弁護士の“納得の一言” 『家主でも許される範囲に注意して』

今回の督促状を貼り付ける行為もそうですが、その他でも家賃が滞納されている場合などに、家主が裁判等の手続きを踏まずして勝手に部屋の鍵を取り換える。こういうことも、原則として違法です。注意してください 。

減らされたパート時間(オール阪神・巨人)

減らされたパート時間
35歳の田中さんは、近所のパン屋さんで週4日、1日4時間のパート契約で働いています。来月のシフト表を見ると、勤務が週に1日だけしかありません。店長は、「最近、客足が落ちてきて社員だけで仕事を回せるから」と言いますが、田中さんより後に入ってきた若い、みどりさんの勤務は増えています。何の相談もなくシフトを減らされるのは納得できません。元に戻してもらえるでしょうか?
減らされたパート時間

【弁護士の見解】 減ったシフトは元に戻してもらえない。但し、減った分の賃金の支払いはある。
まず、シフトを決める権限というのは、お店ないし店長の方にあるので、減らされたシフトを元に戻してくれというのは無理である。ただし、今回の場合、経営不振のための、いわば操業調整としてシフトを減らしたかと思いきや、パート間で不公平にシフトを増減させているようですので、そうすると田中さんのシフトを減らしたことについては何ら正当な理由がないと考える余地があると思われる。正当な理由がないのであれば、シフトを減らしたことに関して店側に責められるべき事情があるということで、民法の規定を使って減らされたシフトの賃金全額を田中さんは払ってもらえます。


<関連質問>
本当にお店の経営が苦しくて、その時パートさん全員のシフトを減らさなくてはいけない。などという場合はどうしたらいいんですか?

そんな場合は、必ずしもシフトが減ったことに関してお店に責められるべき事情があるとはいいにくいと思われ、先ほどの民法の規定は使えないということになる。しかし、労働基準法の休業手当がもらえる可能性は高いと考える。労働基準法の休業手当というのは、労働者の生活保障の観点から設けられたもので、本当に経営上の理由からシフトを減らした場合でも休業手当が認められる場合が多いからである。
その代わり、休業手当の金額というのは、直近の給料締切日の、さかのぼって3か月間分、この平均賃金の6割以上と定められているので、必ずしも減ったシフトの賃金全額までは保障されないということになる。

伊藤弁護士の“納得の一言” 『パートであってもれっきとした労働者』
正社員であれパートであれ、労働基準法が適用される労働者には変わりはありません。ですからパートだからシフトを減らされても仕方がないと諦めるのではなく、一度労働基準監督署や弁護士に相談してみてください 。
 

【ゲスト】瀬川瑛子
【出演者】笑福亭仁鶴、辻本茂雄、山田花子、オール阪神・巨人、酒井くにお・とおる、伊藤芳晃(弁護士)


4月2日(土)

18歳の娘の判断(チキチキジョニー)

18歳の娘の判断

ノリ子さんには18歳の娘、麻子さんがいます。先日、ノリ子さんが麻子さんと一緒に、麻子さんの着付けとヘアメイクの打合せに美容院に行きました。着物一式を持ち込み、全部で3万円で予約しました。当日、麻子さんは1人で美容院に行ったので、後でノリ子さんが迎えに行くと「4万円です」と言われました。驚いて確認すると髪飾りが追加されていて、麻子さんは「断るのも悪かったので…」と言いますが、契約したのはノリ子さんです。追加料金を払わなければいけないのでしょういうか?

18歳の娘の判断

【弁護士の見解】 払わなくてもいい
麻子さんは18歳とはいえ、未成年者である。民法は未成年者が行った法律行為については親権者など法定代理人の同意が必要だと定めている。これに違反した場合にはその法律行為を取り消すことができると定めている。未成年者は、成人している人と同様の判断能力が未熟なため、単独で法律行為を行った場合には思いがけない不利益を被るおそれがあるので、親権者等のチェックを受けさせて、未成年者の保護を図ろうという趣旨によるものである。
本件での、髪飾りの追加について、麻子さんは適切に判断できず勧められるままに同意してしまったわけだが、そもそも着付けとヘアメイク一式一体のものとして3万円でしてもらうという契約はノリさんと美容室との間の契約であると言える。
そうすると、このような一式の契約内容を変更しようと思えば、実際に代金を払うノリさんと美容室との間で行わなければならないので、それがない以上は髪飾りは返さなければいけないが、代金の支払いも拒否できるということになる。

林弁護士の“ちょっと一言” 『未成年者の法律行為の同意、取り消しの判断は慎重に』

特に成人の年齢に近い未成年者の場合は、親権者はよく事情を把握して本当に未成年者の不利益になるかどうかということを見極めて判断すべきだと考えます。

割り込まれて売り切れ!(宮川大助・花子)

割り込まれて売り切れ!

小池さんは東京から大阪へわざわざラーメンを食べに来ました。行列ができていたので、おばちゃんの後ろに並んでいると、おばちゃんの友だち3人がやってきて、小池さんの前に割り込みました。「東京から来たので食べられなかったら困ります」と言うと「私が代表して並んでたからええやろ」と言われました。ところが、小池さんの前でラーメンが売り切れてしまいました。おばちゃんたちに「割り込まなければ食べられた」と言いましたが、相手にしてもらえません。東京からの交通費を払ってほしいと思うのですが、払ってもらえるのでしょうか?

割り込まれて売り切れ!

【弁護士の見解】 払ってもらえない
小池さんの前に割り込んできた人の行為については直ちに違法になるというものではないというふうに考える。例えば、威勢を示して公衆の列に割り込んだり、列を乱した場合には軽犯罪法に違反することがある。その観点からみれば順番に並んで席を乱されないということは、一般的には保護される利益だと考えられる。
しかし今回の場合、おばさんたち全員が割り込んできたわけではなく、ひとりのおばさんが元々小池さんの前に並んでおられて、友人たちの順番を確保をするために代表として並んでいたというケースであること。入って来た人も3人ということで多人数によって列の秩序が著しく乱されたこともないということ。それから、お店のほうも予めラーメンを食べることができる人数を決めていたわけではなくて、スープがなくなり次第終了ですよという告知をしていて、小池さんもそのことを了解したうえで並んでいたということ。また、おばさん達も、自分たちが並んだことによって小池さんが食べられなくなるということを予想することはちょっと困難だったこと。これらのことを総合して考えると、おばさん達の行為が小池さんの権利を侵害する違法な行為であるとするまでは、ちょっと難しいのではないかと考える。本来、割り込みと認められるような行為は社会生活上は好ましくない行為であり、小池さんには気の毒だが、今回の場合、交通費までは払ってもらえないと考える。 

林弁護士の“ちょっと一言” 『公衆マナーは社会の潤滑油』

相手を思いやる気持ちがあれば、無用な紛争は避けられます。法律以外でも、社会のルールやエチケットを守るということは大切ですね。
 

【ゲスト】小芝風花
【出演者】笑福亭仁鶴、辻本茂雄、若井みどり、宮川大助・花子、チキチキジョニー、林一弘(弁護士)


3月26日(土)

使うと言うからあげたのに…(大木こだま・ひびき)

使うと言うからあげたのに・・・
笠井さんは「古いオーディオセットを処分して!」と奥さんに言われ売ろうかと思いましたが、友人の舟木さんが「使いたいから譲ってくれないか?」と言うので、タダであげました。1か月後、舟木さんの家を訪ねると「使うつもりだったけど置き場所がないから、リサイクルショップに2万円で売った」と言います。あげたときの約束と違うので笠井さんは売却代金の2万円をもらえるのでしょうか?
使うと言うからあげたのに・・・

【弁護士の見解】もらえない
笠井さんと舟木との合意というのは、笠井さんが所有しているオーディオセットを舟木さんに無償で譲るという贈与契約である。もらったものを、舟木さんが使用するというのは贈与に通常伴う内容なので、今回の契約は贈与する代わりに何か舟木さんに新たな負担をさせる内容を盛り込んだ、いわゆる「負担付贈与契約」とはいえない。
そこで、笠井さんは「使ってくれるというので贈与したのに使わなかったのなら贈与しなかった」という思い違い、つまり錯誤があったことを理由にこの贈与契約の無効を主張できないかということが問題となる。判例は、そのような動機が表示されていて、なおかつそれが取引上重要な部分に関する場合は契約の無効を主張できるとしているが、今回の場合はその判断を当てはめるのは少し難しい。まず、舟木さんは贈与契約当時は本当にオーディオセットを使うつもりであったので、その時点において笠井さんに思い違いはなかったと言える。また、笠井さんは元々オーディオセットを処分しようと考えていたところに、たまたま舟木さんが現れたわけで、舟木さんによる使用が特に重要で「舟木さんが使用しないのなら贈与しなかった」というように、舟木さんによる使用が重要な契約内容になっていたとまではいえないと考える。したがって、契約は無効にはならず売却代金はもらえないと考える。

林弁護士の“ちょっと一言” 『契約の土台となる事柄の確認は非常に重要』

思い違いというのを防止するためにも、契約の際に当事者がどのような認識を持っていたのかということを、きちんと確認し合って契約することが肝要です。

相続放棄を頼んだ遺言(宮川大助・花子)

相続放棄を頼んだ遺言

山崎さんは多額の借金を返済中ですが、そのことを奥さんと娘さんには秘密にしているので、自分にもしものことがあったらと心配です。二人が相続すると、今、住んでいる土地家屋を売っても借金の方が多くなります。そこで、山崎さんは「妻と娘は相続放棄するように」という遺言書を書きました。これで、2人に借金を背負わせないですむと思っていますが、妻と娘はこの遺言書に従わなければならないのでしょうか?

相続放棄を頼んだ遺言

【弁護士の見解】 従う必要はない
相続の放棄とは、自分のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に、自分は相続を放棄しますよということを申述すれば始めからその相続に関しては相続人にならなかったものとみなされる制度である。それなので、亡くなる前に相続を放棄することはできないし、あくまで亡くなられた後にその相続人の自由意思による真意に基づいて相続放棄をしなければならない。従って、遺言で相続人になる人に相続放棄を強制することはできない。では、この山崎さんの遺言は無効となるのかというとそれはまた別問題となる。一応遺言書としての方式が整っている場合、山崎さんの遺言の内容は「もしかしたらお父さんは結構な借金があったのではないか」ということをそれとなく伝えて、その場合に相続放棄という選択もあり、その点をじっくり検討しなさいということを促す内容であると解釈すれば、あえてこの遺言書を無効と判断する必要はないと考える。 

林弁護士の“ちょっと一言” 『相続放棄は相続人の権利』

3か月という期間は「考慮する期間」です。夫妻も含めて相続財産はどんな状態だろうかと言うことを正確に把握して、相続放棄をするか否か検討する期間です。ですから、複雑な相続財産でとても結論が出ないという場合には、その検討期間をもう少し延ばしてくださいということを家庭裁判所に申し立てすることもできますので知っておいてください。
 

【ゲスト】五代目 桂米團治
【出演者】笑福亭仁鶴、辻本茂雄、若井みどり、宮川大助・花子、大木こだま・ひびき、林一弘(弁護士)


3月19日(土)

ドローンで夜桜撮影?(ギャロップ)

ドローンで夜桜撮影?

写真撮影が趣味の坂本さんは、美しい風景を見つけてはカメラ片手に撮影に出かけています。だんだん普通の撮影だけでは物足りなくなり、カメラ付きのドローンを購入することにしました。もうすぐ桜の季節なので、人がほとんど行かない穴場スポットでドローンを飛ばして夜桜を撮影したいと思っていますが、自由に撮影できるのでしょうか?

ドローンで夜桜撮影?

【弁護士の見解】 撮影できない
ドローンは将来的に様々な分野での活用が見込まれているが、一方で、落下や衝突の事故も発生している。そこで航空法の一部が改正されて、昨年末にドローンの飛行に関するルールが施行された。ただし、重量が200グラム未満のものは規制の対象外となっているので、今回は200グラム以上のドローンであることを前提に考えてみたいと思う。
まず飛ばす方法だが、日中に飛行させること、直接肉眼で目視できる範囲内で、常に監視して飛行させること、人または物件との間に30m以上の距離を保つこと、また、多数の人が集まる催しの上空で飛行させないことなどが挙げられる。つまり、これらを満たさない形で飛ばす場合は、国土交通大臣から事前の承認を受ける必要がある。そこで、たとえ、人が少ない場所であっても、手続きを取らずにドローンでの夜の撮影はできないということになる。
また、飛ばすことが禁止されている場所があり、空港などの周辺や、人口集中地区の空域、150m以上の高さの空域についても飛行の許可が必要になる。以上が国が定めたルールになるが、各自治体でもルールが設けられている場合があり、別途自治体の許可が必要になるケースも考えられる。この点にも、十分注意することが必要である。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『便利なものだからこそルールを守って!』

世界的に注目されているドローンは、今後更に発展して活用される可能性があります。だからこそ、利用者がルールを守って発展の妨げにならないよう心掛けたいですね。

データ化した雑誌(中田カウス・ボタン)

データ化した雑誌

村井さんは、とある映画俳優の大ファンです。出演作品を欠かさず見て、雑誌も買いそろえています。「雑誌の写真や記事をスキャンしてデータ化したらデジタルで永久保存できる」と考え、半年がかりで200冊ほどある雑誌のデータをパソコンに保存しました。同じ俳優好きの小山さんに自慢すると、「手間賃で1万円払うから、そのデータをDVDで譲って」と言いますば、別の友達から「売るのはまずいんじゃないの?」と言われました。小山さんに売ることができるのでしょうか?

データ化した雑誌

【弁護士の見解】 売ることはできない
まず、雑誌をスキャンしてデータ化する行為は、著作権法上の「複製」にあたる。複製というのは、コピー機でコピーしたり、録画したり、録音をしたり、写真にしたり、書き写したり、スキャナーで読み取ることなどを指す。このような複製をするには、原則として著作権者の許諾を得なければならない。ただし、買った雑誌を、個人で楽しむため、自分でスキャンして、パソコンにデータを保存することは、私的使用のための複製ということで、著作権者から許諾を得ることなく行えるとされている。
では、そのデータを売っても問題ないのかを考えてみる。村井さんがパソコンの中に保存したデータをDVDに移す際には、元々のデータの複製を伴うことになる。この複製は友達にデータを売る目的で行われることになり「私的使用のため」とは言えない。従って、著作権者の許諾を得ない限り違法となる。つまり、手続きを取らずに売ることはできないと考える。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『著作物のコピーには要注意』

私的な使用であってもルールがあります。例えば、DVDのコピープロテクトを解除してコピーをすることはできません。ルールを守って利用しましょう 。
 

【ゲスト】堀内孝雄
【出演者】笑福亭仁鶴、桂吉弥、山田花子、中田カウス・ボタン、ギャロップ、小島幸保(弁護士)


3月5日(土)

社長のクリーン化計画(海原はるか・かなた)

社長のクリーン化計画

きれい好きの社長はデスクまわりが汚い社員を見つけては注意していますが、「この案件が落ち着いたら…」と言うだけで、一向に片付ける気配がありません。「3週間以内に片付けなければ罰金1万円を徴収!」と周知すると、社内がきれいになりましたが、遙さんのデスクだけは書類が山積みされたままです。社長が「罰金を持ってくるように!」と告げると、「罰金なんておかしい!」と言います。約束を守らなかった春香さんから罰金をもらうことができるのでしょうか?

社長のクリーン化計画

【弁護士の見解】 罰金をもらうことはできない
労働基準法という法律が、「使用者は労働契約の不履行について、違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めている。社長さんは、社員に対して職場では整理整頓しなさいと義務付けることはできるが、だからと言って、社長の権限で独自のルールをつくって罰金を設定したり、罰金を給料から天引きするような行為は違法となる。したがって、片付けないからといって罰金は徴収できない。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『社長でも法律にのっとって』

社長が決めたルールでも労働基準法などに違反すれば無効となります。まずは、ルールを知って、よりよい職場作りに取り組むことが大切ではないでしょうか。

元気なうちはいいけれど…(中田カウス・ボタン)

元気なうちはいいけれど・・・

75歳のよし江さんは、亡き夫が建てた一軒家で暮らしていますが、最近物忘れがひどく先のことが心配です。一人娘は3人の子育てに追われ、同居して迷惑はかけたくないし、自由に気ままに一人で暮らしたいと考えています。そこで、「この先1人で生活できなくなったら、自宅を売って老人ホームに入居しよう」と決心しました。一人娘は「母さんがそうしたいなら反対はしない」と言ってくれましたが、判断能力が衰え、自分で手続きができなくなった時のことが心配です。今から財産管理を託すことができるのでしょうか?

元気なうちはいいけれど・・・

【弁護士の見解】 財産管理を託すことはできる
老後の財産管理を任せる方法は複数あり、よく知られているのは「成年後見制度」というものだが、これはご本人の財産管理能力が衰えてしまったときに初めて管理が始まるもので、家庭裁判所が後見人を選ぶというものである。
一方で、委任契約として、まだ元気なうちから信頼できる人に財産管理を任せることもでき、自分自身であらかじめ後見人となる人を選んでおく「任意後見」という制度もある。さらに、徐々に注目されている「個人信託」という方法もあるので、今回は、個人信託について考えてみる。
信託には「委託者」「受託者」「受益者」という立場の人が登場する。「委託者」というのは預ける人、「受託者」は預かる人、「受益者」は預けられた財産からの利益を受け取る人である。「委託者」が、「受託者」に対して資産を移転して、「受託者」が「受益者」のために、一定の目的に従って、資産を管理・処分する仕組みになる。
信託の仕組みは、相続対策としても注目されていて、信託銀行に任せることができるほか、弁護士などの専門家に入ってもらうことも、家族間で行うこともできる。本件で家族間の信託、つまり家族信託を取り入れるとすると、お母さんが委託者と受益者になって、娘さんが受託者になる。お母さんは、預ける財産の名義を娘さんに換えることになるが、これに伴って、やって欲しいこととか、してはならないこと、そして、一人暮らしが難しくなれば、自宅を売って、老人ホームの入居資金にあてるといったことを取り決めておくことになる。家族信託であれば、近くにいる親族が、お母さんの様子を見ながら柔軟に進めることもできるのではないかと考えられる。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『家族信託も信用が第一!』

信託契約の中でしっかりとルールを決めていても、結局は管理する人がしっかりしていなければなりません。信用できる方にお願いするのが大事ということですね 。
 

【ゲスト】榊原郁恵
【出演者】笑福亭仁鶴、桂吉弥、山田花子、中田カウス・ボタン、海原はるか・かなた、小島幸保(弁護士)


2月27日(土)

本物だった置物(ザ・ぼんち)

本物だった置物

雄一郎さんは後輩の山田さんから「取引先の部長から『預けていた虎の置物を休みの日に届けてくれ』と言われたが、壊すとたいへんなので代わりに行ってほしい」と相談されました。雄一郎さんは気の小さい山田さんを元気づけるために「あの置物は模造品だから1万円ぐらいの価値しかないものだ。緊張することはない」とウソをつきました。翌日、山田さんが「置物を壊してしまったら30万円もすると言われた。ウソをついた先輩にも責任があるので弁償金の半分を払ってほしい」と言います。払わなければいけないのでしょうか?

本物だった置物

【弁護士の見解】払わなくてもよい
今回の場合、置物を届けてくれと言った取引先の部長と、それを引き受けた山田さんとの間には「準委任契約」が成立している。したがって山田さんは無事に虎の置物を取引先の部長に届ける義務があるにもかかわらず、その置物を壊してしまったのだから、山田さんには債務不履行を理由に損害賠償責任があるということになる。
一方、雄一郎さんは取引先の部長とは契約関係がなく、また、あくまでも山田さんのことを思って嘘の金額を言っただけなので、故意や過失もなく、虎の置物が壊れたこととの間に直接の因果関係もないので、不法行為にもあたらない。したがって、雄一郎さんは弁償金を支払う必要はないということになる。

澤弁護士の“澤の一声” 『人から仕事を頼まれたら、責任を持ってやり遂げましょう』

頼まれたことに対する責任は、まずは頼まれた人にあります。やり遂げないと法的に責任を問われることにもなりかねません。注意しましょう。

外国籍でも相続人?(宮川大助・花子)

外国籍でも相続人?

よし子さんの夫が亡くなりました。相続人はよし子さんと娘二人です。長女はよし子さんと暮らしていますが、次女は20年前、父親の反対を押し切って国際結婚してカナダに住んでいます。父親は激怒し「親子の縁を切る」と言ったので、それ以来、次女は一度も帰国していません。よし子さんは次女にも相続させようと探しだし、連絡を取ろうとしましたが、長女は「お父さんから絶縁されて外国籍を取ったし、日本に住民票もない。妹には相続権はない」と言います。次女は父親の遺産を相続できるのでしょうか?

外国籍でも相続人?

【弁護士の見解】相続できる
今回の相談では、外国に帰化した場合や日本に住民票がない場合でも相続権があるのかが問題となる。
今回のケースでは、亡くなったお父さんが日本国籍を持った日本人なので、相続に関しては日本の民法が適用される。民法は、被相続人の子どもは相続人になると規定しており、子どもに日本の国籍があることや日本に住民票があることを相続の条件とはしていない。
したがって相続人が外国籍であっても、また日本に住民票がなくても、遺産を相続できるということになる。今回の場合、父親から縁を切ると言われたようだが、実の親子の関係の場合は、親子関係は切ることができない。また、それだけでは被相続人の意思によって相続人の相続資格を奪う「廃除(はいじょ)」にもあたらない。したがって、妹さんは相続できるということになる。

澤弁護士の“澤の一声” 『相続人は外国籍であっても相続できます』

相続人が廃除されない限りは相続は可能です。また、勘当だといっても法的に親子関係を切ることはできません。親子関係は大切にしましょう。
 

【ゲスト】ふじいあきら
【出演者】笑福亭仁鶴、辻本茂雄、山田花子、宮川大助・花子、ザ・ぼんち、澤登(弁護士)


2月20日(土)

骨とう品をあげる!(若井りき・ゆうき)

骨とう品をあげる!
新さんは骨とう品を集めるのが趣味で、週末には友人たちと骨とう品の自慢をしています。せっかく集めた骨とう品を自分が死んだ後、捨てられたりすると悲しいと思い、「私が死んだら所有するすべての骨とう品を田中さんに譲る。もし田中さんが要らないと言えば山本さんに譲る」と言う内容の遺言書を書きました。そのことを家族に言うと「そんな遺言書はおかしい」と言います。この遺言書は有効なのでしょうか?
骨とう品をあげる!

【弁護士の見解】 有効だと考える
遺言書で財産を無償、つまりタダであげるということを「遺贈(いぞう)」と言う。
今回のように遺産のうち骨董品だけをあげるというような、遺言者が遺産の中から特定の財産を譲るということを「特定遺贈(とくていいぞう)」と言う。この特定遺贈の場合、遺贈を受ける人がそれをほしくない場合、遺言者の死亡後はいつでもその遺贈を放棄することができると民法に定められている。これは遺贈による利益であっても、もらう人の意思を無視してまで強制することはできないからである。そして、今回のように最初に遺贈を受ける田中さんが欲しくないと放棄をすれば、次の山本さんにあげるという遺言を「補充遺言(ほじゅうゆいごん)」と言う。この補充遺言は、最初の田中さんへの遺贈と、次の山本さんへの遺贈の2つが結合したもので、最初の田中さんが放棄をすることを条件とするものである。遺言にはこのような条件をつけることもできるので、この遺言書は有効であると考える。

澤弁護士の“澤の一声” 『補充遺言も有効』

今回のように、最初の田中さんが欲しくなければ、次の山本さんにあげるという条件のついた遺言も有効です。覚えておいてください 。

領収書があれば弁償?(宮川大助・花子)

領収書があれば弁償?

松本さんはカフェを経営しています。ある日、常連客の竹下さんが友人の梅沢さんを連れてやってきました。ところが店員がフォークを落とし、梅沢さんの白いスカートを汚してしまいました。松本さんが「弁償します。おいくらですか?」と尋ねると、3万円したと言うので、「領収書を持ってきていただければ弁償します」と言いました。後日、梅沢さんが5万円の金額が書かれた領収書を持ってきました。「3万円と言ったのに5万円は高すぎる!」と言うと、「領収書があれば弁償すると言ったじゃない」と言われました。5万円全額を弁償しなければならないのでしょうか?

領収書があれば弁償?
【弁護士の見解】5万円全額を払わなくてもよい
今回の場合、店員さんの不注意で梅沢さんのスカートを汚したのだから、店員さんの行為は不法行為にあたる。したがって、店長は梅沢さんに損害賠償をしなければならない。
通常、クリーニング代を弁償すれば足りるところ、店長は、常連の竹下さんの顔をたてて「領収書があれば弁償する」と梅沢さんとの間で示談の契約をした。今回のケースでは、店長は領収書があれば3万円を上限に弁償しようと思っていたところ、梅沢さんは同じようなスカートなら領収書があれば3万円を超えて弁償してもらえると思っていた。このように双方の思っていることに食い違いがある場合、一般的かつ合理的に考え、どのような内容の契約となるかが決まる。
今回の場合、領収書があればいくらでも弁償するという内容であるとは常識的には考えられず、弁償の上限は3万円であると考えるのが一般的かつ合理的である。従って5万円全額を弁償する必要はないということになる。


<関連質問>
もしこの女性が1万円のスカートを買ってきて差額の2万円を現金で欲しいと言った場合、差額の2万円を払うのですか?

渡さなくても良い。3万円の限度で実際に払った金額を領収書があれば払うという内容の示談なので、実際に1万円しか払っていないのであれば1万円しか弁償してもらえないと考える。

澤弁護士の“澤の一声” 『契約の内容は一般的かつ合理的に考えましょう』
今回の場合、契約の内容は3万円を限度に領収書があれば弁償する内容であると考えるのが一般的かつ合理的です。利己的な考えにならないように気をつけましょう 。
 

【ゲスト】野々すみ花
【出演者】笑福亭仁鶴、辻本茂雄、山田花子、宮川大助・花子、若井りき・ゆうき、澤登(弁護士)

※過去12回分を掲載しています。
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