8月27日(土)
 
ドアノブにかけておいた本(シンデレラエキスプレス)

ドアノブにかけておいた本
健太さんは同じマンションに住む友人の高橋さんから、たびたびマンガの本を借りています。本の数が多い時は、紙袋に入れて高橋さんの部屋のドアノブに掛けて返すというのが2人の間での暗黙の了解でした。ところが10日ほど前、健太さんはいつも通り、借りたマンガをドアノブに掛けて返しておいたのに、高橋さんから「そろそろ貸したマンガを返してくれないか」と言われました。ドアノブにかけておいたと言うと、「掛かっていなかった。あのマンガはお気に入りだったので弁償してほしい」と言います。弁償しなければならないのでしょうか?
ドアノブにかけておいた本

【弁護士の見解】弁償しなくてもよい
健太君と高橋君の関係は、使用貸借契約という関係にある。使用貸借契約では、借りた物を返せなくなった場合は、債務不履行責任に基づいて弁償する義務が発生する。
今回のケースでは、健太君が漫画が入った紙袋をドアノブにかけておいただけで、返還したと言えるかが問題となる。通常、物を返還したと言えるためには、物の持ち主の支配下におさめる必要があり、ドアノブにかけておくだけでは誰かに持ち去られる危険性がある以上、普通は持ち主の支配下にはないと考えられる。したがって通常は返したことにはならない。
しかし、今回の場合、健太君は5年も前からドアノブにかけるということだけで、返還していたということで、高橋君も一切異議を述べなかったということから考えると、高橋君は黙っていても、返還方法として「ドアノブにかけてもいいですよ」と、そういう「黙示の承諾」をしたと評価できる。したがって、健太君は高橋君が承諾していた返還方法に従って漫画を返したわけなので、その後、盗難にあったとしても、責任は負わないと考える。

伊藤弁護士の“納得のひとこと”『何も言わずとも承諾したことになる可能性有り』

口に出さなくてもお互いが暗黙の了解、黙示的な承諾をしてしまうと、その約束事は有効になってしまいます。しかし今回の場合、やむを得ずドアノブにかけるとしても、健太君は高橋君に電話で一言ぐらい伝言してもよかったかなと思いますね。

 

外国語で書かれた遺言書(オール阪神・巨人)

外国語で書かれた遺言書
山田さんは10年間、仕事でブラジルに住んでいたことがあり、帰国後は喫茶店を営んでいました。ところが、その山田さんが先月亡くなりました。家族は妻と、同居する娘、そして独立して東京に住む息子です。先日、遺品を整理していると遺言書が見つかりました。しかし、家族はビックリ!何と自筆ですが、ポルトガル語で書かれていました。日付もあり、押印されていて、署名はローマ字で書いてあります。遺言書の内容を見て、自分の取り分が少ない息子は「ポルトガル語で書かれた遺言書は認められない。無効だ。」と言います。この遺言書は有効なのでしょうか?
外国語で書かれた遺言書

【弁護士の見解】有効である
今回のように自筆で書かれた遺言を「自筆証書遺言」と言う。有効な自筆証書遺言を作るには、自筆ですべての文と日付を書いて、署名捺印が必要であり、このルールを守らないと自筆証書遺言は無効になってしまう。しかし、用いる言語については法律上、何も制限がないのでポルトガル語で書いてあってもかまわない。したがって、今回の遺言がポルトガル語で書かれていても自筆証書遺言のルールが守られている以上、有効な遺言書となる。
ただ、いくら遺言が有効でも、遺留分と言って相続人には最低限、保障しないといけない割合があるので、今回の遺言の内容が遺留分を下回るようであれば、その差額を長男は請求できるということになる。

伊藤先生の“納得のひとこと”『外国語で書かれた自筆証書遺言も有効』

ただ、せっかく作った遺言が無効になってしまっては元も子もありません。全文と日付を自筆で書いて、署名捺印をする、この自筆証書遺言のルールに関しては、細心の注意を行ってください。
 

【ゲスト】芦屋小雁
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、海原やすよ、オール阪神・巨人、シンデレラエキスプレス、伊藤芳晃(弁護士)


8月6日(土)
 
プレゼントが水の泡!(チキチキジョニー)

プレゼントが水の泡!
石原さんはお母さんへのプレゼントに5000円の高級石けんを買いました。店から直接送ってもらい、お母さんからは「使ってよかった」とメールももらいました。しかし、翌日、店から「間違えて2万円のものを送ったので送り返してほしい」と言われました。使ってしまったことを告げると、差額の15000円を払ってほしいと言われましたが、払わなければならないのでしょうか?
プレゼントが水の泡!

【弁護士の見解】 払わなければならないが減額される
石原さんとお店との間では、5000円の石けんの売買契約が成立している。なお、石原さんの母親は石原さんが買った石けんをプレゼントされた立場ですからこの契約には関係はない。
現実に送られてきた石鹸は2万円の品物なので、この2万円の石鹸については、そもそも売買契約は成立していないということになる。すると石原さんは売買によらずに2万円の石鹸を取得していることになり、法的には、売買など法律上の原因がないのに差額1万5千円の利得をしていると評価される。その利得はやはり公平の原則からお店に返さなければならないと考える。すると、送られてきた石鹸は返して、当初の契約どおり5000円の石鹸を送ってもらうということになるが、既にこの2万円の石けんというのは使っていて、現物の返還というのはちょっと難しい状況となっている。
その場合、石原さんには落ち度はないので、店から返還請求を受けた場合には、民法は、現に利益が存在する限度で石鹸に代わる価格を返せばよいとしている。では、いくら返すべきかということになるが、この点については実は、その考え方が分かれている。2万円の出費を免れたと考えれば、5千円との差額の1万5千円を返さなければならないということになるが、今回は、店側に全面的なミスがあったということで、実質的な公平という観点から考えると、差額全額ではなくて、さらに減額されると考える。

林弁護士の“ちょっと一言” 「契約の確認は当事者の責任!」

契約に行き違いや誤解が生じないよう慎重な確認が重要です。しかし、行き違いが生じてしまった場合には、まずは話し合いによって解決を図るべきです。実際には、今回のような場合、公平を図る観点から、ミスがあった店側が、いろいろ配慮してくれるケースが多いようですね。

 

2世帯住宅を財産分与?(中田カウス・ボタン)

2世帯住宅を財産分与?
Aさん夫婦は8年前に、娘夫婦に100万円を負担してもらい、自宅を2世帯住宅に建てかえて同居していました。5年前に建物の名義をAさんから、専業主婦の娘に変更したのですが、最近、娘夫婦は離婚することになりました。夫は「5年間住んでいたし、今は名義も変わっているのだから、共有財産として財産分与してほしい」と娘に言います。Aさんは自分が建てて娘に贈与した家なので納得できません。財産分与をしなければいけないのでしょうか?
2世帯住宅を財産分与?

【弁護士の見解】分与しなければならないが、分与の割合は小さくなると考える。
財産分与とは、基本的に夫婦が婚姻中に協力して得た財産は、その名義に関わらず原則として夫婦の共有と推定され、離婚の際にその清算を図る制度である。その割合は、原則的に2分の1ずつと考えられている。従って、婚姻前から持っていた財産とか、あるいは婚姻中であっても相続や贈与によって取得した財産は、他方の協力なく得た財産ゆえに、それぞれの特有財産であって財産分与の対象にはならない。
しかし、そのような特有財産であっても、例外的に他方の協力によって、その価値の維持や保全が図られたというような事情があれば、財産の維持に貢献したということで財産分与の対象になることもある。今回、娘さんは、Aさんから建物を贈与されたわけなので、これは娘さんの夫婦が協力して得た共有財産ではなく、娘さんの特有財産になって財産分与の対象にならないと思われる。
しかし、建物を改装する際には、娘さんの夫も費用の一部を負担していて、娘さんが贈与を受けた以後も、固定資産税の負担も含めて建物の維持保全に夫も協力していたと思われる。 もちろん、娘さんの夫の協力の度合いというのは全体から見れば小さなものだと思われるので、共有財産と評価するにしても、その割合は2分の1よりも相当小さくなると考えられる。したがって、結論とすれば。やはり財産分与の対象にはなるが、夫に分与すべき割合は極めて小さくてもいいだろうと考える。

林弁護士の“ちょっと一言”『特有財産も例外あり!』

特有財産の価値の維持や増加に他方の貢献や協力が認められると、そのような場合には、離婚の際に財産分与の対象になることがありますので知っておいてください。
 

【ゲスト】幸田浩子
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、辻本茂雄、若井みどり、中田カウス・ボタン、チキチキジョニー、林一弘(弁護士)


7月30日(土)
 
壊したスマートフォン(スーパーマラドーナ)

壊したスマートフォン

涼子さんは友人と夜行バスで旅行に行きました。途中、休憩場所でバスを降りようと涼子さんが立ちあがったときに何かを踏みつけました。よく見るとスマートフォンで、壊れてしまっています。すると、バスの前方にいた男性が「それは僕のスマホだ。寝ていて落としたのが、あなたの席まで滑って行ったようなので弁償してほしい」と言います。バスの中は暗かったので、まさか男性がスマホを探していたとは知りませんでした。涼子さんは弁償しなければならないのでしょうか?

壊したスマートフォン

【弁護士の見解】弁償しなくても良い
今回の涼子さんが責任を負う場合と言うのは、民法709条に基づく不法行為責任が成立する場合である。不法行為責任が成立するためには、涼子さんがスマートフォンを踏んで壊したことに関して、法律上の「過失」があることが必要である。日常用語での「過失」と言うのは、単に不注意だが、法律上の「過失」というのは、損害の発生が予見できたのに、その損害の発生を回避しなかった、そういう場合を言う。今回の涼子さんの場合、席も離れていたようで男性が落とし物を探していることに気づかないのも無理はないと思われる。しかも、バスの座席の足元というのは、非常にわかりにくいので、そのような足元について常に注意を払わないといけない、というのはあまりにも酷だと考えられる。すると、床にスマートフォンが落ちていることの予見可能性はなく、涼子さんには法律上の「過失」はないと言うことになり、したがって、涼子さんには不法行為責任は成立せず弁償する必要はないと考える。

伊藤弁護士の“納得の一言” 「過失には予見可能性が必要」

一部例外もあるんですが、法律というのは予見不可能な結果に対してまで責任を負わせるものではありません。予見可能性というのが不法行為責任での重要な要素の1つとなります。

海外研修直後に結婚?(オール阪神・巨人)

海外研修直後に結婚?

澤田さんは、将来は海外のメーカーと仕事がしたいと考え、社員のゆかりさんを1年間、スペインに研修に行かせました。その際「帰国後、3年間は会社を辞めない」約束としました。1年後、研修を終え、帰国したゆかりさんが、突然「知り合ったデザイナーと結婚してスペインに住みたいので、会社を辞めさせてほしい」と言います。沢田さんが「3年間は会社を辞めないと約束をした。辞めるなら研修にかかった費用を払ってくれ」と言うと「約束を破るのは悪いと思うが結婚なので認めてほしい」と言います。海外研修の費用を返してもらえるのでしょうか?

海外研修直後に結婚?

【弁護士の見解】研修費用は返してもらえません。
今回の社長さんは、「帰国後3年間は会社を辞めない」という約束の違反を根拠に、ゆかりさんに研修費の返還を求めている。しかし、従業員は民法の規定により2週間前に申し出れば、いつでも会社を辞めることができる。したがって、今回の約束は、この民法の規程に違反する可能性が高いと思われる。
しかも、今回の約束では会社を辞めることは禁止していても、辞めた場合にお金を返すかどうかと言うところまでは約束していなかったので、いずれにしろ、今回の場合に研修費用の返還を求めることはできない。


<関連質問>
会社はお金を出していて、すぐ辞められたら困ると思うのですが、何か対処する方法はないのですか。

まず、約束の仕方、これも大切で、退職自体を禁止するのではなくて、研修費用を従業員に貸し付けて、その貸し付けの返還を一定期間勤務すれば免除する、そのような約束の仕方にする方がいいと考える。
さらに、労働基準法の関係には注意が必要である。労働基準法では従業員の契約違反について違約金を定めることを禁止しているので、費用の返還が違約金と評価されないようにしておく必要がある。そのためには今回のように業務命令で研修で行かせるのではなく、あくまで従業員から応募してきた研修として、かつ研修のテーマも、従業員が自由に選択できるようにしておく必要がある。また、研修内容が直接業務に関係するものだと、違約金と評価される可能性が高くなるので、そこも注意が必要である。例えば、語学学校というのは、広い意味での人材育成的なものなので、このようなものの費用の返還であれば違約金とはならずに会社は返してもらえる可能性は高いと考えられる。

伊藤弁護士の“納得の一言” 『会社が研修費用を負担するときは注意しましょう』
今回のような研修費用の返還については、従業員との約束の仕方や対象となる研修の内容によっては、費用を返してもらえない時があります。事前に弁護士によく相談してください。
 

【ゲスト】藤あや子
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、海原やすよ、オール阪神・巨人、スーパーマラドーナ、伊藤芳晃(弁護士)


7月23日(土)
 
眺めの良い部屋(和牛)

眺めの良い部屋

川西さんの叔父さんは美しい景色が気に入って、庭付きの一軒家を買いました。隣の木下さんの家の庭との間には塀はなく、毎朝、縁側から美しい景色を眺めていました。ところが、ある日、隣の木下さんから「娘が目線が気になると言っている。境界線上に180センチの簡単な塀を建てるので、費用の半分を払ってほしい」と言われました。払わなければならないのでしょうか?

眺めの良い部屋

【弁護士の見解】支払うことになる可能性が高い
民法は、所有者を異にする2つの建物の間に空地がある場合には、一方の所有者は、他方の所有者と共同の費用でその境界の上に塀などの囲障を設置することができると定めている。これは、プライバシーの保護とか安全対策のための調整規定と言える。もちろん、木下さんが境界の上ではなく自分の所有地内に塀を建てるというのは原則自由だが、境界上に設置するには、叔父さんの承諾が必要になる。叔父さんの承諾が得られない場合には勝手に設置することはできない。その場合には、木下さんは叔父さんに、境界の上に塀の設置を認めるように裁判を起こすことができる。そして、裁判所は民法の規定に従って、叔父さんと木下さんの平等の費用負担で、板塀とか竹垣その他これらに類する、いわば安価な材料で2メートルの塀を設置するように命ずる判決をすることになる。ただし、民法の規定と異なるような習わし、いわゆる慣習があれば、その慣習に従った判決をすることになる。
したがって、木下さんが境界の上にあくまで塀を設置するということを求める限りは半分は費用を負担しなければならいということになる。

林弁護士の“ちょっと一言” 「近隣関係は感情がこじれない配慮が大切!」

良好な関係を保つためには、可能な限り裁判沙汰は避けて、お互いに相手の立場に立って話をし、誤解があれば誤解を解いて相手の意見の理解に努めて、交渉による解決を目指してください。

ダンスの先生が海外に!?(中田カウス・ボタン)

ダンスの先生が海外に!?

娘にダンスを習わせたいと思っていた岡本さんは、有名ダンサーが教えると言う教室を見つけました。問い合わせると「しばらく講師としてお願いしている」と言うので、衣装代や小道具代込みの入会金3万円と半年の受講料6万円を払い入学させました。しかし、授業を受け始めて1か月後、その有名ダンサーは海外に行くことになり、講師が変わりました。納得がいかない岡本さんは入学金を返してほしいと言いましたが、「案内書にも入学金は返せないと書いてある」と言われました。入学金は返してもらえるでしょうか?

ダンスの先生が海外に!?

【弁護士の見解】返してもらうことはできない。
ダンス教室の入会契約は、主催者が生徒に施設などを利用させてダンスを指導する代わりに、生徒はその対価を支払うという契約である。今回、主催者は、有名ダンサーが指導を全期間行うというような約束はしておらず、「しばらくの間」という説明で、そして現に1か月間はこのダンサーによる指導がなされたので、主催者側に契約違反の責任を問うことはできないと考える。教室をやめるか否かは、原則的に生徒の意思が尊重され、生徒はいつでも将来に向かって契約を解除できる。今回、契約解除にあたって、残りの授業料は返すけれど入会金は返しませんという約束だったということであり、判例は、入会金は生徒として受講できる地位を取得する対価や、あるいは入会手続、その事務費用が含まれるとの考え方であり、今回のケースでは、入会金には必要品の購入費も含まれている。そして、岡本さんの子どもは、実際に生徒として1か月間受講し、入会金には練習衣装等の購入費も含まれていたわけなので、この入会金は十分その目的を達しており返還してもらえないと考える。

林弁護士の“ちょっと一言” 『入学する際は入学条件の把握をしっかりと』

判例の考え方を基本にしますと、実際に、契約解除の際の入会金の不返還の合意があれば、原則的に返還請求はできません。しかし、他の同様の教室に比べて、合理的な理由がないのにもかかわらず非常に高い入会金を取っているような場合であれば、消費者契約法違反、あるいは暴利行為を理由に、不返還の合意は無効であるとして返還を請求できる場合があります。このあたりの見極めは大切ですね。
 

【ゲスト】遼河はるひ
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、辻本茂雄、若井みどり、中田カウス・ボタン、和牛、林一弘(弁護士)


7月16日(土)
 
離婚するって決めたけど…(ザ・ぼんち)

離婚するって決めたけど・・・

康太さんは結婚して10年になります。2年前に妻と話し合いの末、離婚することにしました。そこで「娘が小学校を卒業したら離婚する」という合意書を作りました。その娘が卒業しましたが、康太さんは気が変わり「離婚したくない」と妻に言うと、「合意書がある。約束通り離婚して!」と言われました。合意書通り、離婚しなければならないのでしょうか?

離婚するって決めたけど・・・

【弁護士の見解】離婚しなくてもよい
協議離婚は、離婚届を提出する時に夫婦双方に離婚の意思がないと離婚が成立することはない。したがって今回の場合、康太さんと奥さんが、娘さんの卒業する時に離婚をしようという合意書を作ったが、娘さんの卒業後に康太さんは離婚の意思がなくなったのでだから、この合意書は有効ではない。康太さんが離婚に反対したら、奥さんはこの合意をもとに離婚を実現することはできない。
康太さんの奥さんが離婚したいのであれば、改めて康太さんと話し合いをしなければならない。そして話し合いがつかなければ、離婚の調停の申し立てをしなければならないということになる。

澤弁護士の“澤の一声” 『将来の離婚の合意は無効です』

人の心はうつろいやすいものです。いくら将来、離婚しようと約束していても、このような将来の離婚の合意は無効になります。気をつけて下さい。

引き落とされなかった駐車場代(宮川大助・花子)

引き落とされなかった駐車場代

中島さんは結婚して賃貸マンションに引っ越すことになりました。しかし、夫婦ともに忙しくて準備に時間がかかり、引っ越したのは6か月後でした。中島さんは契約後、家賃と駐車場代が引き落とされる口座にきちんと入金していましたが、先日、マンションのオーナーが来て、「実は手違いで6か月間、駐車場代を引き落としていなかった。一括で払ってほしい」と言います。駐車場代は1か月で18,000円、半年で108,000円になります。「お金もないし、そちらのミスだから払わない」と言うと「通帳記入して確認しなかったあなたにも責任がある」と言われました。駐車場代を一括で払わなければならないのでしょうか?

引き落とされなかった駐車場代

【弁護士の見解】6か月分の駐車場代全額を一括で払わなければならない。
中島さんが、6か月分の駐車場代金を払っていなくても、銀行の引き落としに備えて預金口座にお金を入れていたのだから、債務不履行つまり契約違反にはならない。引き落としされなかったのはマンションのオーナーの責任であり中島さんの責任ではないからである。
中島さんが預金通帳を記帳していれば引き落としされていないということが分かったとしても、中島さんに通帳を記帳する義務というのはない。しかし、中島さんに債務不履行はないとしても、契約していた以上は、6か月分の駐車場代金全額を支払う義務は依然として中島さんにある。オーナーに引き落とし手続きのミスはあるが、だからと言って中島さんの支払義務が免除されるわけではない。
そして、中島さんとオーナーとの間に分割の合意がない以上、6か月分の駐車場代金は一括して支払わなければならないということになる。しかし、そもそもオーナーのミスで多額になったのだから、ここは2人で分割の交渉をするのが良いのではないかと思う。

澤弁護士の“澤の一声” 『特に約束がないかぎり債務は一括払いが原則です』

一括払いか分割払いかは事前に良く話し合うことが必要です。
 

【ゲスト】マギー審司
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、安田美沙子、宮川大助・花子、ザ・ぼんち、澤登(弁護士)


7月9日(土)
 
勝手に使ったブログの写真(酒井くにお・とおる)

勝手に使ったブログの写真

フリーライターをしている文子さんは旅行会社から記事を依頼されました。その時、友人の良美さんが「私のブログをみんなに広めて!」と言っていたのを思い出し、良美さんのブログに載っていた風景写真を良美さんに黙って使用しました。後日、文子さんは「私の写真を許可なく使うなんて著作権の侵害よ!使用料を払って!」と言われましたが、使用料を払わなければならないのでしょうか?

勝手に使ったブログの写真

【弁護士の見解】 払わなければならない
「著作権」の対象となるものを「著作物」と言う。写真もまた、著作物にあたる。原則、写真は撮影した人に著作権があり、単なる風景を撮影した平凡な写真でも著作権があることには変わりがない。また、ブログに公開されていても、公開されていたという事実だけで誰もが自由に使っていいということにはならない。
今回の場合、友人が「ブログを見てくれるようにみんなに広めて」と言ったようだが、これは写真の使用を許可したことにはならない。したがって、無断で友人の写真を使った文子さんは著作権の侵害となって損害賠償責任を負い、使用料を払わなければならないと考える。

澤弁護士の“澤の一声” 『写真は原則、著作物です』

ブログの単なる風景写真でも著作権の対象になりますので、無断で使用することはできません。気をつけてください。

ご祝儀も財産分与して!(宮川大助・花子)

ご祝儀も財産分与して!

会社員の矢部さんは大学を出たばかりの早苗さんと結婚しました。披露宴の出席者の8割は矢部さんの仕事関係で、あとは早苗さんの大学の友人でした。費用は全額矢部さんが払いましたが、集まったご祝儀は全部で150万円ありました。矢部さん側は120万円、早苗さん側は30万円で、将来に備えて矢部さんが自分の口座に全額貯金しました。ところが3か月後、2人は離婚することに! 早苗さんは「御祝儀も財産分与として、半分もらうわ」、矢部さんは、「ご祝儀のうち120万円は僕がもらったもの。君は自分がもらった分の30万円でいいだろう」と言ってもめています。財産分与としてご祝儀の半分を分けないといけないのでしょうか?

ご祝儀も財産分与して!

【弁護士の見解】 ご祝儀の半分の75万円は分けなければならない。
今回の結婚のお祝いとしてもらったご祝儀が、新郎側が120万円、新婦側が30万円だったとしても、ご祝儀は、原則として夫婦2人にもらったものと考える。従って150万円全額が夫婦の共有財産になる。
今回のように披露宴の受付が新郎側、新婦側と分かれていても結論にかわりはない。お祝いを贈る人は、夫婦2人に対してお祝いを贈るというのが一般的な考えだからである。
また今回、披露宴の費用を矢部さん1人で出したと言うことだが、披露宴の費用はその時に合意して決めたもので、ご祝儀の財産分与とは関係がない。
したがって、ご祝儀の150万円は夫婦がもらったお金であり、財産分与の対象となるので、矢部さんは半分の75万円を渡さなければならないと考える。

澤弁護士の“澤の一声” 『ご祝儀も財産分与の対象です』

披露宴の費用を一方だけが出していても、また、披露宴の受付が新郎側と新婦側に別々になっていても、ご祝儀は夫婦がもらったものであり財産分与の対象となります。覚えておいてください。
 

【ゲスト】ISSA
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、河島あみる、宮川大助・花子、酒井くにお・とおる、澤登(弁護士)


7月2日(土)
 
変換ミスで勘違い(ギャロップ)

変換ミスで勘違い
マリコさんは、友人3人と英会話教室に入会し、4回分の授業料を前払いしました。教室の予約や友人への連絡を任されることになり、前日に「明日英会話へ行こうね」とメールを送りましたが、カナさんだけが来ませんでした。カナさんは「『明日英会話閉校ね』って書いてあったから休みだと思った」と言います。変換ミスだったことを告げると、「1回分損したじゃないの。授業料を払って」と言われましたが、他の2人は間違いに気づいて英会話教室に来ています。それでも授業料を払わなければいけないのでしょうか?
変換ミスで勘違い

【弁護士の見解】 一部は支払わなければならない
マリコさんは英会話教室の受講の予約と友人への連絡を任されており、法的には、友人から「委任」を受けたことになる。ところが、誤った連絡によってカナさんが「英会話教室が休み」と勘違いしてしまって受講することができなかったので、これにより発生した損害をマリコさんが賠償しなければならないかが問題となる。
委任を受けた以上は、マリコさんは正しく連絡すべきであり、やはり責任は免れないのではないかと考える。ただし、他の友人はミスに気づいており、簡単に確認することもできたわけなので、それをしなかったカナさんにも一定の過失は認められるのではないかと思われる。したがって、マリコさんには損害を賠償する責任は認められるが、カナさんに認められる過失と、過失相殺されて、全額を支払う必要はないと考える。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『ちょっとしたミスが一大事に!』

最近は面と向かってのやりとりだけではなく、パソコンや携帯電話を通じて、文字だけでコミュニケーションをとることが当たり前になりました。些細な間違いが大きな損害を生むこともありますので、より慎重な対応が求められます 。

破られていた遺言書(オール阪神・巨人)

破られていた遺言書

山田さんが亡くなりました。相続人は息子の繁夫さんと妹の明恵さんです。父親の家を整理していると、封の開いた封筒が見つかりました。中を開けると、ビリビリに破られた紙が入っています。貼り合わせてみると、見慣れた父親の筆跡で書かれた遺言書で、ちゃんと読むことができます。妹に有利な内容だったので繁夫さんが「破られている以上、タダの紙切れだ」と言うと、妹の明恵さんは「ちゃんと日付とサインと印鑑もある。父さんの遺言書よ」と言い張ります。遺言書として有効なのでしょうか?

破られていた遺言書

【弁護士の見解】 無効
民法には、「遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす」という定めがある。遺言書という重要な書類を故意に破棄したときには、遺言を撤回する意思があると推測できると考えられているためである。本件の状況から考えると、破られた遺言書が捨てられずに残っていて、それを復元することもできるようである。ところが、破片のままで入っていて、つなぎ合わされたわけでもないことから考えると、お父さんが撤回するつもりではなかったと捉えるに足る事情はないと認められるので、今回のケースでは、遺言書は無効と考える。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『撤回するのも明確に』

遺言はその人の最後の意思として、最大限尊重されます。逆に言うと、遺言があるかないかで大きな違いが生まれます。撤回するかどうかも明確にすべきですね。
 

【ゲスト】北山たけし
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、辻本茂雄、三倉茉奈、オール阪神・巨人、ギャロップ、小島幸保(弁護士)


6月25日(土)
 
ネコのつくった財産は?(テンダラー)

ネコのつくった財産は?

長野さん夫婦は5年前に結婚しました。夫の一郎さんが飼っていたネコを専業主婦の花さんが世話をするようになりました。花さんが写真や動画をネットに投稿しているうちに「かわいい」と評判になり、広告に使われたり、イベントに呼ばれたりして、かなりの収入につながりました。ところが二人は離婚することになりました。慰謝料はなしにしましたが、花さんは、「ネコが稼いでくれた財産は私のもの。私がブログなどにアップしたからよ」と言い、一郎さんは「もともと自分が飼っていたんだから半分ずつに分けるべきだ」と言って二人とも譲りません。ネコが稼いだ財産は、半分ずつに分けるのでしょうか?

ネコのつくった財産は?

【弁護士の見解】 2人で分ける
結婚期間中に夫婦が築いた財産は夫婦の共有財産であり、財産分与と言うのは、夫婦関係の解消とともに、財産面でも2人の関係を解消しようとするものである。
そうすると今回の相談の結論を分けるのは、ネコで稼いだお金が夫婦の共有財産となるかという点だが、これに関しては、ネコで稼いだお金も夫婦共有と考えるべきである。確かに、ネコの世話とか、ブログにあげたということについては、奥さんの花さんの手間ひまがかかっているが、それだからといって、そのネコの稼ぎがすべて、花さんのものになるわけではありません。この点は、例えば、夫の給料とか妻が働いたパート代が、夫婦共有財産となることと同様である。
また、ネコ自体はもともと夫が結婚前から飼っていたものなので、それがたまたま世話をしているからといって、妻の所有になるわけではなく、夫の所有物から生まれた利益について夫の権利がないというのはおかしいと考える。
したがって、ネコが稼いだお金は、夫婦共有財産となり財産分与すべきであり、その割合は基本的には2分の1と考える。

伊藤弁護士の“納得の一言” 『夫婦が稼いだ稼ぎは夫婦共有』

夫の給料が夫婦共有になるということですから、当然妻が働いて得たものも夫婦共有です 。

空き地を使ったおしゃれなカフェ(中田カウス・ボタン)

空き地を使ったおしゃれなカフェ

梅津さんは10年前に隣の松下さんから「管理料を払うので、うちの空き地に雑草を生えないようにしてくれないか」と頼まれました。梅津さんは「お金はいらないから趣味の草花を植えさせてほしい」と言い、松下さんも了解しました。梅津さんはイングリッシュガーデンを造り、土日にカフェも始めて、近所でも有名なスポットになりました。ところが松下さんが「うちの空き地でお金をもうけるなら、今後使用料を払ってください。嫌なら元の空き地に戻してください」と言います。今後、使用料を払わなければならないのでしょうか?

空き地を使ったおしゃれなカフェ

【弁護士の見解】 今後は使用料を払う必要がある
梅津さんと地主の松下さんの2人は、土地を無償で使用できる「使用貸借契約」の関係にある。厳密には、梅津さんは土地の管理をしないといけないという点で、一種の負担付の使用貸借といえる。使用貸借の場合は、借主は目的物を使用して、そこから収益を得ることができる「使用収益権」があるが、この「使用収益権」は、事前に使用方法とか目的を定めていれば、それに従わないといけない。
今回の場合、あくまで、草花を植えるために土地を使ってもいいよ、ということだったので、土地の使用方法とか目的は、あくまで草花を育てるという範囲に限られる。そうすると、例え土日だけであっても、カフェの営業というのは、使用方法・目的に関する契約違反になってしまう。したがって、地主の松下さんは、契約違反を理由に、梅津さんとの使用貸借契約を解除できるので、今後も梅津さんがカフェとかで使用したいのであれば、地主さんのおっしゃる使用料を払う契約、すなわち賃貸借契約を結ばないといけないということになる。もし、それが無理なら、植えた草花は撤去して明け渡すということになってしまう。

伊藤弁護士の“納得の一声” 『“使用貸借”の使用方法・目的には限界あり』

使用貸借契約では借主に、目的物を使用して収益する権利があるんですが、その使用方法や目的というのは、契約で定められていたり、目的物の性質に応じて限界がありますので、注意してください。
 

【ゲスト】相田翔子
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、桂吉弥、三倉茉奈、中田カウス・ボタン、テンダラー、伊藤芳晃(弁護士)


6月18日(土)
 
配達を間違った弁当(海原はるか・かなた)

配達を間違った弁当

同窓会の幹事を引き受けた佐藤さんは、地元で有名な弁当屋さんに「特上」の弁当を注文しました。ところが、出席者から「これ、特上じゃないわ。弁当代ごまかしてるでしょ」と言われました。間違って「上」の弁当を届けた弁当屋さんは「差額をお返しします」と言いますが、同窓会で恥をかかされた佐藤さんは納得できません。代金を全額返してもらえるでしょうか?

配達を間違った弁当

【弁護士の見解】 全額を返してもらうことはできない
本件では、出前の注文をお店が承諾した時点で売買契約が成立する。お店は指定されたお弁当を作って、引き渡す義務を負う。これに対して注文した佐藤さんは、代金を支払う義務を負うということになる。
しかし、お店は「特上」ではなく、「上」のお弁当を配達してしまった。ただ、すでに食べてしまっているので、このような場合でも、債務不履行を理由に契約を解除して全額を返済してもらえるかというのが問題となる。
本来、契約を解除できる人が過失によって目的物を返還することができなくなったときは、解除はできないとされている。本件でも、気づかずに食べてしまった後ですので、もはや契約の解除は難しく、全額を返してもらうことはできない。但し、少なくとも「特上」の代金との差額は返してもらえると考える。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『内容確認をしっかりと!』

頼んだ中身が分からないと、間違いを指摘することもできません。つまり、頼む方としても、正しい内容、あるべき姿をしっかりと把握しておくことが必要ということですね 。

成年後見人をかえたい!(オール阪神・巨人)

成年後見人をかえたい!

田辺さんは認知症である母親の成年後見人を申し立てることにしました。母親の妹で小さな会社を経営している夏美さんが引き受けてくれることになり、家庭裁判所も夏美さんを成年後見人として選任しました。1年ほどして夏美さんの会社の業績が悪化し、「うちの経営がたいへんなのに姉さんのことにかまっていられない」と言い出しました。この先も任せるのが不安なので、田辺さんが「後見人をやめてほしい」とお願いすると、「できるならやめたいけど裁判所が決めたことだし、一度引き受けた以上、無理なんじゃない?」と言います。やめてもらうことができるのでしょうか?

成年後見人をかえたい!

【弁護士の見解】 やめてもらうことも考えられる
「成年後見人」は、本人の財産管理能力が不十分な場合に、家庭裁判所によって選任される人を言い、本人の財産を適切に管理して、契約などを代理したりして、本人の利益を守る役割を担う。一度成年後見人になると、病気や高齢、あるいは、遠い場所への転居など、後見の仕事を行うことが現実的に困難になった時などに、裁判所が正当と認めた場合にしかやめることはできない。ただ、不正行為があったり、著しく品行が悪い場合などには、裁判所がその職権で解任をすることもある。
本件では、叔母の夏美さんに不正行為があるわけではない。しかし、後見人の仕事について面倒に思っていることは事実のようである。また、選ばれた当時と経済的な状況も違っている。田辺さんが、それらの様子をみて、もう円滑な後見人の業務が期待できそうにないなと思うのであれば、夏美さんを解任してほしいということで裁判所に申し立てをして、裁判所に判断をしてもらうことができると考える。
また、夏美さん自身が後見人をやめることについて納得するのであれば、辞任ということが認められる可能性が高いようにも思う。つまり、本件では、夏美さん自らが辞任するための手続きをとるか、あるいは田辺さんが夏美さんの解任を申し立てるということが考えられる。

小島弁護士の“一刀両断”ポイント 『引き受けたら責任を持って』

成年後見人には本人のために財産を管理する重要な任務があります。引き受けるとなれば、それなりの覚悟を持つ必要がありますね。
 

【ゲスト】秋野暢子
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、辻本茂雄、三倉茉奈、オール阪神・巨人、海原はるか・かなた、小島幸保(弁護士)


6月11日(土)
 
2か月滞納すれば退去?(大木こだま・ひびき)

2か月滞納すれば退去?

田中さんは学生向けの賃貸マンションを経営しています。家賃は6万円ですが、内装もきれいで駅にも近く人気があります。ところが、毎年夏くらいになると家賃を滞納する学生が出てきた困っています。いっそのこと「家賃を2か月滞納すれば、すぐに退去してもらいます」と言う契約にしようかと考えていますが、奥さんは「そんなの法律的に無効じゃないの」と言います。このような条項を契約に入れれば、すぐに退去してもらうことができるのでしょうか?

2か月滞納すれば退去?

【弁護士の見解】 2か月の滞納だけで退去させることはできない
本来、当事者が決めたことは契約自由の原則から、有効になるはずだが、賃貸借契約においては、「信頼関係の法理」というのがあり、家主から一方的に簡単には契約を終了させられないような仕組みになっている。
この「信頼関係の法理」というのは、ちょっとしたことで契約が終了してしまうと、賃借人の生活基盤が脅かされてしまうので、家主との信頼関係、これが破壊された場合に限って、家主は契約を解除できるという法理である。すなわち、賃料不払いなどの契約違反があっても、それが、家主との信頼関係を破壊しない程度の些細なものであれば、家主は契約解除できないということになる。したがって、今回のケースでも、仮に「2か月滞納すると退去してもらいます」という契約条項があっても、家主が契約を解除するには、賃料2か月の滞納だけでなく、プラスアルファとして何か信頼関係を破壊するような事情がないといけないということになる。従って、今回のような条項をつくっても、賃借人が2か月滞納しただけでは、退去してもらえるわけではない。
 
<関連質問>
信頼関係を破壊するプラスアルファの事情には、どんなものがあげられますか?

例えば、賃借人が騒音を出して、周りの人に隣人に迷惑をかけているというのも一つの事情であり、賃料不払いについても、単に2か月ではなくて、もっと長い期間、半年とかそれぐらいの期間滞納しているのであれば、信頼関係が破壊されているといえる。
 
伊藤弁護士の“納得の一言” 『賃貸借は家主との信頼関係が大事』
契約解除を制限する根拠として「信頼関係の法理」を説明しましたが、逆に、信頼関係の破壊がひどい場合には、それだけで、契約違反がなくても、契約解除ができる場合があります。家の貸し借りにおいては、信頼関係だけは大切にしてほしいですね 。

サプライズの結末!(中田カウス・ボタン)

サプライズの結末!

ジュンさんは29歳で、会社の同僚の健太さんと付き合って3年になります。「将来、結婚したい」と思っていますが、お互いの両親に紹介もなく、同居もしていません。それを聞いた友達のあけみさんが内緒でサプライズパーティーを企画しました。宴もたけなわとなった時、突然くす玉が割れ、「健太君、ジュンさんおめでとう」という垂れ幕が。健太さんは「僕たちはいつかきっと結婚します」と宣言。みんなで記念撮影もしました。ところが3か月後、健太さんのちょっとした浮気がきっかけで別れることに。ジュンさんは「慰謝料を払って」と言うと、健太さんは「あれは正式な婚約ではない」と言います。ジュンさんは慰謝料をもらえるのでしょうか?
 

サプライズの結末!
【弁護士の見解】 慰謝料はもらえない
 今回問題となっている婚約については、民法に規定があるわけではないが、2人が結婚する約束さえすれば成立するものである。問題は、どれだけ結婚する意思が明確になっているかという点である。例えば、婚約指輪の交換とか結納、こういう儀式的なことは決して婚約に必須ではないが、そういうことがあれば、結婚の意思が明確に外形的に表示されているので、婚約が認められやすく、また、婚約者として親とか親せきに紹介するということも、婚約が認められやすい事情である。
ところが、今回の場合、健太君の「いつかきっと結婚します」という言い方自体は、結婚する意思というより、結婚したいなという希望的なニュアンスがあり、何よりも健太君は、パーティーのその場の勢いで、気持ちが高ぶって宣言してしまったという感じが強いので、どこまで真意だったのか疑問である。他方のジュンさんの方も、そのような事情をわかっていたのだから、ふたりの約束としては、不十分と考える。
従って、今回は、そもそも婚約は成立していないので、ジュンさんは慰謝料を請求できないと考える。
 
伊藤弁護士の“納得の一声” 『婚約は結婚意思がどれだけはっきりしているか』

婚約が認められるための必要な結婚の意思というのは、総合的な事情で判断せざるを得ないのですが、場合によっては、儀式的なこととか、結婚式へ向けた準備行為、それから交際の仕方、そのような外形的な事情も含めて判断されます。
 

【ゲスト】天童よしみ
【出演者】桂南光、桂吉弥、三倉茉奈、中田カウス・ボタン、大木こだま・ひびき、伊藤芳晃(弁護士)

6月4日(土)
 
便利な実家に住めないの?(Wヤング)

便利な実家に住めないの?

山本さんの父親が半年前に亡くなりました。相続人は山本さんと姉です。遺産は父親が住んでいた大阪の土地家屋と少しの預貯金ですが、山本さんは東京の会社に勤めていて忙しく、遺産分割の話が済んでいません。そんなとき、大阪へ転勤することになりました。そこで山本さんは姉に相談せずに父の住んでいた実家に住み始めました。すると姉から連絡があり「遺産分割が終わっていないのに勝手に住まないで」と言われました。山本さんはこのまま実家に住むことはできないのでしょうか?

便利な実家に住めないの?

【弁護士の見解】 住むことができる
遺産分割前の不動産は、共同相続人の『共有』であると考えられる。したがって各相続人は、相続財産全部について使用する権利があるということになる。したがって、山本さんも相続人の1人として、この家を利用する権利があるということになり、お姉さんは山本さんに、この家から出て行ってくれと言うことはできない。ただし、使用状況によっては、お姉さんは相応の家賃を請求できる可能性はある。

澤弁護士の“澤の一声” 『遺産分割前の不動産は共同相続人の共有です』

相続人の誰もが使うことができますが、利用については共同相続人間で争いが生じないように仲良く話し合ってください 。

ウソの経歴がバレたら…(オール阪神・巨人)

ウソの経歴がバレたら・・・
武史さんは大学の3年生です。「外国語大学に通っていて海外へも留学していたと聞いたので高校生の娘の家庭教師をお願いしたい」と言われました。武史さんはそのときの雰囲気もあって「違います」と言えずに家庭教師を引き受けました。半年が過ぎ、女の子の成績は見る見るうちに上がり、母親から「ぜひ、もう1年お願いしたい」と言われました。武史さんは他のアルバイトが決まっていましたが、熱心に言われたので引き受けました。ところが2週間後、母親から「外国語大学でもないし、留学もしていないんですって。経歴詐称よ!契約は解除します!」と言われました。武史さんはつい言い出せなかっただけなのですが、契約を解除されてしまうのでしょうか?
ウソの経歴がバレたら・・・

【弁護士の見解】 契約を解除される
英語を教えるということに関して、外国語大学の学生なのかどうか、海外に留学をしていたかどうかというのは、適格性を判断する重要な要素になる。今回の場合、外国語大学ではなく一般の大学の学生であることや、2週間ほどの短期のホームステイしかしていないということが分かっていれば、お母さんは家庭教師を頼まなかったであろうと考えられる。これらはいずれも重要な経歴にあたり、それについてウソをつくことは労働契約の解除事由にあたる。今回のケースでは、武史さんは積極的にウソをついたわけではないが、お母さんが勘違いをしていることが分かっていたのだから、きちんと真実を述べる義務がある。重要な経歴にウソをつくこと自体、両者の信頼関係を損なうものであり、やはり労働契約を解除できると考えられる。

澤弁護士の“澤の一声” 『経歴は正直に』

つい出来心であったり、言いそびれたからと言っても、学歴や経歴でウソをつくことは相手に不信感を与えたり、結果的には自分にとっても不利なことになります。気をつけてください 。
 

【ゲスト】彦摩呂
【出演者】笑福亭仁鶴、桂南光、海原やすよ、タージン、オール阪神・巨人、Wヤング、林一弘(弁護士)


5月28日(土)
 
セットで借りたドレス(三吾・美ユル)

セットで借りたドレス
サツキさんは友達の結婚披露宴に出席するために太田さんにセットになったワンピースとボレロを借りました。ところが帰り道でボレロを釘にひっかけて破いてしまいました。破れ方がひどかったので、サツキさんは「ごめんなさい。新しいボレロを買って返すわ」と言いましたが、大田さんは「セットでデザインされたものだから、セットの全額を弁償して!」と言います。全額を弁償しなければならないのでしょうか?
セットで借りたドレス

【弁護士の見解】 全額を弁償しなければならない
サツキさんは借りたワンピースとボレロを返さなければいけないのに、ボレロをクギに引っ掛けて破ってしまったので、債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。ボレロを修理して前と同じ状態になるのであれば、ボレロの修理代金だけを弁償すれば良いということになるが、今回の場合、修理しても元通りにならないということなので、買い換えなければならないということになる。
借りたワンピースとボレロはセットでデザインされており、寸法や生地もワンピースに合わせたものなので、別のボレロを買ったとしてもイメージがまったく異なると考えられる。このように二つが一体のものであり、一体であるからこそ価値のあるものなら、片方をダメにすればセット全部について弁償しなければならないということになる。


澤弁護士の“澤の一声” 『弁償額は価値によって決まります』
今回のワンピースとボレロは一体でないと価値がありません。片方がダメになると価値が無くなりますので、全部を弁償しなければならないという事になります。気をつけてください 。

養子縁組はしていないけれど…(オール阪神・巨人)

養子縁組はしていないけれど・・・
本間さんの母親は15年前に松倉さんと再婚しました。しかし2年前、母親が亡くなりました。そのときは松倉さんが年金生活だったので、本間さんは相続放棄し、松倉さんが母の遺産の預貯金全額を相続しました。本間さんは松倉さんとは養子縁組をしていませんが、その後も松倉さんの世話を続けました。
半年前に松倉さんが亡くなりました。「本間さんに全財産を譲る」という遺言書が見つかりましたが、松倉さんには音信不通の息子が一人います。遺言書の通り、遺産をもらうには息子をさがして了解をもらう必要があるのでしょうか?
養子縁組はしていないけれど・・・

【弁護士の見解】 息子さんや他の相続人をさがして了解をもらう必要はない
本間さんと義理のお父さんの松倉さんは血縁関係はなく、養子縁組もしていない。したがって法律上の親子関係はない。しかし、松倉さんが生前、作成した遺言書が法律に定めた要件を満たしていればその遺言書どおりの効力が生じる。
したがって、本間さんは松倉さんの遺産をもらうということができるということになる。ただし、松倉さんの息子さんは相続人なので「遺留分」がある。後から遺留分の減殺の請求を行った場合には、本間さんは今回のケースなら、松倉さんの遺産の2分の1を、松倉さんの息子さんに渡さなければならないということになる。


<関連質問>
相続人が20年後に見つかった場合でもその相続人は遺留分を請求できるのでしょうか?

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、もしくは相続開始の時から10年を経過した時点で消滅する。ですから20年後であれば遺留分の請求はできないことになる。

澤弁護士の“澤の一声” 『遺言書に従う場合には、相続人の有無は関係ありません』
遺言書の効力が生じる場合には、他に相続人がいるかどうかをさがさなくても、遺産をもらうことができます。覚えておいてください 。
 

【ゲスト】宮崎美子
【出演者】笑福亭仁鶴、海原やすよ、タージン、オール阪神・巨人、三吾・美ユル、林 一弘(弁護士)


※過去12回分を掲載しています。
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