取材こぼれ話

2018年9月7日放送 「粋を極める 男の靴」
こぼれ話1

日本のメンズファッションイラストの世界を長年に渡り牽引してきた綿谷寛さん。綿谷さんならではの、靴から発想するファッションの楽しみをご紹介します。

粋を極める 男の靴
白のホワイトバックスから、発想したファッションがこちら。「華麗なるギャツビー」のファッションを現代風に置き換えました。1930年代のロングアイランドの犬の品評会がモデル。腕章や看板まで作り込む徹底ぶりです。
粋を極める 男の靴

その世界をイラストに。一足の靴からイメージを膨らませて、イラストにしてしまうことで、作品世界がより豊かになるそうです。

粋を極める 男の靴

こちらは、イギリスの上流階級が狩猟の時に履いたカントリーブーツから発想。夏の東京がスコットランドの湖水地方に。腰掛けているのは、シート・ステッキと言って、 椅子にもなるステッキだそうです。
 

粋を極める 男の靴
イラストにするとこんな感じ。ブーツはもちろん、愛犬、シート・ステッキ、ウイスキー携帯用のスキットルまで、ちゃんと絵の中に。綿谷さんのイラストは、趣味と実益を兼ねた、男の夢の具現化なのです。

こぼれ話2

粋を極める 男の靴

番組の中で、世界一の靴磨きの技を披露して頂いた長谷川裕也さん。他にもすごい技がたくさんあるそう。その一端を見せて頂きました。

粋を極める 男の靴

こちらはアンティーク仕上げ。奥が作業前、手前が作業後です。つま先に注目。普通の茶色の靴に濃淡を巧みに加えて、高級感あふれるアンティークな雰囲気に。しかもピカピカに光り輝いています。長谷川さんは、靴をただ磨くだけでなく、色や雰囲気を変えることもできます。
路上の靴磨きが姿を消す一方で、専門店が増え、実は今、靴磨きはひそかなブーム。長谷川さんは、そのトップランナーです。
 


2018年8月31日放送 「メガネ」
こぼれ話

メガネ
メガネデザイナーの中川浩孝さんは、メガネの部品にこだわり、最高の機能と美しさをあわせ持つ部品を集結させてメガネを作ったといいます。
メガネ

極めて小さなチタンのネジの開発には、2年の歳月がかかりました。さらに、ノーズパッドは、天然の貝を、奈良県にある貝ボタンの工場で、特別に開発してもらったといいます。

メガネ

白蝶(ちょう)貝・黒蝶貝・茶蝶貝の3種類で、ひとつひとつ手作りで、どれも工芸品を思わせる繊細さ。それらを組み立てていくのは、メガネの町、福井県鯖江の職人たちです。

メガネ
ひとつの部品のために、技術はリレーされて最高の仕上りに。一見さりげないメガネフレームですが、細部のパーツがそれぞれ個性を主張する・・・ツウにはたまらないメガネです。

2018年6月22日放送 「心を伝える フォント」こぼれ話

「都市フォントプロジェクト」誕生秘話

心を伝える フォント
書体デザイナーの鈴木功さんが、近年力を注ぐのは、都市の特徴や景色を文字デザインに取り入れた「都市フォント」です。
心を伝える フォント
心を伝える フォント

鈴木さんのイメージの源は「街歩き」。気になるものを見つけたらすかさずスケッチしていきます。こちらは名古屋のフォントを作る際に、鈴木さんが書いた文字のスケッチ。もともと漫画家になりたかったという鈴木さん。幼い頃から、デフォルメしてイラストにすることが得意だったそうですが、その特技は、今もなお文字作りに生かされています。

心を伝える フォント
心を伝える フォント

このフォントは、紙袋やかるたなどのグッズに使われているほか、シンポジウムのポスターにも起用。

心を伝える フォント

一つのフォントを作り上げるのに、およそ5年の歳月をかけ、文字に向き合う鈴木さんと社員。「長く使ってもらえるよう、悔いのないフォントにしていきたい」と言います。
鈴木さん曰く、「フォントは言葉を盛る器」である……フォントという器に乗せて、名古屋が持つ「濃さ」を世界に発信していきたいと語ってくれました。


2018年5月18日放送 「沖縄の風をはらむ芭蕉布」
こぼれ話(1)

沖縄の風をはらむ芭蕉布
沖縄県北部の大宜味村喜如嘉で 、40年以上、芭蕉布に取り組んきた染織家の平良美恵子さん。番組中では、芭蕉布の復元に取り組んでいる姿をご紹介しまたが、喜如嘉に伝わる絣(かすり)織の伝統についても、お話を伺いました。 
沖縄の風をはらむ芭蕉布

今から40年ほど前から伝えられているという「 縞(しま)帳」。
家畜のエサ箱を柄にした「トーニー」など、沖縄ならではの絣の織柄が多数収められていました。

沖縄の風をはらむ芭蕉布

「織りものをやる人にとって、この縞帳は 、お金以上に大切な宝物」と熱く語る、平良さん。これからも大切に守り伝えていきたいとおっしゃっていました。 


こぼれ話2

沖縄の風をはらむ芭蕉布

こちらは、ご自分でデザインした芭蕉布の服をまとって、お話を聞かせていただいた浦添市美術館の館長、宮里正子さん。

沖縄の風をはらむ芭蕉布

番組中ではご紹介できませんでしたが、和服に仕立てたものもお持ちで、海外からのお客様を迎える時などに着ていらっしゃるとのこと。

沖縄の風をはらむ芭蕉布
中には、沖縄ならではの「紅型」で染め上げた帯などもあり、その華やかさは、一味違う芭蕉布の魅力を伝えています。「沖縄生まれの伝統ある芭蕉布を、次の世代に伝えていきたい」、そう語る宮里さんの情熱に、沖縄に暮らす人たちと芭蕉布とのつながりの深さを改めて感じる瞬間でした。

2018年4月20日放送 「宵を楽しむ ウイスキーグラス」
こぼれ話(1)

今回、カウボーイに扮した草刈さん。注文したウイスキーについて改めてご紹介します。
宵を楽しむ ウイスキーグラス

最初のオーダーは「バーボン」のストレート。
バーカウンターの上を滑ってくるショットグラスを受け止めて、グッと飲み干す西部劇でお馴染みのシーンです。
撮影とはいえ、仕事中にウイスキーを飲むなんて不謹慎?ご安心ください。中身はウーロン茶です。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

次はウイスキーのミルク割り。「カウボーイ」という名のカクテルです。
撮影では、紅茶をミルクに入れました。つまり…ミルクティーですね。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

次は「ホットウイスキー」。
ウイスキーに砂糖を入れ、お湯で割っていましたが、ジャムや蜂蜜、時にはマシュマロ入れて甘みをつけるやり方も。レモンなどの柑橘類、シナモンやミントなどで香りを加えることもあるのだとか。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

最後は、ビールにショットグラスのストレートウイスキーをそのまま沈めるワイルドな飲み方。「ボイラーメーカー」と呼ばれています。
名前の由来には諸説あって、アメリカで発電用ボイラーの建設に携わっていた作業員が手っ取り早く酔っ払うために飲み始めたからとも、飲むとボイラーが燃えるように身体が熱くなるからだとも言われています。


こぼれ話2

美しいロックグラスの製造工程を取材させて頂いたクリスタルガラスの製造工場。熟練の職人さんたちの工夫や技をさらにご紹介します。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

デザイナーの芦川陽介さんは、素材になるクリスタルガラスの良さを引き出すことをいつも考えているそうです。
いかに輝きを引き出すカットをデザインするかが腕の見せどころです。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

高温で溶けたガラスを竿で巻き取り、金型の中で息を吹き込みながら形をつくる「型吹成形」という技法。
実演して頂いたのは茨城県の伝統工芸士でもある武井盛彦さん。
ロックグラスのように、サイズが大きくガラスの使用量も多いグラスを作る場合、最初の下玉作りが非常に大切になるとのこと。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

これが下玉。核になるガラス玉です。この上に溶けたガラスを巻き足して、規定の大きさにします。
つまり、下玉はグラスの土台。
ここを歪みなくしっかり作れないと、大きくて重量感のあるロックグラスはできないのです。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

切子とも呼ばれるカット。
番組では、ヒシカット、カマボコカット、平カットの3種類を紹介しました。この違いがよりはっきり分かるのが、グラインダーの刃にあたるダイヤモンドホイールの形状。
この道20年の野口友和さんに見せて頂きました。

宵を楽しむ ウイスキーグラス

右から、先端が尖っているヒシカット用のホイール。菱形を半分にした形状をしています。
中央がカマボコカット用のホイール。左が平カット用のホイール。ガラスを平らに削り落とします。
それぞれに目の粗さ、幅や角度、カーブが異なったホイールを使い分けることで複雑で繊細なカットが表現できるのだそうです。


2018年2月23日放送 「将棋」
こぼれ話(1)「将棋駒研究会」

たくさんの名品を持ち寄っていただいた、将棋駒研究会の皆さん。
メンバーには駒を集めるだけでなく、自ら駒作りを行う人も多いそうです。
番組内でご紹介できなかった駒をいくつかご紹介しましょう。
名人戦に2度も使われた駒。
名人戦に2度も使われた駒。

名人戦に2度も使われた駒。
作:宮松影水
書体:巻菱湖
材質・種別:島黄楊 虎斑 盛り上げ駒

今年の2月12日に行われた、棋王戦の第1局で使われた駒。
作:宮松影水
書体:清安
材質・種別:島黄楊 根杢 盛り上げ駒


こぼれ話(2)「大局将棋」

江戸時代に考案された、804枚もの駒を使う「大局将棋」。
普段は撮影にご協力いただいた、大阪商業大学のアミューズメント産業研究所に展示されているもの。

撮影のために盤と駒を移動させたのですが、「並べるのに1時間近くかかる」と言われていたので、大学のスタッフの方々にもご協力いただき、6人がかりで並べました。

手元には、並べる順番が書かれた資料を持って、確認しながら並べていきました。
スタッフの方は撮影などのたびに何度も並べているので、すっかり手馴れたようで、今回は1時間かからずに並べることができました。

しかし、撮影が終わり元の展示位置に戻すのに、もう一度並べなければならないのです…
今度はインタビュー出演していただいた、古作登さんにもお手伝いいただき…無事に終了しました。
皆さんありがとうございました!


2018年2月9日放送 「いろり」
こぼれ話

長野県佐久市に住む大塚拓司さんは、日本の伝統的な建築を守っていこうと古民家の移築再生をする工務店を経営しています。自らの家も長野県内にあった江戸時代の民家。

打ち捨てられようとしていたいろりも見事に復活させ、親子3人で”いろりライフ”を楽しんでいます。

いろりの地下部分は、湿気が上がってこないように、基礎はコンクリート、その上に瓦の破片を入れて風通しを良くし、60cmの深さに灰を詰め、断熱効果を高めています。
江戸時代のいろりは、新しい技術を取り入れて、よりあたたかくよみがえりました。


2017年8月11日放送 「ともに過ごす お盆」
こぼれ話1

「きゅうりの馬やなすの牛じゃ嫌だ」という“ご先祖様”のために、草刈さんがオリジナルの精霊馬(しょうりょうま)を作成!リクエストに答えて完成したのは「パプリカの左ハンドル車」。

野菜は時間が経つと変色してしまうため、美術スタッフさんが撮影現場で作ってくれました。
材料は、車体が赤パプリカ、タイヤ・シート・ライトは黄色パプリカ、そしてハンドルはズッキーニのヘタ!芸が細かい!

すったもんだの末“ご先祖様”が乗って帰った「ズッキーニのバイク」がこちら。これは間違いなく、速そう!


こぼれ話2

京都でお盆の時期にお供えされる「お迎え団子」と「送り団子」。数や並べ方などは各家庭によって違うそうです。

取材で伺ったこちらの仏壇には、お団子の他にあるお供えものが…。

「おけそくさん」と呼ばれ親しまれている仏前に供える丸餅です。
今回、取材に協力していただいた和菓子店によると、「お迎え団子」「送り団子」とセットで買われる方が多いそうです。地域によって様々な風習があるんですね。

2017年7月7日放送 「守り、受け継ぐ 蔵」
こぼれ話1

草刈さんの相手役に、2人のゲストが参加してくださいました。

1人目のゲストは、石井正則さん。
かねてより「美の壺」のファンでいらっしゃったということで、“オシャレ男性誌”の記者役を快諾・快演してくださいました。

草刈さん、石井さんの共演は初めてにもかかわらず、ピッタリと息のあった演技。撮影現場は和気あいあいとした空気が流れていました。こだわりの強い記者…という役柄の石井さん。 個性的な衣装を着こなすことができるのも、石井さんだからこそですね。

もう1人のゲストが“座敷わらし”役の後藤奏くん。まだ6歳にもかかわらず、草刈さんを前に堂々とした演技。その愛らしさに、草刈さんや現場スタッフからも笑みがこぼれました。


こぼれ話2

番組では紹介しきれなかった、蔵の魅力をご紹介します。

蔵の“顔”とも言える、蔵の窓。その周りに施された鏝絵(こてえ)も見どころの一つです。
鏝絵とは、蔵を手がけた左官が大小様々な鏝を駆使して漆喰で描いた絵のことをいいます。
富の象徴として、また施工主に対する左官からのお礼として…蔵の窓や外壁に施された装飾は、実に遊び心と職人の気概が溢れています。

例えば、躍動感あふれる馬、ふんだんに色を使ったチャボの絵など…
蔵の窓をキャンバスに、左官たちはこぞって腕を競い合いました。

鏝絵は絵だけではなく、文字も描かれました。 明治時代に建てられた蔵の窓には、ローマ字が刻まれています。「MO・TO・KA・N・TA」…?こちらの蔵の所有者は神田さんです。蔵の周辺には分家の神田さん宅が多くあり、村人たちが混乱しないように「ここは本家の神田家ですよ」という意味を込めて描かれたそうです。

黒と白のコントラストが美しいこちらの窓には、「水」という文字が描かれています。
3度の大火に耐えたという、この蔵。窓の中央に描かれた「水」という文字は、火を寄せ付けないように…という願いが込められているのです。

江戸から昭和にかけて多く作られたという鏝絵。今、この技術を施せる左官も数少なくなりました。
蔵の窓は、左官たちの遊び心や職人魂を刺激し、腕を振るった場所。まだまだ日本にはたくさんの個性的な蔵が残されています。どうぞ、みなさんも古の職人たちが残した“用の美”を味わってみてください。


2017年3月10日放送 「心のふるさと 学び舎(まなびや)」
こぼれ話

神戸女学院の建物の見どころを伝えてくれた“ツアー・マイスター”の学生たち。建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計したキャンパスには、まだまだ見どころがあるといいます。

番組でご紹介した「日本一美しい」といわれる図書館です。
完成当時より設置されているという机にご注目。

何かお気づきになりませんか?
実は、電気スタンドがあらかじめ備え付けられていて、電源コードも机の中に埋め込まれているのです。

それにより、机の上の作業スペースを広く確保するだけでなく、図書館の美しい景観にも一役買っているのだそうです。

また、読書や勉強で疲れた時、ふっと見上げる天井には、、、

ピンクや青で彩色されたアラベスク模様が施されています。
この美しい天井は、読書で疲れた学生たちの目を癒やしてくれるのだそうです。

さらに、中庭にも隠れた見どころが。
中央の噴水を囲む四つの学舎の配置に、ある意味が込められているといいます。
写真の左右に向かい合って建つのは、文科系を象徴する「文学館」と、理化学系の「理学館」。また、正面に見える「図書館」の反対側には、礼拝堂がある「総務館」が建てられています。図書館を「知」、礼拝堂を「心」と捉えると・・・

「文学館」
「文学館」
「理学館」
「理学館」
「図書館」
「図書館」
「総務館」
「総務館」
「文」と「理」、「知」と「心」を象徴する建物が、対になって建てられているのがわかります。それぞれをつなぐことによって、調和のとれた人格形成を目指す、リベラルアーツ教育の理念を示しているというのです。

設計者であるヴォーリズは、それぞれの建物について言葉を残していません。
しかし、このキャンパスに足を踏み入れた多くの人々によって、学舎に秘められた様々な意味が読み解かれてきました。それも、キャンパスが長く愛されてきたからこそ、実現したのかもしれませんね。

2017年2月17日放送 「主(あるじ)が宿る 門」
こぼれ話

番組でご紹介した長崎新地中華街の「門・誕生秘話」。
実は「中華街」と呼ばれる街の構造は、日本の商店街と少し違っているのです。

例えば、長崎新地中華街を見てみましょう。東西南北に伸びる十字路の両側にお店が並び、さらに東西南北の4つの出入り口に門がつくられたことによって、街が四角形に囲われたように見えます。(少しいびつな四角形ですが。)
一方、日本の商店街は直線的に伸びた一本の通り沿いにお店が広がる形が多く見られます。

新地中華街のように四角い空間を作り出している、という構造の商店街は実は世界各国の中華街に多く見られる中国の伝統的な空間哲学の流れをくんだ構造なのだと言います。

お話を伺ったのは、中国建築に詳しい東京大学生産技術研究所の村松伸教授です。
村松教授「中国では都市は古くから、城壁と門で囲まれた方形(四角形)の形をした空間であることが多かった。その代表例が北京にある明・清王朝時代の宮殿、紫禁城です。」

紫禁城は、南北961m、東西753mの敷地を高さ10mの城壁が四角形に囲っています。城壁の東西南北4面には城門があります。

村松教授「都市を城壁と門で方形に囲った最も大きな理由は、中国の『広大さ』です。中国は日本と違って広大な土地に都市をつくらなければいけなかったため、敵や野獣等から身を守る防御の意味も込めて城壁と門で街を囲い、自分たちの住んでいるところをはっきりさせなければいけなかったのです。そして城壁の形態として、技術的に一番簡単なものが「四角」だったのです。曲線を作るより、直線を作る方が簡単ですよね。その『方形の城壁で囲まれた都市』というイメージが中国の人びとの空間意識の中には常に流れているのかもしれません。時代が経るうちに、あるいは中国人たちが中国以外の土地へ移り住んでいくうちに簡略化され城壁はなくなるものの、四角い空間を作り出すための『門』だけが残ったのではないでしょうか。」

こんな歴史の流れに想いを馳せながら、中華街の門や街の構造を眺めて歩くのも楽しいかもしれませんね。

さらに、新地中華街の門を良く見てみると、伝統的な中華建築の特徴がもうひとつあると言います。それは「文字」。

村松教授「看板に『王震』という文字があります。これは、この門を作る時に協力した中国の王震さんという著名な政治家の名前。力のある人の名前を門に書き入れることで、この門の『権威』を高めているのです。文字の国、中国独特の建築文化をこんなところからも読み取ることが出来るのです。」

門からかいま見ることができる中国独特の建築文化。そんな目線でぜひ一度、中華街を歩いてみてください♪

2017年2月10日放送 「和包丁」
こぼれ話

和包丁を32本も所有し、季節の食材によって使い分ける、大阪の料理人 布谷浩二さん。

その包丁さばきは、息を飲む見事さ。紙のように透き通る桂むき、きゅうりで作る松や蝶の細工飾りは、刃先から生れるマジックのよう。

まな板に対し、半身(み)の構えも年季の入った立ち姿でした。布谷さん曰く、「切れ味の良い包丁で切ると、食材は、『いつ切られたのかしら?』と思うほど」だとか。食材にストレスを与えない切り方こそが旨さにつながるそうです。

しかし包丁は使うだけでなく、手入れも肝心。布谷さんは閉店後、1日頑張った包丁をねぎらうように研ぎ上げます。

使うのは、2億5千万年前の太平洋の深海の堆積物とされる天然の砥石。キメの細かさや吸い付くような感触が気に入っているそうです。『ソイソイソイ』という研ぎ音も、心に響く、渋い音色でした。


2017年1月6日放送 「お守り」
こぼれ話1

日本全国には個性的なお守りが数多くあります。
埼玉県 箭弓稲荷神社の「十八番守」(おはこまもり)。技術向上、芸能向上のお守りといわれます。歌舞伎十八番(おはこ)を制定した江戸時代の名優・七代目市川団十郎が、芸道向上を祈願し境内の樫の木の葉を懐に入れて新春歌舞伎に臨んだところ、興業は毎日札止めの大盛況となった故事に因み、樫の葉を象ったお守りになっているといいます。
京都市 首途八幡宮の「繭守り」。カイコのまゆを三つ重ねた、開運招福厄除「門出」(=首途)のお守りとされます。このお守りを頂いて神棚にお祀りすると、繭からとれた絹糸が素晴らしい着物へと生まれ変わるように、嫁入り前の娘さんの荷物が増えて衣装持ちになり、持ち物が増える家運繁栄のお守りと言われています。

こぼれ話2

寺社で頂く以外にも様々な「お守り」があります。
左側の写真は、今は亡き、愛するペット。そして右側は、その毛で作った「お守り」です。動物とのふれあいは人間の心と身体を癒し、安らぎを与えてくれる。そんな愛するペットたちとの大切な思い出を、いつまでも感じられるようにという願いが込められています。
ランドセルには、6年間の、子ども時代の様々な想い出が詰まっています。小学校卒業後も、小型にリメイクして持ち歩く人もいます。元のランドセルを裁断し、ディテールまで、細かく再現されています。成長してからも、お守りとして持つ人も多いといいます。

静岡県浜松市天竜区水窪町のお年寄りたちが、新入学児童のために毎年制作している、交通安全のお守りです。材料の竹は、地元の特産品。「無事家に帰る(カエル)ように」という願いを込めて、カエルの形をしています。

こぼれ話3

お守りに関する様々な話題があります。
現代のお守り袋の形は、明治から大正にかけて生まれたとされます。大正8年出版の『日本袋物史』は、古今東西のカバンや袋について記録されています。その中に、お守りの形は「呉服屋」が考案したという記述があります。「其形は印籠から思いついたもので、(中略)唯今大いに流行して居ります」。
番組の中で紹介した、京都・鞍馬寺の「降魔必勝の小太刀」。牛若丸の小太刀をモチーフにしています。鞍馬寺の田中一郎さんは、小太刀に、梵字で本尊の名前を焼き付けます。結界を張った部屋で体を清め、1本1本、手作業で思いを込めます。
田中さんは言います。「一体ずつ気持ちを込めてやるというのが、一番大事なことです。山は毎日、異なる顔を見せてくれます。自然の中でお山の気持ちを自分で感じて、一体ずつ心を込めて、それを表すっていうことが非常に大事なことです」。この小太刀の中には、古代から霊山として崇められてきた鞍馬の「気」が込められています。

2016年12月23日放送 「食卓をおいしく楽しく カトラリー」
こぼれ話1

今回の草刈さんは、銀座のレストランを訪ねました。

お相手のドミニク・ブシェさんは、フランスと日本を股にかけて活躍する三ツ星シェフ。
さすがに一つの世界で頂点を極めただけあってカメラの前でも堂々としたもの。

草刈さんは日本語、ドミニクさんはフランス語の台詞なのに、ピッタリ息があった演技の応酬。
見応えがありました。

こぼれ話2

フランスの伝統的なテーブルセッティングを披露してくださった食卓芸術研究家の今田美奈子さん。
番組でも紹介したナポレオン3世時代(19世紀後半)のカトラリーは、普段、専用の収蔵家具におさまっています。

重厚なフタや引出しを開けると、中にはカトラリーがぎっしり並んでいました。
豪華な晩餐会も開くことができる12名分のカトラリーフルセット146点が1点も欠けることなく揃っています。
今では揃えようと思ってもかなわない本当に貴重な品です。
カトラリー1本1本には、かつての持ち主だったフランスのガルシア侯爵家の紋章が刻まれています。
家宝のように代々大切に継承されてきた、正真正銘、貴族のカトラリーです。

こぼれ話3

アンティーク銀器の新しい使い方を提案してくださった食文化ヒストリアンの大原千晴さん。
番組では紹介できませんでしたが、これはアスパラガス専用のトング。
ヨーロッパの上流階級の食卓では、アスパラガスが春を告げる野菜として大変珍重され、専用のトングまで作られていました。
しかし、大原さんは、もともとの使い方にこだわらず、ケーキやパイを取り分けるのに使ったらと提案。
海外旅行などの時に、フリーマーケットや骨董店などで気に入った品に出会ったら、ためらわず手に入れて、毎日普段づかいすればいいのだとか。
白蝶貝の柄に見事な彫金が施された刃がついているこのバターナイフも、せっかくだから普段づかいしましょう。
バターはもちろん、チーズやケーキを切り分けるのに使えば良いと大原さん。
ペイストリーを食べるためのフォークを、あえて漆器にのせた和菓子を食べるのに使えば、ミスマッチ感がむしろオシャレに!
銀器はしまい込んでいるとすぐに黒ずんでしまいますが、毎日使っていれば輝きを失わないそう。

気に入った銀器ほど、毎日使うべきなのだそうです。

2016年10月21日放送 「人生を共にする 旅行鞄(かばん)」
こぼれ話1

オーダーメイドの鞄作りをする藤井幸弘さんの貴重なボストンバッグの制作を、何度も工房に通い記録させていただきました。まず驚いたのは革の固さ、まるで板のように直立しています。藤井さんは終始、厚くて固い革をなだめすかしながら、美しい曲線を持つ鞄を作ろうと奮闘していました。
番組で紹介できなかった工程の中には、コバ磨きと言い、縫い合わせた革の断面をかんなで削り、布海苔(ふのり)で磨きをかける作業や、ネンという縫い目の脇をコテで熱を加えながら線を引く作業など、革の端々まで心を配る、ネンにはネンを入れての鞄作りを目の当たりにしました。手をかけるほどに鞄は耐久性と美しさは増していくようです。
出来上がった鞄を藤井さんは「なかなかいい子にできました」と表現していました。鞄は女性なんですね。ダンディな紳士のお気に入りのパートナーとして長く愛され続けていくようです。ロマンですね。

2016年9月9日放送 「幻の唐津焼」

こぼれ話1

400年以上前に作られた唐津焼の原点、斑唐津(まだらがらつ)は、番組で紹介した以外にもたくさんの謎が隠されているそうです。
その謎に長年挑み続けているのが、陶芸家・梶原靖元さん。これまで斑唐津は粘土から生地を作っていたと思われていましたが、梶原さんは、違う材料で作られていると考えています。
梶原さんは、斑唐津の生地が砂のように目が荒く、指で叩くとピンと高い音がして硬く焼きしまっていることに着目。砂が堆積して風化した「砂岩」が材料ではないかと推測し、再現に挑んでいます。
こちらが、砂岩です。
まず、砂岩を砕いて鉄分を取り除きます。鉄分が入っていると生地が黒くなり、美しい白にならないといいます。
砕いて、細かくなった砂岩は流水にさらして、細かな粒子だけを取り出します。
乾燥させれば、生地の材料となる砂岩ができあがります。
砂岩から作った斑唐津は、生地にガラス成分が多く含まれているので硬く焼き締まります。また、鉄分を取り除いているため粘土と違って、美しく白いものができ上がるといいます。

こぼれ話2

斑唐津は、実際に使ってみると、その魅力が、いっそう良くわかると陶芸家の梶原靖元さんはいいます。
桃山時代の斑唐津のとっくりと、ぐいのみ。
ぐいのみにお酒を注ぐと、白い器の底にうっすらと青い斑が浮かび上がります。
使うことで、また違った表情を見られるのが、斑唐津の魅力です。

2016年7月15日放送 「避暑のホテル~憧れのひと夏~」

こぼれ話1

長野県の避暑地・上高地の魅力の一つは、手つかずの大自然です。
ホテルから、ちょっと足を伸ばしてみましょう。
長野県在住の風景写真家・今井悟さん
長野県在住の風景写真家・今井悟さんは、上高地の写真を撮り続けて20年以上。数多くの幻想的な景色を写真に切り取ってきました。
そんな“上高地鑑賞のプロ”今井さんだからこそ知る美しい風景の楽しみ方を、特別に教えていただきました!
上高地を代表する風景のひとつ、大正池
まず向かったのは、上高地を代表する風景のひとつ、大正池(たいしょういけ)。すぐ近くの活火山、焼岳(やけだけ)が大正4年に大噴火し、吹き出した大量の泥流で川が堰き止められできた池です。
すぐにはシャッターを切りません、どうしてでしょう?
「霧が出るのを待ってます。風が吹いて、いい感じに流れる瞬間があるんです。上高地の景色の魅力は、刻一刻と移り変わる“変化”を楽しめることなんです(今井)」
深い山の奥で、穂高連峰などに囲まれた谷間にあるこの場所は、霧が多く、幻想的な風景が出現します。上の状態は、確かにまだ霧がでていないですね。
待つこと5分、シャッターを切った今井さん。切りとられた一瞬が下の写真です。
今井さんの作品 1
[ 今井さんの作品 1 ]
緑の木々と湖面の間にわずかに漂う霧。
まるで、湖から神秘的な力が湧きだし、一本の枯れ木に命を与えているような、なんとも神秘的な一枚です。
今井さんの作品 2
[ 今井さんの作品 2 ]
枯れ木は大正池の見どころのひとつ。
焼岳の噴火で枯れた木に、周りから飛んできた植物の種子が付着し、緑の芽が。
「水の中の枯れ木に根を下ろす生命力の強さを感じます。(今井)」
枯れ木に宿る新たな世代の芽生え・・・ここでしか見られない自然の神秘を切り取った力強い一枚です。
続いて向かったのは、田代池。原生林のなかに、ぽっかりあいた草原に広がる湿原の中の浅い池です。この日は濃い霧で隠れてしまいましたが、目の前に迫る山々と手前に茂る緑、そしておだやかに流れる水が、まるで山水画のような立体感と迫力を感じさせる場所です。
[ 今井さんの作品 3 ]
両側に緑の木が並ぶ間を行く、水の流れ。
奥にちらりと見える山が、水がどこからやってきたのかを想像させる、こだわりの画角です。雄大な風景からあえてこの画角に絞り込むことで、水の道に誘われて山に引き込まれていくような、そんな不思議な感覚を生む、幻想的な一枚です。


こぼれ話2

みなさん、「山の日」はご存知でしょうか?16番目の国民の祝日として、8月11日は今年から「山の日」となりました!実は、山に関する国民の祝日は世界で初めてということで、日本のみならず、世界中から大きな関心を集めています。
そんな初めての「山の日」を祝う第1回「山の日」記念全国大会が、8月11日に日本を代表する山岳地・上高地で開かれます。
北アルプス3000m級の山々と、その山深くに開けた神秘的な渓谷。猿など野生生物との共存も魅力の上高地は、日本の山の「中心」とも言える場所。記念すべき初めての山の日は、ぜひ、上高地の大自然に足を運んでみてはいかがでしょうか?

こぼれ話3

長崎県の避暑地、雲仙にあるホテルは、ちょっと変わったコンセプト。
外観はスイスの山小屋風のデザインなのですが、
館内の廊下のデザインは・・・何をイメージしていると思いますか?
実は、客船をイメージしています。天井は角を削り、丸みを帯びさせたことで、船の廊下を連想させているそう。自分の部屋に向かって歩いているうちに、いつのまにか客船の中を歩いているような気がしてくる不思議な空間です。
さらに、お客さんから見えないバックヤードにも・・・
船内にあるような丸い窓や、操舵室のような透明なドアが。見えないところにもこだわることが重要なのだそうです。
実は、ホテルの創業者は元々船会社を経営していました。周りを海に囲まれた状況で長い時間を過ごす船旅。客船の中でいかにくつろいだ時間を過ごせるかが旅の質を左右する・・・そんな考えから「究極のおもてなしは客船にあり」というコンセプトが生まれたそうです。

2016年6月24日放送 「和の美の理想郷、小津映画」

こぼれ話

小津映画に出てくる着物をモチーフに現代の着物で現代風にコーディネートしました。
たまには着物を着て街を歩いてみたいものです。
吉田雪乃さんは小津映画がきっかけで着物の仕事を始めるほどの小津マニアです。
小津映画の着物を日々、研究しています。
今回、コーディネートしてくださいました。
赤は小津が好んだ色。この赤は小津が好んだ朱色に近い赤色より現代的な強い赤です。縞は小津映画の中でもっとも多く使われた柄のひとつです。縞は太ければ太いほどカジュアルに、細ければ細いほどスタイリッシュに変化します。これは細縞、都会的に仕上がっています。帯は幾何学的な模様。これも小津が好んでいたもののひとつです。現代仕様のパンチの利いた赤とクールな幾何学模様の帯の組み合わせです。帯締めを少し下にするのも小津映画の着付けの特徴です。
こちらも縞ではありますが、藤の花が重ねられています。クールで粋な縦縞と柔らかな藤の花という相反する組み合わせです。小津監督ははんなりとした花柄などの着物を好みませんでした。花柄の着物も縞を足すことで小津映画の世界に少し近づけます。そこに持ってくる帯は北欧の雰囲気もある、抽象的な花柄。小津監督は日本を徹底的に描いていると思われがちですが、吉田さんは小津映画に外国の要素も感じるんだそう。赤もポイントです。全体的に淡い色の中にほんの少しの分量だけれど赤が入るとピリッと締まります。
こちらも縞ですが、少し変わった縞模様です。モノトーンの着物と無地の濃紺の帯に合わせている、帯締めと帯揚げの赤もポイント。丸が連動しています。縞の中に丸があり、帯締めにも小さな丸、しかも丸止めになっていて、帯揚げも小さなドット柄になっています。
小津映画では着物ひとつとっても連動性が隠れていることがよくあるそう。それを探すのも小津映画の楽しみ方のひとつだそうです。そこへ吉田さんが挑戦してくださいました。

2016年6月3日放送 「サラダ 野菜の工芸」

こぼれ話

番組でご紹介した第一線のシェフたちは、ドレッシングにもこだわりの哲学をお持ちです。
まずは、創造的なカットの技を見せてくれた都志見セイジシェフのドレッシング。

炭火でじっくり焼いたタマネギには、何のドレッシングをかけると思いますか?
実は、タマネギのドレッシングなのです!刻んだ葉タマネギを熱したオリーブオイルで焦し、ビネガーを加えてミキサーで液体にします。最後に刻んだエシャロットやにんにくを加えて完成です。
タマネギでタマネギを味付けする都志見さんのドレッシングの哲学とは、どんなものなのでしょうか?「食材に手をかけることは大事だが、決して複雑にはしないようにこころがけている。同じ素材の、形を変えた状態のものを、同時に食べる、というのは僕にとってとてもシンプルなこと」と語ります。
続いて、野菜本来の素材力を極限まで引き出そうと努めるシェフ、清水将さんのこだわりのドレッシングをご紹介します。
清水シェフのサラダ作りは、まるで生け花のようです。野菜の葉や茎を、1本1本、繊細にお皿にレイアウトしていきます。お客さんが取り分けた時の自然な美しさも計算して生けているんだそうです。
サラダの中を通る“空気や風”まで大切に考える清水シェフ。お客さんが食べる直前まで、その空気感を保つため、ドレッシングはかけずにテーブルへ。
インパクトの大きい森のようなサラダに、みなさん盛り上がります。
お客さんが思い思いにサラダをお皿に取り分けたところで、ここで初めて、ドレッシングの登場です!オリーブオイルとシェリー酒ビネガーが3:1の割合、塩を少々加えたドレッシング。
ポイントはスプレータイプのボトルです。
スプレータイプのドレッシングにすることで、清水シェフが大切にする「サラダの中を通る空気や風」を壊すことなく、野菜の本来の味や空気感を味わうことができるのです。
みなさん、思い思いに取り分け、味付けし、サラダを楽しんでいました。一皿から色々なコミュニケーションや体験が広がる、素敵なサラダです。

2016年4月15日放送 「憧れの街、銀座」

こぼれ話

番組では紹介しきれなかった、壇蜜さんの心に残る銀座の夜景があります。

銀座のメインストリート、中央通り沿いにある菓子店2階のティールーム。
この客席から見下ろす、中央通りの夜景が壇蜜さんの心に深く残っているそうです。

専門学校生だった当時の壇蜜さん。
学校が終ってホステスのアルバイトに向かう前に、小腹を満たすために何度かこのティールームに通いました。ホステスという仕事がとことん自分には向いていないと感じていた当時の壇蜜さん。
この窓から見下ろす風景の中にいる同伴出勤で寄り添いながら歩く男女の姿は、当時の壇蜜さんの目には“自分とは別世界の箱庭で戯れる主人公たち”という風に映っていました。

また、同伴出勤する男女に限らず、銀座の夜景の中にいる人たちは、誰も一人ぼっちでは歩いていない、必ず誰かとよりそって歩いている印象を受けていたそうです。
銀座という特別な街が引き寄せるのは、孤独を背負う人ではなく、人とのぬくもりの中で輝く主人公たち…。
20代初め〜半ばだった当時の壇蜜さんには、銀座という街がそんな性質を帯びた大人な街に感じられていたのかもしれませんね。
 
訪れる人の心象風景が夜の街に投影され、魔法のような輝きを放つ大都会・銀座の夜。
みなさんも、ご自分の“銀座の夜”を探しに、この街へ繰り出してみるのはいかがでしょうか?

2016年3月4日放送 「和室の醍醐味(だいごみ)欄間」

こぼれ話1

“彫刻欄間の代名詞”ともいわれる井波彫刻。その発祥は、井波の町に1390年に建てられた「瑞泉寺」にあります。1762年に全焼した瑞泉寺再建のため、京都の東本願寺から御用彫刻師・前川三四郎が派遣され、地元の大工たちに彫刻技術を教えたことが始まり。
山門には睨みをきかせる龍、仙人、花…。
当時の彫刻技術が光る瑞泉寺は今も井波彫刻師たちの学びの場です。
現在、その眼前に工房を構える井波彫刻の名工・野村清さんも修業時代には毎日のように足を運び、先人たちの技を目に焼き付けたそう。その経験が生命力と躍動感に溢れる作風につながっているのです。

瑞泉寺
再建時の受注書
山門の龍
仙人
野村さんの「天女」

こぼれ話2

横浜にある「三溪園」。園内には明治時代に実業家・原三溪によって移築された貴重な建物が並びます。その中のひとつ「臨春閣」は、まるで欄間の美術館。中に入ると様々な優美な欄間たちが出迎えてくれます。ユニークな欄間の中に、シンプルな欄間を見つけました。池に面して設けられた欄間障子。繊細な組子に加え陽の光を浴びると無骨な柔らかいラインが影となって浮かびます。その正体は、竹。
さらに、外の池の水面に光が当たると反射でそのゆらめきも映り込みます。
水面のたゆたいのようにゆったりと眺めていたい。素朴ながら優雅さを持ち合わせた欄間です。

臨春閣
外に竹
組子に竹の影
映る竹の影(ヨリ)

2016年2月26日放送 「おいしいどんぶり鉢」

こぼれ話1

今回取材した有田焼の窯元では、昔から受け継がれた手作業を多く残しながら、現在も「どんぶり鉢」を製造しています。その工程をご紹介します。
1.〈製型〉
同じ大きさの鉢を大量生産するための型をつくります。
磁器は乾燥と焼成の工程で縮むので、約15%大きくつくります。
2.〈成形と削り〉
出来上がった型を使って陶土を成形し、さらに削りを入れて仕上げます。
3.〈下絵付け〉
素焼きされた器に、呉須(ごす)という、焼くと藍色に発色する絵の具で「下絵付け」をします。

4.〈施釉・本焼成〉
釉薬(うわぐすり)をかけた後に焼き上げます。
藍一色の「染付け」の鉢は、この工程で完成です。

5.〈上絵付け〉
本焼成が終わった器に、「染付け」の藍色以外の絵の具で絵付けする工程が「上絵付け」。
出来上がった器は「色絵」と呼ばれます。
6.〈完成品〉
完成したどんぶり鉢。左が「染付」、右が「色絵」です。
それぞれに味わいがありますね。

こぼれ話2

形は紛れもなく日本のどんぶり鉢なのに、描かれているのは欧州の貴婦人。
この不思議などんぶり鉢は、オランダで焼かれたデルフト陶器です。
江戸時代、精緻な古伊万里は盛んに輸出され、ヨーロッパの磁器にづくりに大きな影響を与えました。
そうした時代を象徴する、日本発欧州産のどんぶり鉢です。

こぼれ話3

陶磁器の世界で生まれて、その後、広く使われるようになった二つの言葉を紹介します。
1. ゲテモノ:
漢字で書くと「下手物(げてもの)」。
本来は、粗雑で安物の品を指しました。それが転じて、一般の価値観から外れた風変わりで珍奇な物を指すようにもなりました。対義語は、精巧に作られた高級品を意味する「上手物(じょうてもの)」です。

2. 身も蓋(ふた)もない:
物を入れる器の「身」も、それを覆う「蓋」もないという意味で、中身がすべて見えてしまっている状態を指します。そこから「あらわに表現し過ぎて含みや味わいがない」という意味になりました。

2015年11月13日放送 「心休まる時間 湯のみ茶碗」

こぼれ話

番組では紹介仕切れなかったユニークな湯呑みがあります。

こちらは、デザイナー 佐藤オオキさんの作品です。
一見シンプルな湯呑みに見えますが、蓋に面白い仕掛けがあるんです。

実は、蓋がコマになっていて、この様に、回して遊ぶ事が出来ます。
さらに、もう一つ、便利な仕掛けがあります。

お茶を飲む時に気になる、蓋から垂れる水滴。
でも、コマの先端に湯気が集まるので、
しずくがスムーズに湯呑みの中に落ちて、周りを汚さずに済むんです。

“遊び心”と“使う人への心づかい”を感じる作品です。
番組の予告編では、コマが回転している様子がご覧頂けます!

滋賀県立陶芸の森美術館に坂口恭逸という人物が集めた湯のみ茶碗のコレクションが収められています。
名工から名も無き作家まで、明治末期から昭和前期にかけて作られた、日本各地の湯のみ、実に314点。

こちらは、今では幻の窯となった宮川香山による眞葛(まくず)焼(神奈川県)の湯のみ。

美しい青のグラデーション。中国の伝統的な染め付けを取り入れた、気品高い逸品です。

こちらは、一度は途絶えた鍋島焼(佐賀県)の青磁。
それを復活させた大正時代の陶工・山本雄平が手がけた湯のみです。

大胆に入った貫入に墨汁を含ませた躍動感溢れる作品です。


2015年10月30日放送 「心を包む ふろしき」

こぼれ話 1

昭和40年~50年代はふろしきの生産量がおよそ1億枚という全盛期であり、同時に百貨店の手提げ袋サービスに需要が押され始めた時代でもありました。その波に負けじと誕生したのが、「ファスナー付きのふろしき」。
従来どおり包む場合はファスナーがデザインの一部となり、ファスナーを閉じれば簡単に手提げ袋になるアイデア品。昭和42年から52年の間になんと400万枚も作られ世の中にブームを巻き起こしました。最近はふろしきをオシャレに結んでバッグのように使う人も多いですがその原点はこのファスナー付きのふろしきだったのかも!?

ファスナー付きふろしき
ファスナー閉じると…
ふろしきを結んでバッグに

こぼれ話 2

江戸時代初期から続く茶道具商・戸田博さんの蔵には名だたる茶道具が眠っています。
その中に17世紀、明の時代の香合がありました。その名も呉須銀杏香合(ごすいちょうこうごう)。
名品の茶道具には戸田さんいわく「中身を期待させるいい裂(きれ)」が使われるそうですが、この香合を包むふろしきには、さらにある遊びが込められていました。
よく見ると、ふろしきにも「銀杏」の柄が使われているのです。柄と物の名を合わせる、遊び心。そんなかつての持ち主の粋がこのふろしきから感じ取れます。

戸田博さん
呉須銀杏香合とふろしき
呉須銀杏香合
銀杏柄のふろしき

こぼれ話 3

遊びと言えば、もうひとつ。こんなユニークなふろしきを見つけました。包む面によって、1枚で2つの表情が作れるふろしき。おかめにひょっとこ、泥棒に獅子舞…。思わず手にして包んでみたくなるものばかり。折り紙感覚のオチャメなふろしき。まずはこうした遊び感覚でふろしきの世界に飛び込んでみるのも楽しいですよ!

折り紙ふろしき

2015年10月16日放送 「こだわりのコーヒーポット」

こぼれ話 1

今、コーヒーの世界では清澄白河が話題。
外資系から個人営業のお店まで、こだわりのカフェが点在しています。
その中の一軒にお邪魔し、焙煎士の板原昌樹(いたはらまさき)さんにお話を聞きました。
こちらでは、産地や農場にまでこだわったコーヒー豆を世界中から厳選し、自分たちで焙煎。日本製のドリップポットで一杯ずつ丁寧に淹れています。
最近のトレンドは、フルーティーな酸味を味わえる浅めの焙煎なのだとか。
「柑橘系」「ジューシー」「スパイシー」など、板原さんのボキャブラリーは、まるでワインのソムリエのようです。

こぼれ話 2

次に訪れたのは、週末だけお店を開く奥野善治(おくののぶはる)さんのコーヒースタンド。
もともと趣味で焙煎をしていたご夫婦が始めたお店です。
数席しかない店内はご近所の家族連れの溜まり場に。
こちらも自家焙煎したコーヒー豆をハンドドリップで提供しています。
ドリップポットはやはり日本製。
豆にこだわり、一杯ずつ丁寧に淹れるのは、もともと日本の喫茶店が生み出した文化。それが逆輸入されました。道具が日本製なのも納得です。

こぼれ話 3

清澄白河には、レトロなアパートや長屋を改造したオシャレなカフェもありました。
江戸深川の情緒を残す街並にも意外とマッチしています。
清澄白河のカフェのキーワードはサードウェーブコーヒー、つまり第三の波。
60年代の第一波、90年代の第二波に続く、第三のコーヒーブームが到来しているのです。
サードウェーブは、焙煎所を併設するカフェが多く、倉庫や工場など、天井が高い建物が多い清澄白河に白羽の矢が立ちました。
今回の放送をご覧になってコーヒーを飲みたくなったら、ぜひ散策してみてください。

2015年9月18日放送 「京の路地」

こぼれ話

京都市東山区の「あじき路地」。
この路地は大家さんの意向により若手アーティストたちの活動の場となっている。厳密なルールはないものの、「売れたら路地を巣立つ」という、「暗黙の了解」のようなものがあると言う。
そのため、数年サイクルで空き部屋が出るが、すぐに埋まるという。
若者たちにとっての路地の魅力はそれぞれ。

絵師のディレクションをしている、島直也さん
「路地の人の声が聞こえる、人の空気を感じる、軒下に置かれた自転車など人の生活感を感じる」

革職人 田中礼士さん
「以前はイタリアのフィレンツェの工房で修行をしていたが京都の路地はフィレンツェと空気感が似ている」

最近引っ越して来たばかりの 品部哲平さん
「静かで家の中にいながらにして季節や気温を感じる事が出来る。あえて人との近さの中でルールを守りながら生きていきたい」

彼らが路地を巣立った後、その活躍の場を訪ねてみるのもいいかもしれません。
(ディレクター 米田裕二)


2015年5月22日放送 「現代に輝く、七宝」

こぼれ話 1

加藤勝己さん

七宝職人として40数年、七宝のことだけを考えながら生きてきたという、加藤勝己(かとうかつみ)さん。
息子に代を譲ってからは経営を離れ、「省胎七宝(しょうたいしっぽう)」の研究と製作に明け暮れる日々です。

ガラス質の七宝は、制作過程でただでさえヒビが入りやすいのですが、省胎七宝は内側の金属を薬品に浸け、化学反応で溶かすため、さらに負担がかかりヒビが入りやすくなります。それでも加藤さんは数ミリのヒビも妥協しません。完璧で納得できる作品ができるまで、何度でも作り直します。

そんな加藤さんの姿に憧れて、工房に通ってくる“お弟子さん”もいるのだとか。
こちらは、そのお弟子さんの作品。
弟子の作品(アジサイ)
加藤さんの作品と比べると、細密さはありませんが、アジサイの額を〇で描くことで柔らかい雰囲気を醸し出しています。
「これが、弟子の作品です。」と私たちスタッフにみせてくれた、加藤さんの顔には、満面の笑みが溢れていました。

こぼれ話 2

トイレのサイン(京都迎賓館)
京都迎賓館の扉の取っ手を手掛けた、愛知の職人さんたち。
シンプルながら上品で洗練されたデザインがとても素敵でした。
実は、京都迎賓館には、他にも七宝が使われている場所があります。
ひとつが、トイレのサイン。
少し光沢のある折り紙で折られたようなかわいらしい、お内裏様とお雛様です。
衝突防止の桐紋
もうひとつが、衝突防止のため、透明なガラスに貼られている桐紋。
ちょっとしたところに、さりげなく、キラリと光る。
まさに、日本の奥ゆかしい美意識をここに見た気がします。
時代と共に形を変え、進化してきた七宝。まだまだ、その進化はとどまるところを知りません。
(ディレクター 橋村)
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