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~9月号~「障害から価値を見いだせ!」

2020年東京五輪・パラリンピックまで1年を切り、今、注目されているのが「ユニバーサルデザイン」。障害の有無や年齢などに関わらず、誰もが利用しやすいように作られたデザインです。この視点から施設の設計や改良のアドバイスを行い、成長している会社が大阪にあります。社長の理念は「バリア(障害)をバリュー(価値)に」。障害をなくすだけでなく、そこから価値を生み出そうというのです。果たしてどんな価値が…!? 経営の原点を探ります。

壺ナビゲーター:増田英彦(漫才師)

【放送】2019年9月29日(日) 総合テレビ 午前 7時45分〜 8時25分

メインコーナー

株式会社ミライロ 社長 垣内俊哉さん

社長の垣内俊哉さん(30)は骨が弱く折れやすい病気で、小学5年生の時から車いすの生活を送っています。大学時代、アルバイトで営業活動をする中で「障害があることが、自分の強みではないか」と気づき、起業を目指す友人と会社を興しました。会社には、車いす利用者や聴覚・聴覚などに障害がある社員がいて、障害者の目線から施設などの問題点を洗い出し、アドバイスを行っています。バリア(障害)を指摘し、取り除くだけではなく、誰もが利用しやすいように改善することで多くの人が訪れ、その施設・企業にはバリュー(価値)が生まれるというのが、垣内さんの考え方です。6年前にはどんな相手にも心配りが出来るマナーを身につける検定事業をスタート。ハード面だけでなく、ハートの部分からもユニバーサルデザインを広めようとしています。

わが社の働く知恵

わが社の働く知恵

障害者と健常者が共に働くこの会社が大切にしているのがコミュニケーションです。社内での会議や打ち合わせでは、発言が即座に文字に変換・表示されるコンピューターソフトを活用。聴覚に障害のある社員もリアルタイムで議論に参加できます。文字化され、記録としても残るので議事録にもなっています。

イノベーションの芽

イノベーションの芽

交通機関や施設によって割引を受けることが出来る障害者手帳。ところが、自治体によって大きさや色がばらばらで、更新もほとんどないため、ぼろぼろになった手帳を持っている人も多くいます。垣内さんの会社では手帳の代わりにスマートフォンの画面で本人確認ができるアプリを開発。これを新たなビジネスにつなげようとしています。


ベンチャー企業コーナー

株式会社 エムアールサポート 社長 草木茂雄さん

株式会社 エムアールサポート
社長 草木茂雄さん

傷んだ道路の修繕工事をするには、ひび割れの有無や凹凸具合、構造物の確認などしなければなりません。そのためには車が往来する中で作業員が道路に出て測量を行うため、常に危険が伴っていました。草木さんの会社では、3Dスキャナーと小型のドローンを使って現場の状況を細かく収集。そのデータを基に、パソコン上での測量が可能になったため、安全で、現場での作業時間もおよそ5分の1に短縮することが出来ました。今後は、この測量方法を文化財の修復時に活用できる新たなビジネスに育てようと考えています。


わが社のルーキー

株式会社 スミリンケアライフ 介護福祉士 本村帆奈海さん

株式会社 スミリンケアライフ
介護福祉士 本村帆奈海さん

今回のルーキーは介護福祉士の本村帆奈海(モトムラ・ホナミ)さん、22歳。本村さんが“介護の仕事”を選んだきっかけは、高校生の頃に認知症の祖母に優しく寄り添う介護福祉士の姿に感動したことでした。半年前に今の会社に入社し、老人ホームで認知症患者の介護を行っています。本村さんは、外に出られない入居者にも季節を感じてもらいたいと、ロビーにモミジの飾りつけを行うなど細かな気配りも忘れません。「将来は“この人だったら安心する”と思ってもらえる介護福祉士になりたい」と夢を語りました。


コメンテーターの真山仁さんに、「真山の目」に込めた思いと、収録を終えた感想を語ってもらいました。

真山の目

ネガをポジにすることで、新たな価値とビジネスが生まれる!!

ネガとポジはフィルムのことを言いますが、もともとはネガティブとポジティブという言葉に由来します。今までマイナスだ、障害だと思っていたことを、考え方を変えて、そこに価値を見出すことによって、新しいビジネスチャンスにつながっていくのです。
 
垣内さんの会社だけでなく、草木さんの会社でも、道路の測量という仕事が厳しいからこそ、逆にポジティブにできないかと考え、3Dスキャナーやドローンという新しい技術を使うことを思いついたのです。
 
日本社会の良くない傾向は、ダメだと思ったところで思考が止まってしまうことです。そうではなくて、ダメだったらどうすればよいのかということを、それまでの経験だけで考えず、少し引いたところから視点を変えて考えてみる必要があります。
 
まさにドローンのように上から俯瞰して見ると、別の選択肢に気づいたり、マイナスだと思っているのは自分たちだけで、上手にビジネスに使えば、新たな価値を提供できるということに気づく可能性があるのです。一番良くないのは、何も変わらない凪のような状態です。
 
今回の2つの企業を見ていく中で、ネガティブな面を持っているということは、実はチャンスの種を持っているのだという発想の転換が必要だと痛感しました。

真山の目
ネガをポジにすることで 新たな価値と ビジネスが 生まれる!!

もっと真山の目

垣内さんのように障害を持っている方が、障害をビジネスとして扱い、障害を克服することで儲かりますよと言えるのは、強い自信がないとできないことなので、とても印象的でした。しかも、ビジネスに繋がるという掛け声だけに終わらず、実践し、成功しても安住していない。ひとつのビジネスモデルができているわけですから、横に拡大することもできるはずですが、垣内さんは、もっと前へいこうとしています。そのバイタリティも含めてベンチャー企業のひとつの成功例ではないかと思いました。
 
草木さんの会社は、AIやITなどの技術をどうすれば上手に使いこなせるかを示す良い例です。背景には、3Dスキャナーの価格が下がっていたり、ソフトを使いこなす技術者が増えてきたりしたことがあると思いますが、大手でもびっくりするような技術を上手に使いこなしています。一般的にAIやITは中小企業には関係ないという先入観があるのですが、それを打ち破るのではないでしょうか。
 
今回取材した両社に言えることは、彼らの目はずっと未来に向かっています。自分たちの欠点を見つめた結果として未来が見えてくるということは、様々な会社や個人にも当てはまると思いますのでぜひ多くの方に参考にして欲しいと思いました。

もっと真山の目
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