2019年度 こころの時代 名言集

2020年3月29日放送「レンズで見つめた生と死の時」

2020年3月29日放送「レンズで見つめた生と死の時」

写真家・江成常夫さんの言葉から
「死を覚悟した病を患い、老いを重ねるなかで、自分が見つめてきた他者の生と死は、自分の生と死と同一線上でつながっていると思うようになりました」


戦後、米兵と結婚し海を渡った花嫁、旧満州に置き去りにされた戦争孤児、原爆の傷跡、南洋の島々に今も散らばる兵士たちの遺骨―。江成常夫さんは、それらの撮影の文脈を「昭和の戦争」を記録する行いと位置づけ、耐え難い生と死を強制された名もなき人々を見つめてきた。やがて自らもガンにおかされ死の影に苦悩する。今、朽ちてゆく果物や野菜に目を向け、他者と自己の生と死のつながりに思いを寄せる江成さんに聞く。

【出演】写真家…江成常夫,【きき手】鈴木健次,【語り】守本奈実

2020年3月22日放送「己の影を抱きしめて」

2020年3月22日放送「己の影を抱きしめて」

翻訳家・児童文学評論家 清水眞砂子さんの言葉より
「(『ゲド戦記』の中で主人公が)自分の中の悪を排除するのではなくて抱きしめる、それはものすごく魂の救済だと思った」


児童文学の世界的名作『ゲド戦記』の翻訳で知られる清水眞砂子さん(78)。子どもの本の魅力を多くの人に伝えてきた。周囲になじめず深い悩みを抱えた思春期。“自分の影に目を向け、抱きしめること”の 大切さに気付かせてくれたのは、文学の言葉だった。大学の教員として、若者の“生きにくさ”とも向き合ってきた清水さん。“平和を生き延びる”ことの大切さ、そして、児童文学に込められた人々の祈りについて話を伺った。

【出演】翻訳家・児童文学評論家…清水眞砂子

2020年3月15日放送「マンダラと生きる 第6回 マンダラと日本人」

2020年3月15日放送「マンダラと生きる 第6回 マンダラと日本人」

生命誌研究家・中村桂子さんの言葉より
「とっても素晴らしいものだけで物事をやっているんじゃなくて、変なものが、あるとき、とっても役に立つことをやりました、なんてこともある」


インドで生まれ、平安時代、空海によって日本にもたらされたマンダラ。それから1200年、日本では、従来の姿とは大きく異なるマンダラが次々と登場していった。自然を大きく扱ったものや、一頭の鹿が描かれたもの。そこにはどんな祈りが込められているのか。そして、現代に生まれた受精卵が中心に描かれた「生命誌マンダラ」。マンダラの持つ可能性はさらに広がっている。日本で独自の発展を遂げたマンダラの世界を読み解く。

【出演】宗教学者…正木晃,【きき手】渡邊あゆみ

2020年3月8日アンコール放送「隠れ病む人々と歩む」

2020年3月8日アンコール放送「隠れ病む人々と歩む」

僧侶 中嶌哲演さんの言葉より
「すべての生き物にとって命は愛しい。それは自分も他人も同じ。だから、己が身にひきくらべて殺してはならない、殺させてはならない」

福井県の名刹、明通寺の住職・中嶌哲演さんは、地道な托(たく)鉢によって被爆者を支援し、若狭湾に集中する原発に不安を抱く人々の声を届けようとしてきた。その原点には、広島や長崎で被爆した後、自らを「隠れ病む身」と呼び、世間の目から逃れるように故郷に帰って戦後を生きて来た人々の姿があった。仏教者として行動し続ける中嶌さんを支えた言葉「自利利他」とは何なのか、人生の軌跡を伺う。

【出演】真言宗御室派 明通寺住職…中嶌哲演

2020年3月1日放送「心のケアから品格ある社会へ」

2020年3月1日放送「心のケアから品格ある社会へ」

精神科医 安克昌さんの言葉から
心のケアを最大限に拡張すれば、それは住民が尊重される社会を作ることになるのではないか。
それは社会の「品格」に関わる問題だと私は思った。


阪神・淡路大震災後の神戸で心のケアのパイオニアとして奮闘した精神科医・安克昌さん。在日という出自に向き合いながら精神科医として人生を切り開き、39歳の若さで亡くなるまで、被災者や多重人格の患者、人の心の傷に寄り添い続けた。ジャズと家族をこよなく愛する素顔、怒りをもって日本社会を見つめる視線、人間的な魅力にあふれる安克昌さんの生き様を関係者の証言、ドラマで安先生を演じた柄本佑さんの朗読で描く。

【出演】精神科医…名越康文,一橋大学大学院教授…宮地尚子,ひょうごこころの医療センター所長…田中究,【朗読】柄本佑

2020年2月23日放送「奇跡の森と真言密教」

2020年2月23日放送「奇跡の森と真言密教」

金剛峯寺山林部長・僧侶 山口文章さんの言葉から
「本来、人間には『大宇宙の力』を感じとる力が備わっているんです。
幸せに生きるには、『大自然の見えない力』に気づくことが絶対必要だと思います」


1200年前、弘法大師空海が開創した高野山・金剛峯寺には全国の寺でも珍しい「山林部」という部署があり、樹齢700年の霊木が立ち並ぶ奇跡の森は僧侶や信徒の手で徹底管理され「信仰の森」として大切に守られてきた。山林部長の山口文章さんに、高野山の森と信仰についてお話を伺い、真言密教の奥深い教えを体験的に語っていただく。聞き手はNHK大阪の政野光伯アナウンサー。

【出演】金剛峰寺山林部長…山口文章,政野光伯

2020年2月16日アンコール放送「マンダラと生きる 第5回 むすびつけるということ」

2020年2月16日アンコール放送「マンダラと生きる 第5回 むすびつけるということ」

宗教学者・正木晃さんの言葉から
「外に向かう活動と、内を清めて行くような実践というのは両立しないと上手く行かない気がするんですよ。」


日本では、胎蔵マンダラと金剛界マンダラという2つのマンダラが、教えの根幹として伝承されてきた。胎蔵マンダラは、利他行と慈悲の心。金剛界マンダラは、悟りへの修行法を説く。大きく性格の異なる2つのマンダラを結びつけたのは、空海の師・恵果和尚。恵果は、マンダラを空海に託し、人々の幸福に役立てるよう説いたという。その後の空海の人生を大きく変えた2つのマンダラ。空海の行動をもとに、その智慧をひもとく。

【出演】宗教学者…正木晃,【きき手】渡邊あゆみ
2020年2月9日放送アーカイブス「長き戦いの地で」

2020年2月9日放送アーカイブス「長き戦いの地で」

医師・中村哲さんの言葉から
人間というのは誰でも、人を殺した後は必ず後悔の念が湧くもんなんですね。「復讐するな」という聖書の言葉には、人間が作った掟を超えて、もっと本質的なところで一致しようというハッキリしたものがあった気がするんです。


昨年12月、アフガニスタンで銃撃され亡くなった医師の中村哲さんは、およそ40年にわたって医療援助や農地をよみがえらせる活動を続けてきた。番組はアメリカ同時多発テロの後、アフガニスタンへの空爆が始まった2001年に制作。空爆下の食糧支援や長い内戦の傷を抱え続けてきた人々の現実、何があってもそこにとどまり続けることによって結ばれてきた、信頼による絆の意味を語る。

【出演】医師 NPO「ペシャワール会」現地代表…中村哲,【きき手】迫田朋子

2020年2月2日放送「生死を物語る」

2020年2月2日放送「生死を物語る」

飛騨千光寺住職・大下大圓さんの言葉から
「患者さんや家族が語る真実の言葉、本心、本性に触れることは、
まさに仏と向き合うときの気持ちと同じなんです」


岐阜県高山市、標高千メートルに位置する飛騨千光寺・24代目住職の大下大圓(おおした・だいえん)さん。僧衣姿で医療や福祉の現場に出向き、30年以上にわたり、末期のがん患者、夫に先立たれた妻、そして医療者たちの苦悩や葛藤に寄り添い続けてきた。心の奥底にある声に深く耳を傾け、「死」を見つめながら「生」を語らう。「希望を持つことは死の直前までできる」と説く大圓さんに、活動の原点や信念について聞く。

【出演】飛騨千光寺住職 臨床宗教師…大下大圓

2020年1月26日放送「心の置き去り ほっとかれへん」

2020年1月26日放送「心の置き去り ほっとかれへん」

NPO法人代表・牧秀一さんの言葉から
「あなたのことは忘れていませんよというメッセージ。
人は人によってのみ、救うことができる」


阪神・淡路大震災から25年がたちます。地震発生9日後から、被災者の支援活動を続けてきた震災NPO「よろず相談室」の牧秀一さん。孤立しがちな一人暮らしの高齢者や震災で障害を負った震災障害者を訪問し、思いや悲しみに耳を傾けてきました。「ほっとかれへん」という思いで、25年に渡る活動を続けてきた牧さん。被災した人々に、どう寄り添ってきたのか。牧さんの長年の活動は何が支えになったのかうかがいます。

【出演】NPOよろず相談室理事長…牧秀一

2020年1月19日アンコール放送「マンダラと生きる第4回 心をきわめる」

2020年1月19日アンコール放送「マンダラと生きる 第4回 心をきわめる」

「そうならないかん」と思ってはダメで「なっていく」、
はじめからイメージなしに「なっていく」


金剛界マンダラは、弘法大師・空海が唐から持ち帰った最も重要なマンダラのひとつ。この身このままで悟りに至る“即身成仏”のための道を説く。密教が考える悟りは、本尊である大日如来と自らが、本質的に同じであるという実感を持つこと。金剛界マンダラには、その実感を得るための瞑(めい)想法があらわされている。強い自己肯定感と他者への慈しみにもつながるという、その深遠な教えの世界を読み解く。

【出演】宗教学者…正木晃,【きき手】渡邊あゆみ

2020年1月12日アンコール放送「にんげん宣言」

2020年1月12日アンコール放送「にんげん宣言」

山内きみ江さんの言葉から
「私を果物に例えたら、木から落ちて踏まれたり蹴られたりするリンゴかもしれない。でも、人が食べてくれるまで頑張ろうと思う。リンゴはリンゴなんだ。人間は人間なんだ」


国立ハンセン病療養所「多磨全生園」で暮らす山内きみ江さん。差別や偏見から、多くを失い、諦めざるを得なかったきみ江さんの転機は、67歳の時、当時、高校を卒業したばかりの真由美さんを養女に迎えたことだった。さらに、社会復帰を目指し、園の外での生活も体験した。人権を踏みにじられながら生きてきたきみ江さんに、人間とは何か、母としての思い、そして、次代に伝えたいメッセージを伺う。(2018年12月放送)

【出演】山内きみ江

2020年1月5日アンコール放送「歌読みとして今を生きる」

2020年1月5日アンコール放送「歌読みとして今を生きる」

歌人 馬場あき子さんの言葉から
「一匹の鬼を心に飼うことが大事。私は愛しているんですよ、鬼を」


歌人・馬場あき子さん、91歳。その原点は戦争体験。戦後の焼け野原の中で自分が一個の“物”ではなく、一人の“人間”であることに気づいた。教師となり、歌を詠みながら、能や古典の研究にも打ち込んできた馬場さん。たとえ国が滅んでも、歌や芸能によって言葉が守られれば、人々の”いのち”は失われないと語る。常に心に一匹の“鬼”を飼ってきたという馬場さんの半生を数々の歌とお話でたどる。(2019年3月放送)

【出演】 歌人…馬場あき子

2019年12月29日アンコール放送「命の輝きをうつす」

2019年12月29日アンコール放送「命の輝きをうつす」

映像作家・保山耕一さんの言葉
「繊細な月はゾクッとしますよ。真剣に探さなければ見つからないんですよ。でも、誰でも見ることができる。見つけた先には極上の美がそこにはある」


奈良県在住の映像作家・保山耕一さん。末期のがんを抱えながら、毎日、奈良の自然や寺社仏閣を撮影している。その日に撮った映像はすぐさま編集してSNSで発表。「奈良の365日の季節のうつろいを写した作品」は「涙が出る」「神様の気配がする」と静かな反響を呼んでいる。自らの死と向き合いながら、奈良の風景を写し続ける保山さんにレンズの先に見つめる世界について伺う。(2019年2月放送)

【出演】映像作家…保山耕一,春日大社宮司…花山院弘匡,【司会】住田功一
 

2019年12月22日放送「沈黙は共犯 闘う医師」

2019年12月22日放送「沈黙は共犯 闘う医師」

婦人科医・ノーベル平和賞受賞者 デニ・ムクウェゲさんの言葉から
アフリカには「ウブントゥ」という言葉があります。「あなたがいるから私も存在できる」という意味の人間の根源的あり方を示す言葉です。


婦人科医デニ・ムクウェゲさんが暮らすコンゴ東部は、スマホなどの通信機器の部品に使われるコルタンなど希少金属の利権をめぐり、武装勢力が殺戮や残虐な性暴力を繰り返す。治療してきた女性は20年間で55000人。なぜ、紛争鉱物とレイプが結びつくのか。牧師の息子として生まれ、敬虔なキリスト教徒でもあるムクウェゲさんが医師として生きることを決めた理由は何か。その闘いの日々とそれを支える信条や人生について伺う。

【出演】婦人科医・ノーベル平和賞受賞者…デニ・ムクウェゲ,【きき手】道傳愛子

2019年12月15日アンコール放送「シリーズ マンダラと生きる 第3回 世界とつながる」

2019年12月15日アンコール放送「マンダラと生きる 第3回 世界とつながる」

宗教学者 正木晃さんの言葉から
「胎蔵曼荼羅(たいぞうまんだら)はまるごとの世界、何事も否定しない。そのようにもう一度、私たちが自然と向き合わないと。いいとこ取りでは済まないんですよね。」


胎蔵マンダラは、空海が唐から持ち帰った最も重要なマンダラのひとつ。密教の本尊・大日如来の広大無辺の慈悲を説く。描かれているのは、ほとけばかりでなく、地獄に住む鬼や異教であるヒンドゥー教の神々の姿も。あらゆる存在を等しく尊いとみる革新的な世界観を提示している。さらに、胎蔵マンダラには星や星座などの天体も描かれている。自然と人間はどう関わってゆくべきか、そこに込められた現代的なメッセージも読み解く。

【出演】宗教学者…正木晃,【きき手】渡邊あゆみ

2019年12月8日アンコール放送「“今ここ”に気づく」

2019年12月8日アンコール放送「“今ここ”に気づく」

タイ・スカトー寺副住職 プラユキ・ナラテボーさんの言葉から
「ブッダが教えているのは、『苦しみがあること』と『苦しむこと』は違うよ、ということ」


タイで出家した日本人僧侶プラユキ・ナラテボーさん。タイ・スカトー寺の副住職を務めながら不安を抱える多くの日本人の悩みに答えてきた。彼らに心の安らぎを取り戻してもらうために実践しているのが「手動瞑(めい)想」。手を繰り返し動かし、今この瞬間に意識を向ける修行だ。過去や未来を思い煩うのではなく、今をしっかり見つめる事で、自由な生き方ができると説くブッダの言葉を読み解く。

【出演】タイ・スカトー寺副住職…プラユキ・ナラテボー

2019年12月1日放送 「戦場から祈りへ」

2019年12月1日放送 「戦場から祈りへ」

写真家・桃井和馬さんの言葉から
「私たちは地球の今、この時、21世紀に一瞬だけ住むことを許されているんだ」


写真家の桃井和馬さん(57歳)は、世界140か国以上をまわり戦場や紛争地の写真を撮ってきた。しかしある時から、争いではなく、自然など人間を超えた大いなるものにレンズを向け始めた。そして桜美林大学の客員教授を務める現在、学生たちと共にスペインの巡礼路約1000キロを歩く活動をしている。なぜ桃井さんの被写体は変わっていったのか?なぜ、いま学生たちと共に巡礼路を歩くのか?桃井さんの歩みをうかがう。

【出演】写真家…桃井和馬

2019年11月24日放送 わたしにとっての3.11「福島を語る言葉を探して 」

2019年11月24日放送 わたしにとっての3.11「福島を語る言葉を探して 」

作家 安東量子さんの言葉から
「ずっと怒っているのを怒りとして表明しないで奥歯をかみしめてこらえる。すると、それが祈りになる。そして、行動で示すということもまた祈り」


安東量子さん、43歳。福島県いわき市で田舎暮らしを楽しんできたが、福島第一原発事故で生活は一変した。今年2月、事故から8年の日々を綴った『海を撃つ』を出版し、話題を呼んだ。その根底には、福島の人たちが直面してきた出来事や葛藤を“無かったことにされたくない”という思いがある。事故に直面して問い直した自らの生き方、福島で暮らす中で見つけた、“立場の違う他者と生きていく上で大切なこと”を語ってもらった。

【出演】安東量子【語り】濱中博久【朗読】上田早苗

2019年11月17日アンコール放送「マンダラと生きる 第2回」

2019年11月17日アンコール放送「マンダラと生きる 第2回 密教のなりたち」

宗教学者 正木晃さんの言葉から
「すべての人の中に、小さいかもしれないが仏となりうる可能性が宿っている。
大乗仏教にはそういう独自の発想がある。」


仏教の伝来から250年あまりが経った9世紀初め、日本に新たなタイプの仏教、密教が伝わった。この密教こそがマンダラの生みの親。日本における密教の第一人者、弘法大師・空海は、当時の日本人にとって新しい儀礼「護摩」を取り入れた。所願の成就を願う護摩で修行者はいくつもの象徴(シンボル)を駆使して、仏と一体となることを目指す。そこでは何が行われているのか。密教とマンダラの関係の一つ、めい想についても考える。

【出演】宗教学者…正木晃,【きき手】渡邊あゆみ

2019年11月10日放送「人生 漂えど沈まず」

2019年11月10日放送「人生 漂えど沈まず」

芸術家 篠原勝之さんの言葉から
「もう、一日一日とこう、朝を迎えて、夜が来て。
漂えど沈まず、
ふわふわ漂っているけれども、沈まねえっていうことだよな。」


芸術家、クマさんこと篠原勝之さん77歳。モンゴルやサハラ砂漠、四万十川など世界の辺境を舞台に、巨大な鉄のオブジェを作り続けてきた。篠原さんは今、甲斐駒ヶ岳の麓の工房で、初めての自伝的小説を書き、自作の窯で小さな茶碗を焼く。廬舎那(るしゃな)池と名付けた庭の蓮池には、東大寺ゆかりの蓮華の花。一即一切、17歳の時、室蘭から家出して上京した篠原さんの、風の夢に漂うような芸術家人生を話していただく。

【出演】彫刻家・作家…篠原勝之,【語り】小野卓司

2019年11月3日放送「砂浜に咲く薔薇(ばら)のように」

2019年11月3日放送「砂浜に咲く薔薇(ばら)のように」

女優 サヘル・ローズさんの言葉から
私は「何のために生まれてきたんだろう」ってずっと思ってきたけど、今は本当に これは言える。
私は人と出会うために生まれ、そのために生かされている。


イランで戦争孤児となったサヘル・ローズさんは、養母のフローラさんと救いを求めて来日後も、壮絶ないじめや極貧のホームレス生活などの過酷な体験を重ねた。自ら命を絶とうとした時、母子関係に劇的な変化が生まれる。「生かされている意味」を考え続けて格闘してきた人生。難民地域などの世界の子供たちを訪ね、自分が「今」を生き抜く「種」をまき、育てる旅を重ねている。次々と襲い掛かる現実を乗り越えて生きる思いを聞く。

【出演】サヘル・ローズ

2019年10月27日アンコール放送「あたたかな弁当に宿る心」

2019年10月27日アンコール放送「あたたかな弁当に宿る心」

ボランティア団体代表 トニー・テイさんの言葉から
「私たちは弁当を配り貧しい方々を助けますが、彼らもまた教えてくれるのです。人生とは何かを。私たちこそが受け取る側なんです。私たちの心は貧しい。私たちこそ、助けが必要なのです」

シンガポールは世界で最も裕福な国の一つ。しかし、そこには人知れず苦しむ数多くの貧しい人々がいる。トニー・テイさんは、休む日もなく15年間、彼らに無料で弁当を届けて来た。その弁当配達は今や大きなボランティア団体に成長し、数も6000食ほど。その原点には、修道院で育った彼自身の貧しく厳しい生い立ちがあった。早朝から始まるトニーさんの活動に密着し、彼が何を信念として来たか、その背景にある思いを聞く。

【出演】ボランティア団体代表…トニー・テイ,【きき手】道傳愛子

2019年10月20日アンコール放送「マンダラと生きる 第1回」

2019年10月20日アンコール放送「マンダラと生きる 第1回」

宗教学者 正木晃さんの言葉から
「文化や文明、地域や時代を超えて私たちの無意識には共通のものが眠っている。
それが具体的な形をとったものがマンダラだと言えるかもしれない。」

マンダラとは、密教が世界や心の構造に関する最高の真理を、言葉や文字ではなく、視覚を通して伝えるために開発した図像だ。その特徴は幾何学的な構成や強い対象性。日本では1200年ほど前に空海が留学先の唐から持ち帰って以来、独特の展開を遂げてきた。一方で、密教のマンダラとは縁がない地域にもマンダラに似た図像が存在する。これはマンダラ型の図像が人類に共通する深い精神性と無縁ではないことを示唆しているという。

【出演】宗教学者…正木晃,【きき手】渡邊あゆみ

2019年10月13日アンコール放送「山の人生 山の文学」

2019年10月13日アンコール放送「山の人生 山の文学」

作家・宇江敏勝さんの言葉から
「山の現場で働く人が文章を書く、本を書くという例は他になかった。今まで誰も書かなかった世界に、自分は生きている。だから、『自分が書くべきや』と」

熊野古道に近い和歌山県田辺市中辺路町に暮らす作家の宇江敏勝さん(81)。炭焼きの家に生まれた宇江さんは、自ら炭焼きや山林労働者として働き、山人たちの暮らしをつづった数々のルポルタージュを発表してきた。そして2011年から、果無山脈や十津川などを舞台に、山の民の信仰や伝説を描いた民俗伝奇小説を書き継いできた。熊野に生き、そして書いた、宇江さんのはるかなる山の人生と文学について語っていただく。

【出演】作家…宇江敏勝

2019年10月6日アンコール放送「終わりなき“平和への巡礼”」

2019年10月6日アンコール放送「終わりなき“平和への巡礼”」

牧師 日本聖公会首座主教・植松誠さんの言葉
「赦し」とか「愛する」とかいう言葉を軽々しく口にするのは危ない。「謝罪」とは、そこから自分がどうやって生き始めるか問われ、生き方が変わっているはずのものです。


父が牧師という家庭に育った植松誠さんは、若い頃、「汝の敵を愛せ」という教えを“きれいごと”と感じ反発した。しかし、アメリカ留学中の元日本軍捕虜米兵との劇的な出会いにより、一度は離れようとした聖職の道を目指す。人は憎しみや怒りを乗り越えられるか。真の和解や赦しはあり得るのか。日本聖公会首座主教として、世界宗教者平和会議日本委員会理事長として、日々問い続ける植松さんに、自らがたどった人生と思想を伺う。

【出演】牧師 日本聖公会首座主教…植松誠

2019年9月29日アンコール放送「積極的感受」

2019年9月29日アンコール放送「積極的感受」

作家・ドリアン助川さんの言葉
「自然界とか、この世が与えてくれるものは何を見ても面白い。私たちはそれを見るために生まれてきた」


90年代後半、ロックバンド「叫ぶ詩人の会」のボーカルや、中高生向けの深夜ラジオのDJとして人気を博したドリアン助川。作家としての著作も多く、2013年に発表した小説「あん」はフランスやドイツなどで翻訳、映画化もされ、カンヌ国際映画祭で高い評価を受けた。生産性や効率が重視される現代、ドリアンは「積極的感受」という生き方を提案する。人は何のために生きるのか、新宿・ゴールデン街の酒場で対話を重ねた。

【出演】作家…ドリアン助川

2019年9月22日アンコール放送「詩人 尹東柱を読み継ぐ人びと」

2019年9月22日アンコール放送「詩人 尹東柱を読み継ぐ人びと」

詩人・尹東柱(ユン ドンジュ)の詩から
「人生は生きがたいのに 詩がこうもたやすく書けるのは 恥ずかしいことだ」

尹東柱(ユン ドンジュ)は、韓国人なら誰でも知っている詩人。日本の植民地支配下で、自らの母語、朝鮮語で詩を書き続けた。日本の大学で学んでいたとき、治安維持法違反容疑で逮捕され、1945年2月16日、福岡刑務所で獄死した。27歳だった。番組では、尹東柱の詩を読み継ぐ人たちを、日本各地に訪ね、詩人の足跡をたどる。それぞれに詩を読み解くことで、厳しい時代を、誠実に生きた詩人の深い心のうちに触れる。

【出演】日本聖公会奈良基督教会 牧師・司祭…井田泉,京都大学 名誉教授…水野直樹,詩人 尹東柱を記念する立教の会 代表…楊原泰子,福岡・尹東柱の詩を読む会 代表…馬男木美喜子

2019年9月15日放送「シリーズ 禅の知恵に学ぶ6 生かされて生きる

2019年9月15日放送「シリーズ 禅の知恵に学ぶ 第六回 生かされて生きる」

正眼寺住職 正眼僧堂師家・山川宗玄さんの言葉
「自力で坐っている段階ではだめで、天地の中にとけ込んでいく、万物とひとつになっていく。そうすると小さな命ではなく大いなる命が動き出す。まかせればいいんです」


岐阜県美濃加茂市にある禅の修行道場、正眼僧堂では、一月の大寒の時期に最も厳しい修行が行われる。一週間を一日と考え、横にもならず、毎日15時間以上を坐りぬく「ろうはつ大接心」。雲水たちは、本来の自己とは何かを探究し続ける。寒さや疲労など、自分の力ではどうにもできない極致には、そこでしか開かれない世界があると言う。自分の思いを超えて生かされているいのち。その大いなる世界をさまざまな角度からうかがう。

【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄,【語り】渡邊あゆみ

2019年9月8日放送「長崎の祈り―水がめを運ぶ人々に導かれて―」

2019年9月8日放送「長崎の祈り―水がめを運ぶ人々に導かれて―」

司祭・古巣馨さんの言葉
「人前で疲れたと言うな。言ってしまえば報いは終わる。疲れたときは、誰もおらん所で神様にそっと言え」。これが、私の母が受け止めた信仰だったんでしょう。


去年、250年にも及んだ禁教期の信仰を物語る12の資産が、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録された。カトリック長崎大司教区の司祭・古巣馨さん(64)は、五島列島・奈留島の出身。祖先は禁教期を生き抜いたキリシタンだ。激しい弾圧の下で多くの血が流された長崎で、人々はなぜ信仰を守り抜くことができたのか。この地に生きる司祭として、古巣さんは、自らに問い続けてきた。

【出演】カトリック長崎大司教区 司祭…古巣馨

2019年9月1日アンコール放送「最期のときの思いをつなぐ」

2019年9月1日アンコール放送「最期のときの思いをつなぐ」

看護師・村松静子さんの言葉
「心の声を聞くことが看護にとって絶対必要。たとえ話せない人でも、心の声は聞こえる。それを看護職は絶対に忘れてはいけない」


村松静子さんは、まだ訪問看護制度がなかった1986年、勤めていた病院を辞め、日本で初めての在宅看護会社を設立。訪問看護師のパイオニアとして活動を続け、これまでに3千人以上の最期を看取(みと)ってきた。悔いの残らない幸せな死とはどのようなものなのか。そして看護師には何が出来るのか。医師と患者、家族の間の懸け橋となり患者さんがその人らしく最期まで生き抜く手助けをする看護師のこころについてお話しいただく

【出演】看護師・在宅看護研究センター代表…村松静子,【語り】中條誠子

2019年8月25日アンコール放送「外国人収容者と共にありて」

2019年8月25日アンコール放送「外国人収容者と共にありて」

牧師・柚之原寛史さんの言葉
「難民」とは遠い外国や地球の裏側の人たちのことだけではなく、あなたも私自身も「難民」だと思います。誰しも、乗り越えられそうもない苦難に直面した経験を持ち、皆それぞれの「難」を抱えて生きていると思うからです。

難民認定を待つ外国人などが収容されている長崎県大村入国管理センター。強制退去を待つ身だが、帰国すると身の危険があるなどの事情を抱え、長期収容が常態化している。先の見えない日々の中で極限状況に達する人たち。柚之原寛史さんは2005年から13年間のべ3800人と面会を続けてきた。全国に例のない礼拝活動もしている。その背景には彼自身が経験した人生の苦しみや目覚めがあった。【初回放送2018年9月30日】

【出演】牧師…柚之原寛史

2019年8月18日「シリーズ 禅の知恵に学ぶ 第五回 いのちをいただく」

2019年8月18日「シリーズ 禅の知恵に学ぶ 第五回 いのちをいただく」

正眼寺住職 正眼僧堂師家・山川宗玄さんの言葉
「餓鬼道に落ちた者は、人が物を食べる音に非常に敏感に反応するんだそうです」

岐阜県美濃加茂市にある禅の修行道場、正眼僧堂では、日々の食事のほとんどを、托鉢に頼っている。遠くは20キロ離れたところまで歩いて行き、一軒一軒喜捨を乞う。いただいたものを無駄なく調理するのが典座(てんぞ)という役割の雲水。食物のいのちが損なわれぬよう、一瞬を見逃さぬ修行が続く。質素な食事を作法にのっとって食べる。一見、堅苦しく感じる暮らしの中で実感することとは?食べるという事をあらためて考える。

【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄

2019年8月11日アンコール放送「アメリカで生きる仏教」

2019年8月11日アンコール放送「アメリカで生きる仏教」

浄土真宗僧侶・ケネス田中さんの言葉
「仏教の悟りっていうのは、何か遠い、手の届かないようなものじゃなくて、究極には幸せになるということ。釈尊は究極に幸せになった方だと思う」

僧侶のケネス田中さんは、日本におけるアメリカ仏教研究の第一人者。家族と共に10歳で渡米し、13歳の時、北カリフォルニアの仏教会で浄土真宗に出会った。激動の60年代、アメリカで青春時代を過ごし、生涯を仏教に捧げることを決意。以後、アメリカ人と日本人を見つめながら、現代的な仏教のあり方を探求してきた。ケネスさんが説く、人生を肯定する、明るく楽しい前向きな仏教とは。
【初回放送2018年4月8日】

【出演】武蔵野大学名誉教授・僧侶…ケネス田中

2019年8月4日アンコール放送「古(いにしえ)の大和へ」

2019年8月4日アンコール放送「古(いにしえ)の大和へ」

奈良県立大学客員教授・岡本彰夫さんの言葉
「大和の深さっていうのは、わかるのに30年かかりましたな。それでもまだわからんのよね」
    
奈良県立大学客員教授の岡本彰夫さんは、長らく春日大社に務めた神職でもある。奉職中は権宮司としてさまざまな祭りの復興に尽力するかたわら、奈良の美術工芸品「大和古物」を調べ上げるなど、奈良の伝統文化に光を当てる多彩な活動を続けてきた。長い時間の中で人々が受け継いできた技や知恵にこそ意味があると語る岡本さん。深い歴史をたたえる奈良で、岡本さんがたどり着いた境地を伺った。

【出演】奈良県立大学客員教授(元春日大社権宮司)…岡本彰夫,【きき手】原大策

2019年7月28日アンコール放送「祈りの竪琴」

2019年7月28日アンコール放送「祈りの竪琴」

宣教師 音楽サナトロジスト キャロル・サックさんの言葉
「魂」を表す言葉には、ギリシャ語やヘブライ語では「息」「呼吸」の意味があ
る。目で見える「呼吸」を通して、目には見えない「魂」に寄りそえるなら素晴らし
い。


アメリカ人宣教師のキャロル・サックさんは、日本に暮らして35年余り。52歳の時、死に直面する人をハープや歌声を用いてみとる「音楽サナトロジスト」の資格を取得。現在、ホスピスや病院、高齢者施設、刑務所などで、苦しみや困難の中にある人に音楽による祈りを届ける活動を続けている。一人一人の呼吸に合わせて奏でる音楽は、その人がかけがえのない存在であることを伝える祈りとなる。
【初回放送2018年11月25日】

【出演】宣教師・音楽サナトロジスト…キャロル・サック

2019年7月21日「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第四回 それと一つになる」

2019年7月21日「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第四回 それと一つになる」

正眼寺住職 正眼僧堂師家・山川宗玄さんの言葉
「無駄が省けた雲水の動きは、見れば美しい。それは自然が美しいのと似ている」


岐阜県美濃加茂市にある禅の修行道場、正眼僧堂では雲水たちが毎日、作務と呼ばれる労働や読経、勤行に取り組んでいる。境内のそうじや山仕事など日常の仕事がなぜ修行になるのか。自ら工夫を重ねて集中し、その仕事と一つになる時、ふとした瞬間に新しい世界が開けるのだという。勤行もまた、読んでいるお経と一つになり、また、雲水たちの声が調和し一つとなる時、仏法が説く和合の世界が現れる。日々の修行が導く世界とは。

【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄

2019年7月14日アンコール放送「“在る”をめぐって」

2019年7月14日アンコール放送「“在る”をめぐって」

作家・辺見庸さんの言葉
「僕らが存在する限り、風景がある」


辺見庸の最新作『月』は2016年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件をきっかけに書かれた。ノンフィクションではなく、小説でなければ、あの事件を書くことはできなかったと言う。『月』では、目も見えず言葉も発せず動けない登場人物が、「在る」とはどういうことかを、繰り返し問う。「在る」に価値や意味を強制する社会とはなにか。問い、考え続けることが事件への正当な反論になるのだと語る辺見の言葉に耳を傾ける。
【初回放送2018年1月13日】

【出演】作家…辺見庸 【朗読】ミッツ・マングローブ

2019年7月7日「武器ではなく一冊の本を」

2019年7月7日「武器ではなく一冊の本を」

ノーベル平和賞受賞者 マララ・ユスフザイさんの言葉
「銃で撃てるのは体だけ わたしの夢は銃では撃てない」


マララさん(21)は15歳の時、女性の教育を禁じたイスラム過激派組織「パキスタン・タリバン運動」に銃撃され、かろうじて一命を取り留めた。以後ひるむことなく教育の権利を訴えて活動を続け、史上最年少でノーベル平和賞を受賞した。その強じんな信念と行動力を支えるものは何か。自身の人生の歩みやけいけんなイスラム教徒としての願いを伺い、虐げられた女性や子供たちのため世界を舞台に奔走するマララさんの思いを伝える

【出演】ノーベル平和賞受賞者…マララ・ユスフザイ 【きき手】道傳愛子

2019年6月30日放送「ふたつをひとつに-ロボットと仏教-」

2019年6月30日放送「ふたつをひとつに-ロボットと仏教-」

ロボット工学者・森 政弘さんの言葉
「仏教が説くのはお釈迦様のイデオロギーではなく、お釈迦様が発見された天地の道理、真理だ。だから、あらゆるものが仏教に入っている」


「ロボットを作るには人間を知らないといけない。人間の心を理解するためには、仏教ほど深く考究したものはない」。日本のロボット工学草創期における第一人者・森政弘さん(92歳)は40代から禅を学び、仏教研究に打ち込んできた。仏教の根本を貫くのは「相異なり対立する二つの概念を一つに融合させる心の働き」だと言う。仏教とは何か、そして人間とは何か。インド哲学者の丸井浩さんが森さんに根源的な問いを投げかける。

【出演】 東工大名誉教授…森政弘

2019年6月23日放送「共に生きる~孤児が教えてくれたもの~」

2019年6月23日放送「共に生きる~孤児が教えてくれたもの~」

介護福祉施設 運営・田内基さんの言葉
「人間は同じになることを喜ぶんだけれども、同じではない違いが恵みだという考え方を持つ。相手を尊重する、相手の考えを理解する。それが共に生きるということ」


戦中・戦後、韓国・木浦(モッポ)で、約3000人の孤児を育てた日本人女性、田内千鶴子さんの息子で、現在は、大阪で在日コリアンのため介護施設を運営する田内基さん。父が韓国人、母が日本人という境遇から、長く国籍というアイデンティティに悩みを抱えてきたが、国籍も無く生きる孤児たちのたくましさに大きく勇気づけられた。田内さんが、孤独な孤児、高齢者と向き合う中で得たのは、人それぞれ違いを尊び共に生きることの大切さだった。

【出演】介護福祉施設 運営…田内基

2019年6月16日放送「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第三回 一寸坐れば一寸の仏」

2019年6月16日放送「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第三回 一寸坐れば一寸の仏」

正眼寺住職 正眼僧堂師家・山川宗玄さんの言葉
「人間の歴史をたどると、何かを深く瞑想する、考えるという時には座らざるをえないというのが、人間の原点にあったのではないか」


岐阜県美濃加茂市、禅の修行道場、正眼僧堂では150年余り、雲水たちが坐禅(ざぜん)修行を続けてきた。大接心と呼ばれる期間には1日15時間坐ることも。深い坐禅ができれば、天地と一体、万物と同根という境地にも至るという。坐禅と共に行われる参禅では、雲水たちが師家から与えられる公案(問題)に取り組む。常識では解けない難問に挑むことは、自己の究明であると同時に人生の探究ともなる。坐禅・参禅が拓く世界とは。

【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄

2019年6月9日放送「テレジンの絵は語り続ける」

2019年6月9日放送「テレジンの絵は語り続ける」

テレジンを語り継ぐ会・野村路子さんの言葉
「私は知ってしまった。あの人たちが語りたくないことを語ってくれた。だから今、最後に遺書のつもりできちんとしたものを書いておきたい」


埼玉県に暮らす野村路子さん(82)は30年前、当時のチェコスロバキア・プラハを旅行中、偶然ある絵に出会い、強い衝撃を受けた。それはナチス・ドイツ政権下、テレジンという町にあったユダヤ人強制収容所の中で子どもたちが描いた絵。以来、野村さんは展覧会や本の執筆などを通じて、テレジンの絵を伝える活動を続けてきた。野村さんの歩みをたどり、子どもたちの絵が訴えかけてくる思いに耳を傾ける。

【出演】野村路子

2019年6月2日放送「隣人といのちの電話」

2019年6月2日放送「隣人といのちの電話」

牧師・藤藪庸一さんの言葉
「小さな約束を繰り返していくことで、お互いに、距離がちょっとずつ縮まるんですよね」


和歌山県白浜町にある観光名所・三段壁は、自殺の名所としても知られる。白浜バプテスト基督教会の牧師、藤藪庸一さんは、自殺を考える人を救済し、彼らと共に生活し再び社会に戻る道筋を作る活動を行っている。孤独を抱え、自暴自棄になっている人と相対する時、藤藪さんが大切にしてることは「最後まで話を聞く」こと。彼らにどう寄り添い、信頼関係を築いていくのか、その背景にある信仰とともに話を聞く。

【出演】牧師…藤藪庸一 【きき手】山根基世

2019年5月26日放送「いのちの海に網を降ろす」

2019年5月26日放送「いのちの海に網を降ろす」

カトリック大阪教区大司教・枢機卿 前田万葉さんの言葉
「神様が命じたならば、選んだのならば、その役割をちゃんと果たせるように助けてくれる。そういう気持ちになりました」


2018年6月、ローマ・カトリック教会で教皇に次ぐ地位の枢機卿に就任したカトリック大阪教区・大司教の前田万葉さん。長崎・五島列島出身で潜伏キリシタンを先祖にもつ。受け継いだ信仰を分かりやすい言葉で信徒に伝えながら、長崎、広島の教会で宣教を行い、核廃絶運動にも携わってきた。前田さんが歩んできた信仰の道のりと、2019年秋に予定されるローマ教皇フランシスコの日本訪問への期待など、今後にかける思いをうかがう。

【出演】カトリック大阪教区大司教・枢機卿…前田万葉 【きき手】渡邊あゆみ

2019年5月19日放送「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第二回 生きることすべてが修行」

2019年5月19日放送「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第二回 生きることすべてが修行」

正眼寺住職 正眼僧堂師家・山川宗玄さんの言葉
「窮して窮して変じ、変じて通ず ――にっちもさっちも行かなくなった時に、それでもあきらめない。そうするとどこかで、ふいっと変化する時がきます」


岐阜県美濃加茂市の修行道場、正眼僧堂には、春と秋、入門志願者がやってくる。入門を拒否され、決意を試される時間を耐え、ようやく入門が許される。待っているのは、すべてに厳格な作法や規則がある生活。言葉ではなく「鳴らしもの」と言われる音で導かれる暮らしは、考えるよりも体で学んでいく体得底(たいとくてい)を重ねる日々となる。ぎりぎりのところに追い詰められながらもその壁を超えていく僧堂での修行をうかがう。

【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄

2019年5月12日放送「光を求めて ともに歩む」

2019年5月12日放送「光を求めて ともに歩む」

弁護士・徳田靖之さんの言葉
「救ってあげる人と救われる人、同情してあげる人と同情される人。この構造が改まっていないかぎりは、差別はなくならない」


故郷、大分を拠点に、国を相手取った薬害訴訟や、えん罪事件など、人権にかかわる裁判に多く取り組んできた弁護士の徳田靖之さん。2001年、ハンセン病国賠訴訟では、国の隔離政策の過ちを認めた画期的な判決を勝ち取り、元患者の尊厳の回復へと道を開いた。そして現在、徳田さんは、いわれなき差別や偏見にさらされてきた元患者の家族の人権回復に取り組んでいる。弁護士として50年、活動の原点からハンセン病家族訴訟まで。

【出演】弁護士…徳田靖之【きき手】ジャーナリスト…迫田朋子

2019年5月5日放送「わかり合えないをわかりたい」

2019年5月5日放送「わかり合えないをわかりたい」

漫画家・安彦良和さんの言葉
「わかり合えない。それが普通の、ありのままの姿なんだって思う。だから、そこで絶望しない。それが前提でしょって感じがする。そこから始まるんで、終着じゃないよって」


『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザインやアニメーションディレクターを務めるなど、多くのアニメ作品を手がけてきた安彦良和さん。41歳のときに漫画家に転身。歴史や神話を題材にした作品を数多く描いてきた。キリスト教三部作と呼ばれる『ジャンヌ』『イエス』『我が名はネロ』では、宗教の本質に迫り、話題に。クリスチャンではない安彦さんが描きたかったものとは何だったのか。安彦さんの半生をたどり、漫画作品を味わいながら、考える。

【出演】漫画家…安彦良和

2019年4月28日アンコール放送「“豊かな終わり”を見つめて」

2019年4月28日アンコール放送「“豊かな終わり”を見つめて」

医師・徳永進さんの言葉
「いつの時代もそうですけど、私たちはどれが正しいかを決めるのが好きなんですね。でも、人間って意外と一人一人独特でして、そこに味がある」


“豊かな終わり”を人々に迎えて欲しいと語るのは医師の徳永進さん。2001年に鳥取市でホスピスを備えた診療所を開いた。徳永さんは“死を目前にしたときの人の真剣さ”に感動しているという。死を“人生の一部をなす姿”ととらえ、逝く人、送る人たち、共に心を通わせながら“その時”を迎えるのが理想の姿という。誰しも避けたいが必ずおとずれる“死”を通して徳永さんが見つめる命とは?
【初回放送2018年6月24日】

【出演】野の花診療所院長・医師…徳永進 【きき手】住田功一アナウンサー

2019年4月21日放送「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第一回 禅とは何か」

2019年4月21日放送「シリーズ禅の知恵に学ぶ 第一回 禅とは何か」

正眼寺住職 正眼僧堂師家・山川宗玄さんの言葉
「どんなに迷っていても、苦しんでいても、自分の力で解決するんじゃなくて、いつの間にか解決されている。そういうことがあると初めて知ったわけです」


岐阜県美濃加茂市の正眼寺に、禅の修行道場、正眼僧堂が開かれたのは江戸時代の末。多くの修行僧、雲水たちが学んできた。ここでの知恵は、仏法の生きる智慧(ちえ)に繋がっている。将来の道に迷って、修行の世界に入った正眼僧堂師家の山川さんは、考える余裕もなく、今、今、を生きる修行の中で、道を見いだしていった。禅の始祖・達磨大師の言葉や、正眼寺ゆかりの禅僧・関山慧玄の足跡などを通して「禅とは何か」をひもとく。

【出演】正眼寺住職・正眼僧堂師家…山川宗玄

2019年4月14日アンコール放送「破壊された心の復興」

2019年4月14日アンコール放送「破壊された心の復興」

歴史学者・石澤良昭さんの言葉
「アンコール遺跡には心が入っている。それを直すことは、心を直すこと。心の復興を兼ねている」


上智大学アンコール遺跡国際調査団長の石澤良昭さんは1970年代、共に励まし合って保存修復を進めていたカンボジア人の親友たちをポルポト政権下の虐殺で失う。彼らの遺志を継ぐため石澤さんは自らの修復活動において、未来を担うカンボジア人の後継者を育てることを柱とした。遺跡の保存修復を通して、暗黒の時代に傷ついた人々の「心の復興」を続けて来た石澤さんに、その人生と信念を伺う。【初回放送2018年5月13日】

【出演】歴史学者…石澤良昭 【きき手】道傳愛子

2019年4月7日放送「死を思うとき 陸前高田 父と娘の8年」

2019年4月7日放送「死を思うとき 陸前高田 父と娘の8年」

医師・原田愛子さんの言葉
「震災のあと、自分が死ぬことに関しては怖くなくなったけど、出産・結婚を通じて、夫や子どもなど、残される人のことを考えたら、死ぬのが怖くなった」
 

東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県立高田病院が去年3月、海を臨む高台に再建された。震災当時、院長だった石木幹人さんは病院の復活を見届けた今、あらためて亡き妻に思いを馳せる。長女で医師の愛子さんは震災後、陸前高田へ移り住み、共に仮設住宅に暮らしながら、父を支えた。その後、結婚し、去年、第一子を出産。母となった今、死に対する考え方に変化が生まれ始めている。あの日から8年、父と娘の思いに耳を傾ける。

【出演】石木幹人(医師)、原田愛子(医師)

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