メロウな徒然草

第274回 2017年11月20日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
11月最後の放送となる今夜は、前半はレギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」のミニ版を、そして後半はゲストにSkoop On Somebodyを迎えてお届けしました。

クリス・ブラウンの新作アルバム『Heartbreak On A Full Moon』は全45曲収録、トータルタイム2時間半超という大作。
そんな前情報を聞いた時点では「どの曲をメロ夜でオンエアするか、大いに迷うことになるだろうなあ」と心の準備をしたものです。
ところが蓋を開けてみると、意外なほどあっさりと曲は決まりました。
それが今夜おかけした“Juicy Booty”です。
タイトルから窺えるように、この曲の基調となっているのはファンク・ユニット、エムトゥーメイの1983年産クラシック“Juicy Fruit”です。
ですが、曲の骨格づくりには、むしろワン・ウェイの1982年作品“Cutie Pie”のほうが大きな役割を担っているように感じられます。
あとインパクトという意味では、冒頭で引用されている2パックの“California Love”(のロジャー・トラウトマンのパート)が最も強い印象を与えるかもしれません。

さらに、ゲストにジェネイ・アイコとR・ケリーという人選の妙。
クリスとアイコの相性のよさは、2014年のヒット“Post To Be”で実証済み。ま、あくまでもオマリオンの楽曲にクリスとアイコがフィーチャーされた曲でしたが。
今回の“Juicy Booty”でクリスが呼んだのは、オマリオンではなく大御所R・ケリー。実はR・ケリーともまた“Drown In It”で共演済みなのでした。
それでもオマリオンには「えっ、オレじゃないの?」という気持ちがあったりして。そんな妄想をめぐらせながら耳を傾けるのもまた楽しいものです。

ケニー・ラティモアの“More Than Life”。これは歌詞を吟味してこそ沁み入る曲。
父親が息子へ寄せる愛情を歌ったものとしては、少し前にDJキャレドの子煩悩ソング“I Love You So Much”をご紹介しましたが、両曲ではまったく趣が違いますね。
いろんな愛の形があるのは当然のこと。この曲も長らく聴きつづけることになりそうです。

そして番組後半では、Skoop On Somebodyのタケ&コーイチローが遊びに来てくれました。
彼らとはいくつもの夜を一緒にくぐり抜けてきた私です。
今夜は楽しかったなあ。もっと早く声をかければよかったと反省してしまったほどです。
彼らの新作『State Of Soul』はアーバンの極み。ゴスペラーズ『Soul Renaissance』とともに、2017年を代表するアダルトR&Bアルバムと呼ぶことに、私はいささかの躊躇もありません。
この作品をつくるために自分は(大阪から)東京にやってきたと思える、とタケくんが話していましたね。あの話にはグッときました。
デビューして20年、40代も後半になった彼がそんなことを言うのは、相当の覚悟があるに違いないからです。覚悟だけではなく、決意もあるのでしょう。
未聴の方は是非お手に取ってみてくださいね。

以上、次回の放送は12月4日ですから、そりゃクリスマス曲増量しますとも! 松尾潔でした。


第273回 2017年11月13日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
今週もレギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお届けしました。

キーシャ・コールの“Right Time”、もう最高です。最強です。
男がひとり、女がふたり。
この3人を結ぶ鋭角三角形はいかにもバランスが悪い。
ひとり多いんですから。
そりゃあ嘘のひとつやふたつ、ついてしまうこともあるでしょう。やむにやまれず。
でも、嘘つきは癖になってしまうもの。
ひとつやふたつじゃ終わらないでしょう?
嘘のための嘘、が必要になってしまう。

そんな悪循環に耐えられるほどアタシの心はつよくない。
あなただってそうでしょう?
いま嘘をついた、あなただって。
そう、あなた。アタシにはわかる。
だって、あなたは嘘をついてるとき、いちばんやさしくなるから。

……以上、歌詞を意訳、さらに妄連想を加味した走り書きであります。

さて番組後半では、ギターの響きが心地よい女性ボーカルをご紹介しました。
タイラー・Bのじわじわ来る感じも好きだし、ケラーニもたまらない。
コーナー名「秋とギターと歌う女」は、若い時分に好んで読んだ男女の三角関係を描いた小説『猫と庄造と二人のをんな』のタイトルをもじったものです。
おっと、キーシャ・コールからずっと三角関係の話ばかりしてますね、今日の私は。
どうかご容赦、ご容赦。

そして、CHEMISTRY。
今週は再始動シングル「Windy / ユメノツヅキ」がリリースされるので、とくべつに表題曲を2曲ともオンエアしましたよ。
それぞれ90’s R&Bとブギーのムーブメントを強く意識してつくった曲です。
メロ夜リスナーのみなさんには、このサウンドや詞の世界観に共鳴していただけると信じております。
もちろん、川畑くんと堂珍くんのボーカルも絶好調。
そういえば今週末は堂珍くんの誕生日だったな……ふむふむ。えっ、まだ30代なのか!

以上、メロウはいつも過去形だけど、過去こそが新しいのでは、松尾潔でした。


第272回 2017年11月6日放送分

いつもご清聴ありがとうございます。
11月最初の放送となる今夜は、レギュラー・プログラム「メロウな風まかせ」をお届けしました。

NHKに隣接する代々木公園は、先月下旬辺りから紅葉が目立ちはじめ、いまが盛りの美しさ。
何度もお話ししてきたように、私のいちばん好きな季節です。
いっぽうで年末の足音も聞こえてまいりました。
気のあう音楽仲間たちと高尾山ハイキングでもしたいなあ……そんなことを夢想しながら、日々雑事に追われている今日このごろ。

今週はファースト・メジャーアルバム『Mellow but Funky』のリリースを間近に控えた男性ボーカルグループSky’s The Limit(スカリミ)の“ラストソング”でスタートしました。
この曲は、彼らと同じ形式のグループとして大先輩にあたるゴスペラーズの黒沢薫さんがプレゼントしてくれた楽曲です。

黒沢さんは曲提供のみならず客演でも男気を見せてくれました。
客演をお願いしたのはプロデューサーの私。
まあ長いつきあいというのもありますが、スカリミの四人が黒沢さんのことを心から慕っていますからね。黒ポンはとにかく後輩の面倒見がいいんです。
私がイメージしたのは、ルード・ボーイズのデビューにあたって提供曲をメンバーと一緒に歌いあげていた故ジェラルド・リヴァート。そういえば彼もまた人格者として知られていましたっけ。
客演を快諾してくれた黒沢さんからの逆リクエストとして、作詞は私でとご指名がありました。
彼とは曲づくりで何度も組んできた間柄です。もちろんお断りする理由はありません。
黒沢=松尾コンビでつくった楽曲はこれで何曲目なのかな……きちんと数えたことはないですけど、10曲くらいは世に出てるんじゃないでしょうか。ありがたい話です。

山下達郎さんがよくご指摘されるように、R&Bにはパターンミュージックという特性があります。
あるフォーマットさえ持ちあわせていればいくらでも量産可能です。
実際のところ、その特性をいかして、きょうびの日本のR&Bには制作者がシンガーと一度も顔をあわせることなく作られたものも少なくありません。なにしろ量産可能ですから。
加えて海外のトラックメーカーの売り込みも激しいご時世。それ専門の代理店も多いですし。

ですが、Sky’s The Limitの楽曲はすべてフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションで作りあげたものばかり。
これまで私もいろんな手法を経験してきましたが、そのうえで現在では「居合わせる」ということの重みと効用を痛感しているのです。
今夜新曲“Horizon”をかけたCHEMISTRYのレコーディングにしても同じことが言えます。
その成果が作品にあらわれているとよいのですが。どうかご自分の耳でお確かめください。

以上、ハイキング先で持ち帰ってなんとなく始めたカブトムシ飼育が3世代目に入りました、松尾潔でした。


※過去3回分を掲載しています。
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