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2020年1月の放送予定

魚にみる名付けと分類の悩ましい関係

講師:松浦 啓一(国立科学博物館名誉研究員)

地球上の生物のうち、学名のついているものは約180万種以上。しかし、まだ学名のついていない生物、未知の生物の数を加えると1,000万種を超えるのは確実と言われています。このような多数の生物を我々はどのように認識し、分類してきたのでしょうか。今回のシリーズでは、分類学者で主に魚類を研究してきた松浦啓一さんに、魚にみる名付けと分類の関係についてお話いただきます。
松浦さんは、これまでに多くの魚の分布や生態を調査し、その学名と種類(分類)の関係を様々な角度から研究してきました。種、属、科、目、綱、門、界など分類上の名称と、学名、和名、日本各地に残る方言での呼び方などから、名付けと分類について考察します。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

松浦 啓一(まつうら けいいち)

松浦 啓一(まつうら けいいち)

魚類学者、国立科学博物館名誉研究員。1948年東京生まれ。1971年東京水産大学卒、1978年北海道大学大学院水産学研究科博士課程修了、水産学博士。国立科学博物館研究員、動物研究部長。昭和記念筑波研究資料館館長などを歴任。主に真骨魚類の系統や分類、分布などの研究に携わり、現在は国立科学博物館名誉研究員。

<主な著書>『動物分類学』東京大学出版会(2009年)、『したたかな魚たち』角川新書(2017年)、『日本産フグ類図鑑』東海大学出版部(2017年)
<共編著>『虫の名、貝の名、魚の名 和名にまつわる話題』東海大学出版会(2002年)
<指導・執筆> 『小学館の図鑑・魚』小学館(2003年)
<共編著>『毒魚の自然史 毒の謎を追う』北海道大学出版会(2015年)など


2019年12月の放送予定

言葉で探る日本の港の姿かたち

講師:石村 智(東京文化財研究所 音声映像記録研究室長)

2011年3月11日の東日本大地震とそれにより発生した津波は、あらためて自然の猛威を知らしめました。『津波』という言葉は、今では世界でそのまま用いられていますが、もともと『津』とは船が安全に停泊できる波風の穏やかな場所をさす言葉です。
『津』とつく地名は、今でも日本各地に散在していますが、東京文化財研究所の石村智さんは、『津』の地名の現地調査を進め、昔の地形をコンピュータで立体的に再現、もともとどういう場所だったか研究している。それによると、『津』とつく地名のあるところは、古代の港があったことが確かめてきました。例えば瀬戸内海の「御津」「室津」、能登の「福浦」、三重県の津の「安濃津」、岡山の「古備津」、大阪難波の「白肩の津」など、今では陸地となって港の体をなしていないところもありますが、調査すると、かつて「港」だったことが分かるといいます。
番組では、古い地名をたどりながら古代の日本の港の「姿・かたち」を、石村さんに語ってもらいます。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

石村 智(いしむら とも)

石村 智(いしむら とも)

1976年兵庫県生まれ。1999年京都大学文学部卒、京都大学大学院文学研究科博士課程。
現在、東京文化財研究所無形文化遺産部音声映像記録研究室、室長。

<主な著書>『ラピタ人の考古学』(渓水社、2011年)、『景観人類学』(共著、時潮社、2016年)、『水中文化遺産論集』(共著、勉誠出版、2017年)など多数。
<近著>『よみがえる古代の港~古地図を復元する』(吉川弘文館、2017年)


2019年11月の放送予定

生活のなかの身近な漢語を考える

講師:木村 秀次(元文化庁国語調査官、元千葉大学教授)

私たちは日頃、当たり前のように漢字を使い生活しています。そのとき漢字や漢語の意味などをじっくり考えたことがあるでしょうか。ここでいう「漢語」とは、音読みの漢字によって書き表すことばで、中国で生まれた語と日本で生まれた語とをあわせてさしています。「漢語」は日本語の中で大きな位置を占めていますが、個々の漢語にはそれぞれ歴史、機能、役割があります。今回は身近な「漢語」について、発音・意味・用法、表記・表現、さらには日本と中国との関わりといった点などから、幅広く立体的にとらえてみます。文化庁を中心に長く日本語の中の漢字、漢語のあり方を調査・研究してきた木村秀次さんに話を聞きます。

放送は5回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

木村 秀次(きむら しゅうじ)

木村 秀次(きむら しゅうじ)

1938年東京都生まれ。東京教育大学文学部卒業(1961年漢文学科、1969年 国語学国文学科)。東京都公立高等学校教諭、文化庁国語調査官、千葉大学教授などを歴任。

<主な著書>『研究資料 漢文学』「語法・句法 漢字・漢語」第10巻 明治書院(2003年)、『近代文明と漢語』おうふう(2013年)、『大修館 現代漢和辞典 机上版』大修館書店(1996年)、『身近な漢語をめぐる』大修館書店(2018年)など


2019年10月の放送予定

江戸時代の古書の流通

講師:橋口 侯之介(古書学者)

江戸時代の出版業界では古書と新刊本を分けることはなく、本屋がすべて行っていました。そのため、古書の比重が大きかったといいます。また本屋の同業組合では、今と異なるいろいろな方法で流通を行っていました。たとえば出版や売買のため各種の「講」を利用したり、「海賊版」を協力して取り締まったり、「本市」を開催したり、店を持たない業者の参入を認めたり、「板株」という出版物を「株」にして出版権をやりとりしたりしていました。
昨年、古書店店主で古書学者でもある橋口さんは『江戸の古本屋~近世書肆(しょし)の仕事』という本を出版して話題を呼びました。そこには近世日本の出版事情が詳しく述べられており。特に古書の流通に江戸時代の人びとが関心をもち、盛んにしていく工夫が紹介されています。
番組では、こうした独特の『ことば』を用いて行われていた江戸時代の本の出版や販売の姿を橋口さんに語ってもらいます。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

橋口 侯之介(はしぐち こうのすけ)

橋口 侯之介(はしぐち こうのすけ)

1947年、東京生まれ。上智大学を卒業後、妻の実家の和本・書道専門店の「誠心堂」に入社。現在、誠心堂書店店主。母校の上智大学では、ご専門の古書学、和本学の講師を務めている。

<主な著書>『和本入門』『和本への招待』『江戸の古本屋』など多数。
<近著>『江戸の古本屋~近世書肆の仕事』(2018年、平凡社)


2019年9月の放送予定

「童謡」が伝える声とことばの文化

講師:周東 美材(大東文化大学講師)

童謡を全く知らない人は、ほとんどいないでしょう。音楽の授業で習ったり、子どもの玩具で奏でられたり、テレビ番組やコマーシャルなどで流れていたり、あるいは夕方になると町内に鳴り響く防災無線などで、多くの日本人が身近に接しています。今回は、国民的な広がりと浸透力を持つ童謡を取り上げ、その歴史と、童謡が日本文化に果たしてきた役割について考えます。童謡の研究者で、2015年に岩波現代全書から出版された『童謡の近代』の著者、周東美材さんに、童謡の詩句や曲想、メディアとの関係、声と童謡の関係性など童謡に関する諸々について、お話を伺います。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

周東 美材(しゅうとう よしき)

周東 美材(しゅうとう よしき)

1980年群馬県桐生市生まれ。2003年、早稲田大学第一文学部卒業。2013年東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。日本体育大学准教授を経て、現在は大東文化大学講師。
2016年、著書『童謡の近代』が日本童謡賞特別賞受賞。

<主な著書>『童謡の近代—メディアの変容と子ども文化—』岩波書店(2015年)、『水の江瀧子と石原裕次郎―「男であること」の捏造の系譜―』研究紀要 東京音楽大学(2018年)、『いつも見ていた「ジャニーズ」―戦後日本のメディアと家族―』アステイオン サントリー文化財団(2016年)、『複製技術と歌う身体―子ども文化から見た近代日本のメディア変容―』カワイイ文化とテクノロジーの隠れた関係 東京電機大学出版局(2016年)ほか


2019年7月の放送予定

事故に遭わない! 登山の言葉

講師:鈴木 みき(イラストレーター、漫画家)

7月は、夏登山のシーズンです。近年、登山を楽しむ人はふえていますが、そこには危険が伴います。今回は登山の用語を紹介しながら、危険から身を守るための<登山の準備>について考えます。
登山には、長い歴史があり、登山準備のため、道具の呼び方、地形、山道の種類などについて数多くの独特な用語があります。
イラストレーターで漫画家としても活躍している鈴木みきさんは、若いころカナダで過ごし、そこで山の魅力に出会いました。著書『悩んだときは山に行け!』は、山ガールたちのあいだでヒットしています。
鈴木さんはこの度、『山登り語(やまのぼりご)辞典』という本を出版しました。この本には山に登る人のために、数多くの用語と解説が収められています。先人たちが生み出してきた言葉について知識として知っていると、とっさの行動に影響が出てきます。最近、登山用語を知らないためにおこった事故も増えているといいます。
番組では、鈴木さんの体験にもとづく「事故に遭わないための登山の言葉」を分かり易く語ってもらいます。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

鈴木 みき(すずき みき)

鈴木 みき(すずき みき)

イラストレーター・漫画家 東京生まれ。カナダで山に圧倒されて以来、登山を親しみやすいコミックで紹介。山に登りながら執筆活動を続ける。

<主な著書>『悩んだときは山に行け!』(平凡社)、『山登り語辞典~登山にまつわる言葉を豆知識で読み解く』(誠文堂新光社)ほか


2019年6月の放送予定

先人が遺した治水の名言に学ぶ

講師:竹林 征三(富士常葉大学名誉教授、風土工学デザイン研究所会長)

昔から、大雨や台風による河川の氾濫、浸水などの被害に悩まされてきた日本。近年では、さらに大型台風や津波などによる大規模災害も増加傾向にあります。今回は「治水史」の観点から、神話のスサノオノミコト・ヤマタノオロチ伝説に始まり、現代の巨大災害に至るまで、過去に残された文献資料などに残された「言葉」もとに考えてみます。竹林征三さんは、京都大学工学部土木工学科大学院を修了後、当時の建設省でダム部長、環境部長などを歴任、その後、富士常葉大学で教鞭をとってきた治水の専門家です。著書『日本の治水史』から、過去の治水事業の成功・失敗例を取り上げ、当事者の辛苦から生まれた様々な名言をもとに、治水に関して培ってきた知恵を解説していただきます。

放送は5回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

竹林 征三(たけばやし せいぞう)

竹林 征三(たけばやし せいぞう)

1943年生まれ。1969年京都大学大学院(土木工学)修了。当時の建設省入省後、ダム部長、環境部長などを歴任。2000年から富士常葉大学環境防災学部教授、2011年、風土工学デザイン研究所理事長就任、現在は同研究所会長として風土工学の普及・啓発活動を行う。

<主な著書>『ダムのはなし』技報堂出版(1996年)、『風土工学事始』土木学会山梨会(1997年)、『ダムは本当に不要なのかー国家百年の計からみた真実』近代科学社(2010年)、『ダムと堤防—治水・現場からの検証』鹿島出版会(2011年)、『物語 日本の治水史』 鹿島出版会(2017年)など多数


2019年5月の放送予定

理系学者の「読書」術

講師:鎌田 浩毅(京都大学大学院教授、日本火山学会理事)

鎌田浩毅さんは火山学が専門で、著書に『火山はすごい』『富士山噴火』などがある一方『座右の古典』『使える作家の名文方程式』など、日本語、言葉に関する著書も多くあります。
そんな鎌田さんが研究者として行ってきた活動や経験に基づき生み出した近著『理科系の読書術』は、理系学者ならではの考え方やアイディアがいっぱいです。たとえば「音楽的読書と絵画的読書」、「読み方を変えて三回読む」、「2:7:1法則で読む」など、読書が苦手な最近の学生のために考え出したというユニークな方法が紹介されています。
番組では仕事や勉強を効率よく進めるヒントを交えながら読書が苦手な若者へ向けての鎌田さんの経験と知恵を、具体例を挙げながら、いろいろと話していただきます。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

鎌田 浩毅(かまた ひろき)

鎌田 浩毅(かまた ひろき)

1955年東京都生まれ。東京大学理学部地学科卒業。通産省地質調査所、米国内務省カスケード火山観測所を経て、1997年より京都大学大学院人間環境学研究科教授。日本地質学会火山部会長、気象庁活火山改訂委員。専攻は火山学、地球科学。理学博士。

<主な著書>『理科系の読書術』中公新書、『世界がわかる理系の名著』文春新書、『使える作家の名文方程式』PHP文庫、『成功術・時間の戦略』文春文庫、『火山噴火』岩波新書、『富士山噴火』講談社、『火山はすごい』PH


2019年4月の放送予定

ことばで読み解くファッション年代記

講師:渡辺 明日香(共立女子短期大学教授)

いつの時代も若者たちは、思い思いのファッションに身を包み街歩きを楽しんでいます。いわゆるストリートファッションは、若者たちが集う街から生まれる「いま・ここ」のファッションです。自然発生的に生まれることもあれば、デザイナーやブランド、雑誌や映画、タレントやモデルの影響を受けて登場するものもあります。今回は、みゆき族やアイビールック、ヒッピー、カラス族、ワンレン・ボディコン、渋カジなど、様々な時代を彩ったストリートファッションをキーワードとして取り上げ、そのファッションが生まれた背景や、当時の若者文化との関係性などについて、日本のストリートファッション研究者である渡辺明日香さんに語っていただきます。

放送は4回シリーズ。
聞き手:NHK放送研修センター日本語センター 秋山和平アナウンサー

出演者プロフィール

渡辺 明日香(わたなべ あすか)

渡辺 明日香(わたなべ あすか)

1972年生まれ。1995年共立女子大学家政学部被服学科卒業。首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程修了。社会学博士。ストリートファッションの定点観測に基づく若者文化、色彩、生活デザインの研究を行う。

<主な著書>『ストリートファッションの時代』明現社(2005年)、『ストリートファッション論』産業能率大学出版部(2011年)、『昭和のファッション おしゃれぬり絵』(監修)太郎次郎社エディタス(2012年)、『東京ファッションクロニクル』 青幻舎(2016年)


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